第23話 ラストミッション

「いたぞ!!!!ぐはっ!!!!!!」


両手にはクリスベクター。

背中から生えた翼とジェット機関で、閃光の如く、弾丸を放っては、そこらへんに湧き上がる敵を蜂の巣にする。


「全然辿り着けねー…」


「居た!!!撃てええええええ!!!!!」


おっと、ありがたくエネルギー補給するか。

俺は被弾すると、皮膚の中にエネルギーと鉄の塊を全て取り込む。


「ん〜…弾丸をここで使うのも嫌だし…よし!!」

俺は両腕を剣のように鋭く変化させると、目の前にいる敵を真っ二つにする…


「うがああ!!!!」


そして、その先のT字路の壁に2本の足を突き刺し、横の壁を歩く。

重力なんて無視しながら、その先にいる敵を両腕で切り裂く。


「ぐはああ!!!!!!」


「こっちにいっぱい敵がいるってことはこの先か?」


被弾する際の痛みなど気にせず、俺は弾丸を取り込む。

「化け物がッ!!!!!」


すると、俺は反対の壁に移り、10人ほど切り裂く、天井に移っては、12人。

そして、重力に沿って着地して、背中からジェットを吹き出す。


目の前にカジキのように、一本の角のように両手を合わせ、一気に加速。

目の前に居た敵が一気に一本の角に刺さった。


「ぐはっっ!!!!」


俺はそいつらを払い、壁に刺さった角を抜く。

少しだけ壁が崩れると、俺は、刺さった角を抜き取る。


「ぐは…あああ………」


俺は敵の血を振り払う。

すると、10m程奥に一つの扉があった。


扉からはあおい光が漏れている。


「こ、これって…」

俺は、その扉に近ずき、その扉を殴って吹っ飛ばす。


バアアアアン!!!!と廊下に鳴り響き、扉の奥へと俺は恐る恐る入る。


そこには、白衣をきた科学者がモニター画面を見ていた。


すると、その男は振り返り、俺の方を見る。

シワが深く刻まれた顔に白い髪の毛。

白く染まった髪は歳によってそうなったとかではなく、体質的なものような、そんな自然な髪の毛をしていた。


「セルーか。やっぱ生きてたのか。」


「まあな。ユミーこそって…まあ、お前は不死身だから、生きてるのは当然か。さすがは俺の発明品だな!」


「それよりも、電六のメンバーをそろそろ返してもらえるか?ちょっとここにいつまでもいられたら困るんだよ。」


「ま、そう言うだろうな。仕方ねぇな。」

そういうと、セルーは机にあったボタンを押した。


すると、モニターに映っていた貼り付けにされていた、電六メンバーが解放される。


「テンキュー。」

俺はそう言って立ち去ろうとドアに向かった。


「まあ、待て。」

セルーがそう言うので、俺は踵を返すと、床に何か転がっているのに気が付いた。


「ん?なんだこれ?」

と、次の瞬間、その転がっている缶のようなものに穴の空いたものを拾う。


「ああ。それ?それ…能力を失わせるガスだ」


「は?」

次の瞬間、缶の穴から黄色の煙のようなものが一気に放出された。


「ぐは!!!!ぐは!!!!!何すんだよ…!!!!」


喉が痛い………くそ…やりやがったな!!!!!


「少し前にヤクザやら、ARCやらに渡した爆弾の強化型だ。それ使ったら能力の一部を失わさせるんだ。まあ、一時的に、なんだけどね。お前の場合はDEADMOEDとかな。あ、インターネットの入れる能力はお前のアイデンティティだから残してやったわ。あと、ちょっとばかりの回復能力。」


「ぐはっ!!!!!ぐはっ!!!!!ってことは…!!!俺…しばらくは青の騎士卒業かよ…!?ぐは!!!!!」


「まあ、そう言うことになるな。どんま〜い。お前の生物兵器としての役割はもう終えたし、そろそろ処分しようかと思って、そんでもって、今日を持って、お前を殺すことにしたんだ。」


「俺は不死身じゃねぇのかよ…!?ごほっ!!!!!」


「まあ、ここ数時間あたりは不死じゃなくなった。だから、そんなお前を殺すために最高のハンターを用意しておいたよ。」


俺は煙を払うと、目の前には薄くシワの入った男が立っていた。

その男の顔は見覚えがある。


手にはH&K45。


それを見てそいつが誰だか、わかった。


「お、お前は…!!!フィクサー!!!!!」


「やあ、ユミー。久しいじゃないか。」


「こいつと戦ってもらうよ。それじゃ、頑張りたまえ。」

そういうと、セルーは床から現れる、逃げ穴へと逃れた。


「あいつ…!!!」

俺は、手元の時計からグロック17を取り出した。

そういえば、もしこのインターネットに入り込める能力が無くなってたら武器、取り出せなかったな…


安全装置を解除し、グロックの中に弾丸を詰め込む。

そして、コッキングをして弾丸を薬室へと詰め込んだ。


「にしても、ユミーは変わらないね。俺と最初に戦った時のまんまだ。」


「まあ、あの時…湾岸戦争の時から俺は能力者だからな。」


「それじゃあ、行くとしようか。」

そう言うと、フィクサーは手元のH&K45を俺に向けた。


H&K45の弾丸の初速は360km/h。

俺は頭を捻って弾丸を回避する。


大体同じ速さで動けば避けられはするだろう。

「はは…能力なしで弾丸避けられるんだね。」


バンバンバン!!!!!


