第2話『南の島の密室殺人―紬と柚子の華麗なるバカンス―』

第1章:それは南の島の休暇にて

 雲ひとつない真っ青な空、エメラルドグリーンの海。

 白い砂浜に打ち寄せる波の音が心地よく響く。

 南の島・パラダイス・アイランドのビーチには、紬と柚子の姿があった。


「うっひゃー! めっちゃ気持ちええわ~!」


 紬が両手を広げて伸びをする。

 彼女は派手な柄のビキニ姿で、ナイスバディを惜しげもなく披露している。

 その姿は砂浜の男たちの視線を一身に集めていた。


「紬さん、はしゃぎすぎです。周りの目も少しは気にしてください」


 柚子が呆れたように言う。

 対照的に彼女は地味な紺色の水着を身につけていた。


「柚子なんでそんな地味な水着着とんねん。せっかくのリゾートやのに」


「こ、これは私にすごく似合う水着なんです!」


「ほんなんやったらスクール水着とか着とった方がまだましやで」


「ス、スクール……? い、いいんです! これが私にすごくすごく似合う水着なんですから!」


 柚子が頬を赤らめながら反論する。


「ほーん? まあええわ。ほな、泳ぎに行こか!」


 紬が柚子の手を取る。


「ちょ、ちょっと待ってください! 日焼け止めを……」


「そんなんあとでええって。ほら、行くで!」


 紬は柚子を引っ張って海に飛び込んだ。


「きゃー! 冷たい!」


 柚子が悲鳴を上げる。


「なあに、すぐ慣れるって。ほら、こうやって泳ぐんや」


 紬が優雅にクロールで泳ぎ始める。

 その姿は、まるでアスリートのようだった。


「紬さん、泳ぎ上手いですね」

「まあな。ワシは何でもできるんや」


 得意げに言う紬に、柚子は少し呆れながらも微笑んだ。

 紬はさらに元気よくはしゃぎ始めた。


「うっひゃー! 最高や! 柚子、ほら見てみ!」


 紬は両手を広げ、バタフライで海を泳ぎ始めた。

 その姿は優雅というよりも、大はしゃぎする子供のようだった。


「紬さんってば、もう……」


 柚子は嘆息しながらも、微笑まずにはいられなかった。

 突然、紬が海中から勢いよく飛び出した。


「やっほー!」


 しかし、その瞬間、紬のビキニの胸の部分が外れてしまった。


「ぎゃーーーー!!!」


 柚子が絶叫とともに、紬にあわてて近づき、両手で紬の胸を隠した。

 柚子の両手がたゆんたゆんのぼよんぼよんになる。

 けしからん! なんてけしからんおっぱいだ!


「も、もう! 紬さん、気をつけてください!」


 紬は少し驚いたような、でも楽しそうな表情を浮かべていた。


「おっと、ごめんごめん。柚子のおかげで助かったわ」


 柚子は顔を真っ赤にしながら、紬のビキニを直すのを手伝った。


「まったく……この納筋探偵は……」


 二人がそうやって海水浴を楽しんでいると、突然ビーチにざわめきが起こった。


「なんや?」


 紬が首をかしげる。

 その時、ビーチに放送が流れた。


「お客様にお知らせいたします。ただいま、ホテル内で事件が発生いたしました。皆様、大変恐縮ではございますが、お部屋にお戻りください」


 紬と柚子は顔を見合わせた。


「また事件か……」


 柚子がため息をつく。


「おもろなってきたで!」


 紬の目が輝いた。


「せっかくの休暇なのに……」


 そう言いながらも、柚子の瞳にも期待の色が浮かんでいた。

 二人は急いでビーチを後にし、ホテルへと向かった。南の島での優雅な休暇は、思わぬ展開を迎えようとしていた。

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