第4話


 「マヤ暦4096年、この大いなる、祝福された紀年に、青い光の申し子が降臨する。

 ”彼女”は、およそ前代未聞にして、空前絶後…古今未曽有の、大宇宙で最も強靭極まりない、強い、強い、絶対的に負け知らずの素晴らしい”力”と”正義”の化身、権化である。

 ”彼女”は、降臨するや否や、速やかに、最終的な鉄槌と、神罰を、神の怒りの名のもとにもっとも残虐で周到な方法で完璧に遂行する。

 青い光が轟くとき、すべての邪悪なるものは完全に駆逐され、木っ端みじんにされ、あとかたもなく消え失せる。

 (二行判読不能)

 これは最終的な福音であり、全く新しい時代の訪れる烽火のろしであり、人類に残された最後の希望なのである。」


「ううむ」と、シャンポリオンは眼光を光らせつつ、意味を推し量り兼ねて、鼻下髭をひねった。


 「当て推量は可能にしても…具体的には謎だな。その”青い光”とやらが、実際に降臨してからでないとお手上げだ」


 2024年は、一見平穏で、たいした事件も起こらずに過ぎていくかに思えた。

 が、10月に中東の平和的な勢力の指導者が暗殺されて、また不穏な空気が立ち込めだした。


 「世界大戦の起こる確率は、専門家によると70%だそうだ」

 「核兵器アルテマウエポンか…これまでは抑止力として役立ってきた”科学技術の鬼子”が、牙をむいて襲い掛かってくるっていう恐怖が現実のものになる」

 「最終的で、最恐のホラーだな。どこに逃げたらいいんだろう?」

 「シェルターしかないけど、単なるその場しのぎだし、宇宙船でも建設して「ノアの方舟」みたいに種の存続だけでも図るしかないのかも…」


 絶望的な空気が漂い始めた。


 

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