今4発撃ち込んだ。

だとしたらあと7発!!!


「まあな。体がこの速度に慣れてるから、鍛えてれば避けられるようになったんだ。」


「へ〜すごいね。」


俺とフェイクサーはまるで友人かのようにして喋りながら戦う。

背にした鉄の板を構わず撃ってくるフィクサー。


俺は、そこから距離を詰めると、フィクサーは少し驚いたように、H&K45を乱射する。


バンバンバン!!!!!


あと4発!!!!

「って、別に気づいてるよ。弾切れ狙ってることぐらい。」


「まあ、そうか…」


あと3発。

と、ここで油断していた。


フィクサーまで12mほどで、フィクサーは一気に動き出した。

その12mをひとっ飛びで俺の懐まで飛び込むと、片手で銃口を抑える。


「不味い!!!!!!」

銃口を抑えられては、弾丸が撃てない!!!!!


「まあ、なかなかこんな近接戦しないからね。ちょっと新たなことにチャレンジしてみようかな。この歳だし。」


すると、H&K45を空中へと放り投げると、俺の鳩尾に的確に膝を食らわせてきた。

「ぐは!!!!!!」


地味に体に響く痛みを味わう。

だが、グロックは離さない。

ここで奪われるわけにもいかないしな!!!


「お前…今何歳だよ…」


「84」


「こんなジジイがいるわけねー…!」


俺がそう言うと、俺の顔に向かって、拳を一撃。

いや、二撃三撃四撃!!!


俺は、その拳の衝撃で、よろける…と見せかけてからのキィィィィィィィィィック!!!!!!!


「おっと…!」

そう言いながらフィクサーはH&K45を回収し、少し下がる。


俺は、グロックをフィクサーに向かって、突きつけるが、それに怯えないで、真っ直ぐ俺に向かって進む。


俺はその引き金を引いた、がもちろんそんな弾丸が当たることなんてなく、フィクサーは格闘術で決めようとしてくる。


クッソ…鼻血が止まらねぇ!!!

痛みが引かねぇ!!!!


「どう?僕の格闘術はさ。」


次の瞬間、ガトリングのように、ガードした両腕に打ち込まれる重たい攻撃の数々。


「俺は銃しか習ってないんだって!!!!」

俺は、フィクサーに蹴りを入れて、無理矢理引き剥がす。


「じゃあ弱点じゃん。今のうちに治しておいた方が良いよ。」


「うぇ〜…まじで…?」


俺はフィクサーから放たれる重たい一撃をガードするのではなく、グロックを投げ出して、拳で打ち返して相殺した。


「おお!やるじゃん!」


「ぐ………!!!おら!!!!」


「おお!!!いいね!!!」


俺はニヤリと笑うと、回し蹴りを決めて、グロックを掴み取る。

そして、弾丸を放った。


「お!!かっこいい!」

余裕そうに笑うフィクサーはその放たれた弾丸を体を捻って避ける。


「へへへ…お前も避けられるんじゃん…84で…」


「まあね。やっぱり人間から逸脱するのって、難しいね〜!少しめまいがするよ。」


「じゃあ、今のうちに!!!」


「ああ〜!!せこーい!!」


俺は弾丸を放つ。それも全弾。


と、次の瞬間、目を疑う光景が映った。

めまいで頭を押さえていたフィクサーの右手の中に、鉄の塊…いや、銃の弾丸が握られていた…


「どええええええ…………!?」


「あ、右手が勝手に…!」


「オートで弾丸止めるとか…チートの能力すぎだろ…」


フィクサーは弾丸を離すと、暗闇に鉄の落ちる音が響いた。


「それじゃあ、僕の勝ちかな?」


「ぐぬぬぬ…!!!クッソ…これじゃあ、俺の得意技しか出来ねぇじゃん!!!!」


俺がそう言うと、

「お?得意技?」とフィクサーが目を輝かせた。


次にフィクサーは余裕なんて与えずに、いくつもの弾丸を放った。


まあ、俺はその弾丸全部を避ける。


カチ!と言いながら、フィクサーのH&K45は、弾切れになった。


俺は、H&K45のマガジンが落ち、そして新しいマガジンが装填されるのと同じタイミングで、俺も空のマガジンを排出し、新しいマガジンを入れる。


「結局、得意技って何…?」

そう言いながら、フィクサーは引き金に力を込め、発射。


「まあ、見てろって!」

俺は、フィクサーの放った弾丸に向かって、俺もグロックの弾丸を放つそれも2発。


バアアアアアアン!!!!!!!


