第22話 MER侵入作戦
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「セルーさん。ユミーってそういえば、生物兵器としてどんな能力を備えてるんですか?」
モニター画面に向かって手を動かすセルーにライラは質問した。
「気になるか?まあ、教えてやろう。」
モニター画面から手を離し、そして、その後ろに座っていたユミーの方を向く。
「こいつはな。まずDEAD MOEDっていうモードがあるんだ。まあ、平たく言えば、殺戮モード」
「殺戮モード?それって普通の何が違うんですか?」
「殺戮モードには、1〜6までのレベルがあって、そのレベルが上がるにつれて、能力が一時的に付与されるんだ。」
「能力?」
「レベル1。大体30tほどのものを持ち上げられる筋力を付与。レベル2。腕一本くらいなら直ぐに治る再生能力を付与。レベル3今までの能力の効果をUP。レベル4身体の構造を改造する能力を付与。」
「結構いろんなのありますね!」
「ああ。まあな。そして、ここからが本番だ。」
そう言い直すと、咳払いを一回してから、モニターに移動した。
「レベル5。青の騎士になる。」
「青の騎士?それって何ですか?」
「青の騎士ってのは、文字通り、騎士の甲冑ような外骨格を身に纏って戦うモードだ。この騎士の甲冑は絶対に壊れることのない物質で構成されている。」
「え?それってミサイルとかでも壊せないってことですか…?」
「いいや?原子を破壊する光線的なのを撃てば良い。物理的強度だけは強いんだ。」
「な、なるほど…」
「そして、レベル6は、青の騎士のレベル2。約400mほどの青の騎士の怪物となる。」
「え?怪物…?」
「ああ。怪物だ。」
そういうと、セルーはモニターに大きな甲冑を纏った大きな怪物が山に向かって己の剣へと変化させた手を振り下ろす映像が流れた。
「これがそれだ」
「こ、これが…ユミー…」
ライラはユミーの方を向くと、再びモニターへと向き直る。
「ところで、ライラくん。再生する能力がユミーにはあると言ったが、そんなエネルギー、どこにあると思う?」
「え?エネルギー?」
「再生するにはエネルギーがもちろん必要になる。それは一体どこから来ている…ということだ。魔法や魔術と違って化学は無尽蔵ではないんだ。有限なもの。そのエネルギーは果たして、どこから湧き出てくると思う?」
「え?しょ、食料…とかじゃないんですか…?」
「食料に腕一本を生やすエネルギーはないさ。正解を発表しよう。」
ゴクリと唾を飲むライラ。
「正解は…全てだ。」
「え…?す、全て?」
「ああ。この世には、ユミーに干渉するエネルギーが山ほどある。空気の摩擦力。太陽光による放射線。光やら熱やら…他にもまだまだある。それら全てのエネルギーをユミーは吸収、そして、己のエネルギーへと変換する。」
「と、ということは…どういうことができるんですか…?」
「たとえば、ユミーに銃弾を撃ったとしよう。ユミーは傷を負うが、それと同時に、再生するためのエネルギーも一緒になって得られる。弾丸の摩擦力、弾丸自体に宿った温度。ああ、それと弾丸の素材自体もユミーは吸収するんだったな。」
「それら全てを吸収して…ユミーは再生する…ちなみに…ユミーを殺す方法ってあるんですか…?」
「まあ、ユミーのいる空間を消し去るとか、ユミーを冬眠状態にさせるとか?まあ、設定してないから無理だろうけど…ああ。あと一応能力を一時的に使わせられないようにする薬も今開発中だ。その時になれば、非常時にユミーを殺せたりできると思うな。」
「な、なるほど…」
「まあ、俺ら以外にこいつを殺せるやつは居ない。そう思っておいた方が良い。」
「なるほど…最強無敵の子ってことなんですね…」
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身長400m 体重70万t
両手には剣へと変わった手の姿。
これが本当の手刀なんっつてな。
俺は、前へと一歩踏み出す。
まるで大きな戦闘ロボを操作しているような気分ではあるが、体の芯に振動が伝わり、シベリアの雪が一気に沈んでいく。
北側の方に顔を向けると、そこには緊急用の迎撃システムの巨大砲台の姿。
射程距離20kmの45cm砲台。
それが10個。
2km先に設置されている。
戦艦大和と同じくらいか、それ以上かの威力を持つ、その砲台の向く矛先はもちろん、青の騎士こと俺だ。
そして、一気に放たれる砲台の弾丸。
もちろんの事ではあるのだが、その弾丸は外骨格にあたり、傷一付く事なく甲冑の上で爆発した。
さてと…流石に鬱陶しいから壊しておくか。
俺は剣先を遠くな離れた砲台へと向ける。
それじゃ、バイバーイ!
