第11話 DELETE
「こ、これは…!!」
軍事基地のドームの中、俺らは足を踏み入れると、そこには不自然な位に空っぽの空間があった。
まるでどこかの体育館のように広く、天井にはいくつものライトがぶら下げられている。
「なんか…怪しいな…」
天井は30m程だろうか、とても高いように設定されていて、見るだけでも怪しい。
そして、そんな大空間の真ん中には、何故か四角い何かの宝石のような物が浮かんでおり、周囲に対して光を放っていた。
「あれを壊せば良いんだよな?」
「え?あ、そうだ。あれを壊せば、データは削除されて、任務完了。俺らの任務はあのデータの削除だからな。」
俺は、クリスアクターを上空へ向けると、標準を定め引き金を引いた。
バババババババババ!!!!!!!!
弾丸は空中を切ると、宝石に向かって弧を描いた。
しかし、弾丸は、何故か当たることは無く、まるでミサイルを迎撃されるように、弾丸はその場で爆発した。
「んな!?」
「あれ?今…なんか爆発した…?」
すると、宝石は焼け焦げるような赤い光を放つ。
「ぐッ!!!」
俺らはその目を焼き尽くされるかのように強力な赤い光に目を細めた。
そして、次の瞬間、俺の周囲からダダダダダダ!!!!!!!という重い銃声が大空間の中に響き渡った。
俺は、やけそうだった瞳を開けると、そこには黒いフードを被り、顔が完全に見えない、セキリュティにも見えない謎の人影があった。
足はなく、かろうじて、手袋が来ている服から出ている程度。
何故かそいつは、宇宙人のように、宝石の近くに浮いていて、徐々に地面へと降りていった。
両手にはトンプソンサブマシンガン。
マフィアが好んで使う銃を二挺握っている。
「あ、あれって何…?」
「さ、さぁ…でも、撃っておいた方が良いかもな…」
その言葉を言うと、アクサンがすぐに、ガリルを取り出し、弾丸を乱射する。
だが、次の瞬間、その弾丸を華麗に避ける。
そして、フード姿のセキリュティは弾丸を避けた後、すぐに、トンプソンサブマシンガンを取り出し、ノータイムで、俺の周りに居た電六のメンバーに向かってエグい量の弾丸を放出する。
ドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
弾丸は、電六メンバーの体を貫通し、ドール人形の足がもげたように、体がバラバラになると、すぐさま、ピクセルへと変化して、俺以外の電六メンバー全員がピクセルの破片となった。
「あ!!!く、くそ!!!!!」
幸運なことに、インターネットの世界では銃弾を受けて、現実に戻されることはあったとしても、死ぬことはないので、端的に言えば、俺以外の奴らは全員game overになっただけだ。
つまり、特に任務を続行するにあたって何の問題もないわけではあるが…
「マジかよ…こいつ強えーじゃん…」
問題となるのは、5人を一気に倒した化け物に俺が勝てるか、という所だ。
「ぜってー無理そー」
でもなぜか、俺にトンプソンサブマシンガンを向けてくる様子はない。
なんでだ?と思いつつも、俺はフードのセキリュティに向かって、一直線に走って距離を詰める。
そして、推定距離が10mほどまで縮まったことを認識すると、俺は一気に天空へと跳び上がり、クリスアクターの引き金を引いた。
ここまで近づければ、流石に避けようが無いはず…と思ったのも束の間、いつの間にか、フードを被っている謎のセキリュティは俺の撃った弾丸を避け、俺の後ろに立っていた。
「な、なんだこいつ…?」
いや、てか、何故攻撃しない…?
「不思議な奴だな…」
俺はマガジンを捨て、新しいマガジンを入れ直す。
「ちょっと、本気出してみるか!!!!」
俺は一度、すこし離れた所からフード野郎をクリスアクターで撃ってみると、またもや、後ろ方向にいつの間にか瞬間移動している。
俺はその瞬間移動したその0.1秒後には、もう一度、そいつに向かって弾丸を発射する。
それでもやはり、後ろを取られた。
「早いな。」
俺は片手に新たな武器、コンバットナイフを生成すると、左手に握る。
俺は左手に握ったコンバットナイフを強く握り、勢いよく、フード野郎に向かって、振りかざすと、フード野郎はいつの間にか真後ろに瞬間移動していた。
「まあ、そうだろうな」
バン!!!!!
響く着弾音。
布を破ってセキリュティらしい鉄の甲高い音が聞こえた。
「真後ろに瞬間移動すると思ったぜ。だから真後ろに銃を撃った。実に簡単な倒し方だったよ。」
甲高い音がなった後、俺は脇から後ろを覗き、背中越しにセキリュティに追い討ちの乱射。
すぐにセキリュティは爆発し、すぐにピクセルの破片へと様変わりした。
ダダダダ!!!!!!!!!
空中に浮かぶ宝石。
やっぱりいくら撃っても赤い光を発して弾丸を撃ち落としてくるな…
威力が弱いのか?
俺は仕方ないと心の中で呟くと、念のために準備してさせておいたタタへと通信を繋ぐ…
〔データバンク軍事基地から約1キロ程…〕
『タタ!あれをよろしく!』
次の瞬間、今までずっと遠くから眺めていたドームに突如として爆発が起き、とても大きな風穴が出来た。
タタは地面に敷いてあった、アンツィオ20mm対物ライフルのスコープを覗くと、風穴の中にうっすらと赤く光る宝石を確認する。
「確認。弾道…確認。」
タタはストック肩を左手で握りしめると、若干の軌道調整をする。
そして、引き金を引き、戦車の大砲のように爆発する、弾丸を放った。
次の瞬間、バリイイイイイン!!!!!!と宝石が砕け散った。
「お!ミッションコンプリーとだな。」
俺はデータの破壊を確認すると、タタに「よし!終わった。帰るぞ。」と連絡を回す。
「了解。」
俺は、体の力を抜きインターネットからの脱却準備をする。
どんどんと体が抜け、視界がだんだんと、白く染まっていく。
そういえば、データ破壊が今回の任務だったけど…結局何のデータだったんだ?
まあ、良いか…
一面に白くなった視界が、徐々に治っていくと、視界の中に写っていたのは、俺の部屋の天井だった。
まるで寝起きのような感覚だったので、俺は少し背伸びをして、ベットから降りる。
すると、Dという名前を表示しながら机の上で震えるスマホが目に映る。
どうやらこんな時間にDが電話をしてきているようだ。
俺は震えたスマホを右手に持ち、Dからの電話を受ける。
『な、何してたんですか!?!?』
と、大きな声で息を荒げるDの声がまず電話越しに聞こえ、一瞬、耳がとれるかと思った。
「な、なんだよ…そんないきなり声出して…お前らしくないな…」
『な、何してたんですか!!!ユミーさんは!!!!』
声はDなのだが…何故かいつものように落ち着きの無いDに不信感を覚えるも、俺はDの質問に答える。
「な、何って…お前らから任務送られてきたからそれをこなしてたんだよ…」
『はぁ!?今日は休みの日ですよ!?任務なんか届いてないはずです!!!!』
「え?じゃあ、俺がやったのって何だよ…?」
『そんなことは知りません!!!!それより大変です!!!!』
俺は息を荒げるDに少し気味の悪さ…いや、ちょっとした嫌な予感を感じる。
「ど、どうしたんだ?」
『Vさんが誘拐されました!!!!!』
「は?」
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