フィクサーの放った弾丸と、俺の弾丸、その二つがぶつかり合い、空中で大きな塊を作った。


そして、もう一つの弾丸が、そのくっついた弾丸を後押しする。


「ん!!!」


フィクサーはとんできた弾丸と弾丸の塊をふたつとも掴むと、再び、残っている弾丸を全て吐き出すように、撃ちまくる。


俺は今度は角度をつけて、ギリギリ俺に当たらない角度にするように、弾丸と弾丸をぶつける。


「やば!!!」


弾丸同士がくっつくことなど、ほぼ確実に無いに等しいし、意識してできるものでもない。


「どうよ!?」


「ええ…えぐぅ…」

俺も続いてグロック全ての弾丸を撃ち込む。

まあ、もちろん全て取られたわけだけど。


「っつうううう!!!!!!くそ…弾切れだ…」

今のが最後の弾薬。


本当はデットモードで戦うかと思っていたが、まさか能力の使用制限を喰らうとは思っていなかった…


「そっちは?」


「まあ、こっちも最後のマガジンだったよ。じゃあ、ということは…」


「ということは…!!!」

俺は、時計から一本のナイフを出した。


「よっしゃ!!!近接戦じゃアアアアアア!!!!!!」


俺はその言葉を威嚇するように言うと、大きな一歩を踏み出した。


フィクサーもナイフを掴む。

逆手の持ちの俺のナイフと、包丁を持つように握るフィクサーのナイフ。

その二つがぶつかり合い、火花を散らす。


俺は肩を落とそうと、斬りつけるが、その刃をフィクサーはナイフで受け止めると、それを弾き飛ばし、鳩尾を的確に狙って、後ろ蹴り。


「ぐは!!!!!や、やるじゃん!!!!」


俺は、少し体制を崩すと、そこを狙って、フィクサーはナイフを握る。


一気に距離を詰めるフィクサーに空中で体を回転させて、フィクサーのナイフを回避すると、俺のナイフをフィクサーの腕に斬りつける。


「おっと…!なかなか痛いねぇ〜やっぱ派手な動きは老人の体にはキツいよ〜」


「へへ!そう言って余裕なくせに!」


俺は、ナイフを握り、フィクサーの突きの攻撃をナイフを使って軌道をずらす。


そしてカウンターとして、フィクサーのナイフを持つ右手を掴みながら、フィクサーの首元にナイフの刃を振りかぶる。


「って…まだここで終わっちゃつまらんでしょ?」


そう言いつつ、フィクサーはナイフの刃を左手で受け止める。


「ゼッテー手加減してるじゃん!!!」


「そんなことはないさ。俺は案外ギリギリだよ?」


そういうと、フィクサーは俺の体を膝蹴りで吹っ飛ばす。


「ぐへ…そろそろ効いてくるんだけど…」


「そんなんじゃあ、これからすぐに死んじゃうよ?もっと鍛えたら?」


「へ!!まだ伸び代はあるってことか!!!!」


そして再び、フィクサーに向かって走り出す。


そして、ナイフを再び、逆手持ちにする。

すると、フィクサーはそれを受け止めるつもりなのか、ナイフを構えた。


「俺は、だいぶ英才教育されてきたからね〜」


ナイフをフィクサーの首元に狙いを定めて力を入れるが、そのナイフの刃はあっという間にフィクサーのナイフによって止められる。


「まあ、それでもやっぱり限界ってものは来るみたいだね。」


フィクサーがそう言った時、俺は、ナイフとナイフの絡み合いから一気にナイフを引き抜き、右手に握っていたナイフを回転しつつ、フィクサーの脇腹に刺した。


「一本…とったぜ!!!!」


「おめでと…ゴホッ!!!!!」

そう言いつつ、フィクサーはナイフを持ってその場に倒れた。


「どうする…?一応…救急キット持ってるから、これくらいの傷くらいなら、回復できるけど…」


「いやぁ…ユミーに一本取られたし…もうこの歳だ。この仕事を最後の仕事にしようかと思っていてね。」


「そうか…まあわかったわ。それじゃあ、あとちょっとしたら爆撃が始まるらしいから、そこんとこ、よろしくな。動けはするんだろ?」


「まあ、一応?」


「じゃあ、逃げたくなったら逃げろよ?第二の人生ってのも案外良いかもしれないぜ?」


「ああ………それ良いかも…」


俺はくすりと笑うと、「お前、今死ぬ勢いだったじゃんww」と笑う。


「そういえば、不老のくすりセルーが持ってるとか言ってたな!!!ちょっとまだ生きてみようかな!!!!」


「ははは…そうかい………」

俺は、笑い泣きして出た涙を拭き取ると、よろけながら立ち上がるフィクサーに手を振る。


「ああ。そうそう。これあげるわ。救急キット。これあればなんとなく生きてられるっしょ。」


そう言って、俺は救急キットをその場に置いて行く。


包帯を脇腹に巻くフィクサーに手を振りながら俺はその場を去った。



「またなー。」




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