第2話 Guten Morgen, Insekten.(おはよう、虫けらども)
「ねぇ、エミーリエちゃんはなんで日本に来たの!?」
「肌真っ白...どんな化粧品つかってるの?」
「彼氏はいる!?日本人は恋愛対象に入る!?」
「もしかして一人暮らし?」「いや、ホームステイでしょ。冷静に考えて!」
休み時間になると彼女の周りには人だかりができていた。
すると、面倒くさそうにこう答えた。
「Ich mag Japan, aber ich mag keine Japaner. Du versuchst nur, dich an mich heranzumachen... Ihr Leute seid wirklich wie Insekten.
(私は日本が好きだけど、日本人は好きじゃないの。私に近づこうと寄ってたかって…本当に虫のような人たちね)」
「おい、長峰。エミーリエちゃんは今なんて言ったんだ?」
...訳せるわけねーだろ!!こいつまじか...!
最悪だ...。上手くごまかさないと...。
「えっと、日本が好きらしくて...こっちに来たみたいな?ちなみに人見知りらしいからこうやって大勢で来られるのはちょっと苦手みたい...」
「あっ、そうなんだ。ごめんね!ゆっくり仲良くなっていこうね!」と、解散していくクラスメイト達。
すると、足をドンと蹴られる。
「イタっ!」
「Ordentlich übersetzen.(ちゃんと訳しなさいよ)」
くそ、こいつ日本語の聞き取りはできるのが厄介すぎる...。
「Sie wissen schon... Das kann ich nicht übersetzen.(あのなぁ...あんなの訳せるわけないだろ)」
「...」
こちらをじっと見つめ、「ブサイク」とそうカタコトの日本語で言うのだった。
それからもなかなかの地獄で基本的には学校で付きっきり...。
クラスメイトには毒を吐きまくるし、分からない単語などは俺が説明したりと...負担が半端ではなかった。
「...はぁ、勘弁してくれよ...」
てか、帰りも付きっきりなのかこれ...。と、彼女の代わりにキャリーバックを引く俺...。
まぁ、迷子になるかもしれないし、仕方ないよな。
「なぁ、どこにホームステイしてんだ?」
※ドイツ語で会話をしております。
「今日これから挨拶するところよ。だからキャリーバッグを持ってるんじゃない。それくらいも分からないの?」
「...いちいち棘で刺すのやめてくれよ。てか、こういうのって数日前から準備するんじゃないのかよ」
「仕方ないじゃない。学校の手続きミスでギリギリになったんだから。本当は一週間前からこっちに来てる予定だったのに。昨日はホテルに泊まってたんだから」
「...そうですか。ところでホームステイ先はどこなんだ?」
「ここよ」と、携帯電話を見せられる。
...ん??
そう...ホームステイ先はうちだったのである。
「...おい、それうちじゃねーか」
「家族の方から聞いてないの?」
「...聞いてない。母さんとはあんまり話さないし、父さんは仕事で忙しいからな」
「何?不仲なの?そんな家庭にぶち込まれる私、すごく嫌なんだけど」
「別に不仲ってわけじゃない。普通の男子高校生と母親の関係なんてこんなもんだろ」
「そう?まぁ、日本はそういうイメージあるわね。アニメを見ていても思春期の男の子は結構難しいようだし」
「...まぁ、そういうことだな」
そうして、二人で我が家に向かうのであった。
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