第3話

 …死んだ。また、死んだ。警官のボールペン。あれが光って、次の瞬間には――


「おえっ…うぉえぁっ……」


 また吐いてしまう。なんだ。なんだ。なんなんだよ!!!


「くそがくそがくそがくそがくそが」


 ひたすら罵詈雑言を吐いて気持ちを落ち着ける。大丈夫だ、俺は死んでない。生きている。例え何回死のうと、今生きていることが重要だ。大丈夫、俺は生きている。

 中学の時にカウンセラーの先生と仲良くしていたのが功を奏した。自身に軽く暗示をかけて、精神状態を安定させる。

 両手を開くよう意識すれば、その通りに身体が動く。それがどれだけ幸せな事かを、思い知った。


「500字……くっそ、分からん」


 作文用紙より100字多いくらいだろうか? 結構な量のように感じる。あれを埋めるには1時間くらいかかるのが常の俺にとっては、500字がどのくらいの時間なのかということは理解できない。

 とりあえず、口を洗うことにする。台所に行って、コップを出して、口をゆすぐ。


「ぐちゅぐちゅ……っぺ」


 そのまま、息を整える。慌てるな、俺。問題はないはずだ。そうそう容易くは死なない。急いては事をし損ずる、急がば回れと言うではないか。

 そう思って水を飲もうと冷蔵庫を――

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