何とか代表に・・・なれた?
プログラム順に次々賞が発表される。
中学生だからなのか、ほとんどの学校は銀賞だった。
それでも、たまにゴールド金賞の声に思わずどきりとする。
「大丈夫、金に数量制限無いから」
「はい」
先輩は皆んな上手だった。きっと大丈夫。
そうして私の初めてのコンクールは見事ゴールド金賞だった。
*
「なんで・・そんなに平気なのよ」
「うーん、そう言われても。一応毎年のことだし」
私にとっては初め手の金賞でも、先輩たちにとっては一つの通過点だった。
きっと努力をしてきた自信もあるんだろう。
「確かに先輩たちは余裕ありましたもんね」
「あはは。実はそうでもなかったんだよ」
私につられて隣の子まで泣いたけど、さすが慣れているのか先輩たちは自然体だった。
私は強豪校に入ったんだと、その時あらためて実感した。
*
「あーあ、恥ずかしかった。私ひとり泣いて恥ずかしいじゃん」
「純朴でいいじゃん。ほーら、こっち向いて」
「いや、自分で出来るよ」
「いいから、いいから」
無理やりタオルでゴシゴシやられる。
「ありがとうございます」
「ふふっ、どういたしまして」
*
全ての学校の賞の発表が終わり、次はいよいよ選出校だ。
私はぎゅって隣の子と手を繋いだ。
「緊張するよー」
「大丈夫だよ。皆んな頑張ったもん」
目を閉じて俯き、ただアナウンスに耳を傾ける。
時が止まった。
「九州大会への推薦団体は・・プログラム番号15番。市立南中学校」
「きゃああああああ!」
一瞬で皆んなの声が爆発した!
あんなに冷静だった先輩たちも立ち上がって喜んでいる。
え、やったの?
「私達九州に行けるんだよ!」
「県代表になれたんだ」
そんな先輩たちの姿を見て、
「うえええうれしいいいいよおおおお」
「あ、この子はまた泣いて」
「ぜんぱいもないてるじゃないでずが」
「先輩だからいいのよお。うええ」
こうして
まだまだ私達の夏は続きそうだった。
*
部長が賞状とトロフィーを受け取り、客席へ深々とお辞儀をする。
目には涙が浮かんでいた。
会場からたくさんの拍手が聞こえる。
私も拍手をした。
こんなにキラキラした中学校生活が来るなんて、想像もしてなかった。
姉に言われいやいや入ったけど、すでに私は吹奏楽の沼にハマっていた。
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