剣先に集まる青い光。
そして、腕に力が溜まると、青い光は一気に放たれる。
2kmほど先の砲台に向かって放たれた。
一気に駆け巡る一閃の輝き。
次の瞬間、大きな爆発音を周囲に散らばらせてキノコ雲を発現させる。
放射線混じりの光線を放ったあと、俺は、MERの本部へと再び向かう。
プシュウウウウウウウウウウ!!!!!!!
ロケットのような音を確認すると、俺は上を見上げた。
次の瞬間、ミサイルの雨が、隙間なく降り注ぐ。
甲冑にあたり、傷一つ付かないまま、爆発だけする。
俺が脱出してからもう既に20年は軽く経っている。
今更セルーが生きていることなんて信じちゃいないが、あいつなら生きていそうだ。
脱出当時は大体80前後ではあったが、俺が不老な用にあいつが不老であってもおかしくない。
俺はそんなことを考えつつ、飛んできたミサイルを両手の剣で一丁両断にし、多分、無人戦闘機が小蝿のように飛んできたので、光線を放って、落とす。
これくらいのことは朝飯前だ。
まあ、朝ごはん食ってないけどね。
MER本部まであと3kmほど。
そして、その3kmほどまで近ずくと、そこには戦車や砲台が一列になって並んでいた。
そして、同じタイミングで弾丸が放たれ、俺の身体にあたり、そして爆発。
目戦の先が曇るように煙を巻いている。
妙に視界が隠れるのが鬱陶しい。
俺は足に力を込め、強大な風圧を発生させて、あたり一帯の雪と戦車を吹っ飛ばした。
そして、周りに見える巨大な固定式の砲台に向かって剣先を向ける。
剣先は、光を集めると、一気に、その力を放ち砲台を一瞬で粉々にした。
よし!!
DEAD MODEフェーズ5!!
一気に巨大な騎士の体が崩壊する。
そして、塵になった。
俺は騎士の頭から、本体に翼を生やし、そして、背中辺りにジェットとなる部分を生成。
戦闘機のようにして、俺は飛び出す。
羽だけを使い、人間が飛ぶためには30mほどの羽が必要になるが、戦闘機のようにジェットパックが付いていれば、そんなに大きな羽も必要ない。
俺は背丈ほどの羽を広げて中へと舞い落ちる。
そして、背中から核分裂によって生み出されるエネルギーを放出させて、シベリアの空を飛び回る。
「最初からこれしとけばよかったくね?」
『念には念を入れて、ですよ。』
耳元で、Dの声が響いた。
俺はワイヤレスイヤホンに向かって、「まあ、そうか」と呟く。
そして、手を筒のような形に変化させ、手のひらの上に生成した、丸い鉄球を、空気砲のような手の中に入れた。
「まあ、あんな大砲があったらひとたまりもねぇからな!!」
俺は手の中に入れた鉄球を、核分裂によって引き起こされる爆発の空気によって、弾丸のようにして押し出す。
バアアアアアン!!!
見事にその鉄球はMERの本部の天井の一部を破壊。
俺はその壊れた部分に、羽を広げて、着陸する。
MERの本部の中は、細い廊下のようになっていて、10m起きに青い細長いライトが壁に埋め込まれている。
「特に何もなさそうだな。」
俺は再び、羽を広げ、背中に融合したジェットから火を吹かせる。
一気に温まったそのジェットは、俺の体を加速させ、廊下を駆け巡らせた。
「うぉっしゃあああ!!!!!このままの勢いで救出してやるぜえええ!!!!!」
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