第8話 Einblick in die eigene Absicht(作意の片鱗)

「...小さい」


 言われた言葉に傷つきながら部屋に戻る。


 まぁ、事実だし向こうの人に比べたらやっぱ小さいよな。


 男子にとっては1番のショックの言葉であることは間違いない。


 そのままベッドにダイブしてゴロゴロする。


『なっ!前に言ってた宮野女子なんだけど、学祭一般公開してるらしい!行くよな!な!』


 女子校ね...。

正直、興味ないんだよな。

女子がたくさんいるところとか...。

ふつーに怖いまであるし。


『俺はいいや』と、返事をすると『いやいや!流石に行くでしょ!な!頼むよ!500円あげるから!』


 俺を小学生だとでも思っているのか?

まぁでも...、いつまでも後ろ向きでいることもよくないのかもしれない。


 それにエミーリエにも嫌われたみたいだし、クラスの女子からの評判も特に良いわけでもない俺に取って、これは最後の青春になるかもしれない。


 そうして、うっすらとそんなことを考えていると部屋の扉をノックされる。


「...ん?母さん?」


 すると、ゆっくり扉が開いて出てきたのはエミーリエだった。


「...おっ、おう」


「...日本語の勉強手伝って欲しい」


「...おう」


 どうやら機嫌が直ったらしい。

まぁ、俺が見たわけではないし、ラッキースケベで俺が距離を置かれるのはおかしな話ではある。


 けど、もう俺には教わらないって言ってたのに...どういう心境の変化だ?

やっぱり、ホームシックで精神的に安定していないのだろうか。


「今日はどういう勉強するんだ?」


「...映画を見ようかなって。それでちょっとニュアンスとかいろいろ勉強できたらなと」


 アニメや映画から言語を学ぶのは確かにおすすめである。

俺も昔、母さんにドイツの映画すげー見せられたもんなー。


「何の映画だ?」


「...君の花」


「へぇー。名作だよな。すげー流行ってたし」


「...うん」


 そのまま、映画視聴の準備を終えて、俺がベッドに腰掛けながら見始めると、その横にちょこんと座る。


 ...なんか距離近いんだが。


 そのまま少しだけ右によると、座り直して右に寄ってくる。


 ...なんだなんだ?何がしたいんだ?


 そんなことを考えながら映画が始まるのであった。


 しかし、ある問題が発生した。


 約1時間程度だったタイミングで、うとうとし始めるエミーリエ。


 そのまま俺の肩に頭をのせて、スースーと寝息を立て始めるのであった。


「...ここはバスの中か」と、突っ込みながら仕方なく映画を止めて、そのまま俺のベッドに横にして一人リビングに行くのだった。


 全く、世話が焼ける女の子である。



 ◇


「...無駄に優しいんだから」と、私は狸寝入りをやめて、そのまま起き上がる。


 そうして、部屋を一人散策し始めるのだった。


 目的は...一つだけ。

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