第6話

 ……間に合わなかったか。

 これからは前回と全く同じ行動をしよう。



 ということで、昼休み。

 無事にここまでたどり着けたということは、さらに面白くない描写はされないといったパターンもあるのだろうか。とはいえ描写されるかされないかは気分次第と言った感じだろう、今までを鑑みるに。

 俺の持ちうる情報全てを描写していれば、1秒も経たずに500字は消費されるはずだ。そうならないということは、比較的現在の状況に呼応して情報が描写されている、と考えるべきだろう。


 そう考えつつ、鞄の中を漁って気が付く。弁当を持ってくるのを忘れた。

 流石に昼を抜くのはきついぞ、と思ったところで、鞄の中のスマホが振動する。


〈今から会えますか?〉


 マナーモードのスマホの画面に映し出されたコミュニケーションアプリには、動木ゆるぎちゃんからの連絡が飛んできていた。


〈大丈夫だよ〉


〈ありがとうございます

 校門で待っています〉


 彼女から連絡してくるということは何かあったのだろう。そう思ってすぐさま席を発つ。



「あ、どうも」


 動木ちゃんは真剣な面持ちで姿勢よく待っていた。


「どうしたの?」


「……ふぅ、単刀直入に言いますね。」

 

 彼女は、一拍置いて言った。


「私、先輩が――」

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