第7話 ミッションⅢ
「なんか、熊区の山中に巫女が居るらしいんですよ。」
「巫女?」
俺とDは、いつもの喫茶店、森崎喫茶に来ていた。
「はい…許可なく、住んでいるという噂があって…」
「ほっとけば良いじゃんか。てか、なぜそんな山に?あそこは昔に神社があった
はずだけど…」
「知っているんですか?」
「まあ、そうだな。昔の話だけど、あそこに毎日通ってた時期があるんだ。」
Dはコーヒーを一杯、啜り、「ユミーさんもそんな時期があったんですね〜」
と感心したように言った。
「まあ、今から80年くらい前の話なんだけどね。」
「ユミーさんは何歳なんですか…?」
「それで、その巫女ってのは、どこに?」
「さっきも言ったように、使山の頂上にある神社です。」
「それって暗殺の依頼とかじゃないよな?」
またVのあんな顔を見たくはないからな…
「まあ、一応…」
なるほどね…
ヤクザみたいなもんか…まあ、優しい対応で、出ていってもらうとしよう。
「分かりました。じゃあ、あんまり殺さない方向で良いですか?」
「まあ、臨時の際はやってしまっても良いですよ?てか、僕的にはそっちの方が
助かりますけどね〜」
「俺はそれで一回、Vに泣かれてるんだ。αのメンバーならわかるだろ?Vを泣か
せるのは、なんか良くない。」
「それって、貴方の私情ですよね?」
「………まあね。」
俺はオレンジジュースが入っていたコップを席に残して、椅子から立つ。
「それじゃあ、お会計は頼んだ!!!」
「え。これってユミーさんの奢りじゃないんですか!?」
「呼んだのお前じゃん!!!」
「場所移そうって言ったのユミーさんじゃないですか!!!!」
ギク…
「まあ…話聞いてあげたということで!!!バイバイ!!!」
俺はDを残して店の出口へとダッシュする。
「霧矢君ご馳走さま!!!!」
俺は厨房にいる霧矢君に挨拶をした後、店を高速で出た。
「はぁ…さすがは電脳特殊捜査隊…足が速いですねぇ…」
Dは顔の影の中にコーヒーを入れた。
起眞市、熊区、使山、麓
「それじゃ、とりあえず行くか…」
なぜ俺がこんな雑用みたいなことをやらされているのか…
それは、戦闘になる恐れがあるからなのかも知れない。
「俺みたいな戦闘要員が出るってことは、そういうことだよな…」
Dもそれをわかっていて多分出撃させたんだろう…
山の斜面に足を突き刺し、泥の上を上る。
少し荒い登山道は、ちゃんと整備されている様子がなく、登山家などもここには
踏み込んでは居ないようだ。
「なんでだろうな…」
使山…たまーに爆発音がなり、温泉があるのでは?と噂されている山らしいけ
ど…
俺は携帯を出し、「起眞市 使山」と調べてみる。
地味に自分の街の領域なのに、まさか、こうやって調べることになるとは…
あんまり登山としかしないのが悪いのだろうか?
あ、あった。
「使山、熊区にある2つの山のうち、南側の山。使山は登る事自体は出来るが、頂
上までは行くことの出来ない神隠しの山として有名である。」
そうだったのか…
「実際に神隠しにあった人は「神の使いに連れ去られた」と比喩され、それが使
山の名前の由来にもなっている。」
え?神に連れ去られた?
「そこには神の使いたる巫女の住んでいる「使山神社」がある、との噂もある。
ちなみに、たまに山の麓から爆発音が聞こえるため、温泉があるのでは?と噂さ
れている。」
巫女?まさかそれって…
カチッ!
「ん?」
バアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!
と、俺が考え事をしながら、登っていると、いきなり足元が爆発し、足首が中を
舞う。
「っっっっだあ!!!!!!!」
右足首から大量に血が流れ、出血が止まらない。
「くそ!!!!DEBT MODO!!!」
俺の目が赤色に染まると、デットモードが発動し、徐々に大量の出血が収まり始
めた。
そして、しばらくすると、出血は、完全に止まり、足の骨が再構築されていく。
「で、デットモードに超再生機能があって良かった…危ねえ…」
3分ほど経った後、皮膚が再構築されていき、立てるようになった。
「まさか…地雷か!?」
俺はとりあえず、腕時計からグロック17を取り出し、地面の中を撃ってみる。
すると案の定、何箇所か撃ったその内の一つの地面が、大きな爆発をしてみせ
た。
神隠しの原因ってこれなんじゃねぇのか?
仕方ない…あれを使うか…
俺は、腕時計の中に閉じ込めてあった、一つの近未来的なデザインのブーツを取
り出す。
「エムの発明品の出番か…」
俺はその場で腿上げをして、少し軌道を試す。
「よし!準備オッケー!システム起動!!!」
ウォォォォン!!!!!
「はじめのい…ッぼぉぉぉぉぉぉぁぉお!?!?」
俺が1本足を踏み出すと、ブーツの裏面から火が吐き出され、爆発音が山の中に鳴
り響く。
一気に風を切り、音速を超えていそうなくらいまで、一気に暴走する。
止まることの無い暴れ馬のように、頂上まで一直線に空を切る。
というか、地面から離れ、そもそも飛んでいる。
「ごれ足ぎょうかとかじゃねぇのかろぉぉぉぉぉ!!!!」
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