20:感情の矛先


「ふぅ。……大変だったけど、楽しかった、かな。」



白虎ヒマ、ユアパールへと変身する戦士の一人。ショッピングモールでの戦闘を終わらせた彼女たちは少々煮え切らない思いはあったものの、気持ちを切り替え当初の目的に。アカリの食料品の買い込みを手伝い、フードコートで食事。その後帰路に就くことになった。


ヒマは先輩として後輩たちを家まで送り届けた後。ちょうど今。自宅への帰り道を歩いていたところである。



(少し前の自分に言っても、信じられないだろうな。)



彼女の日常は、ジュエルナイトたちの変身アイテムであるナイトジュエル。そのパールに選ばれてからすごい勢いで変化していっている。それまではただ自分と見つめ合いながら剣道へと打ち込み、自身の周囲にある目を逸らしたくなるものからずっと逃げて来た。おそらく高校に行ってもずっとそんな日々が続くと彼女は思っていたようだが、初めて変身したあの日から、すべてが変わったのだ。



(まぁ、まだ一月も経ってないんだけどね。)



ジュエルナイトになったことで、新しく広がった交友関係。少し抜けていたり不思議なところがあるけれどしっかりとした芯を持っているアカリに、しっかりものだけど少し背負い込んでしまうリッカ。本来顔を合わせることもなかったような子たちと、友人になることが出来た。そして妖精のプルポというマスコットの様な不思議な存在まで。


アンコーポの怪物たちや、今日追い返すことが出来た敵幹部のビジネス。それと本当に何者なのか解らないけど、私たちの師匠役を買って出てくれている九条恵美。本当に、世界が広がった。大変なことも多いけれど、自分が何かの役に立っているという実感に、より前に進めているという実感。今後もそんな充実した毎日が送れると考えると飛び上がっちゃうぐらい嬉しい、そんな素晴らしい日々。


けれど……。



(……もう、か。)



目の前の角を曲がれば自宅が見えてくる、そんなところまで足を進めた彼女は一度足を止め、ゆっくりと息を吐き出し、表情を整える。先ほどまで浮かべていた柔らかな笑みは消え去り、無に近い冷えた笑みへ。アカリたちの前でも、学校でも見せたことのないような顔を浮かべ、彼女は家へと向かっていく。


自然と、ほんの少しだけ歩くペースが遅くなり、ゆっくりと玄関口まで足を延ばす。インターホンは鳴らさずそのまま自分でカギを開け、中へ。誰もいない玄関を何でもないように眺めながら靴を脱ぎ、古くなり足のサイズが合わなくなってきた自分のスリッパへと履き替える。自分の部屋に戻る前に、ほんの少しだけリビングに顔を出す。


玄関にあった靴の数からして、今家にいるのは母と妹たちだけ。父は帰ってきていない。けれど……、挨拶ぐらいは、しておいた方が良い。



「ただいま。」


「……あぁ、ヒマ。遅かったわね。」


「うん、友達と晩御飯食べて来たから。」



そう自分の“母”へと言いながら。彼女はほんの少しだけリビングの奥、テレビのある方へと目を向ける。


小学校に上がったばかりである妹たち、双子が遊んでいるが……、彼女のことに気が付いていない。いや興味すらないという感じで、遊んでいる。眼すら、合わない。



「一応あるけど、食べる?」


「ううん、要らないや。ありがとう。……上、いるね。」



それだけ告げて、何でもないようにリビングから去り二階にある自分の部屋へと戻る。


普段は着替えとか、洗濯とか、全てヒマ自身で何とかするのだが……。今日は面倒さの方が勝ってしまった。ゆっくりと階段を上がり、そのまま、自分の部屋へ。ドアを閉め、持っていた荷物をゆっくりと床に置いた後、大きなため息をつく。



(……帰りたいなぁ。)



唯一自分の自由が許された部屋の中で、そんなことを思ってしまう彼女。既に動く気力はなく、そのまま床に伏せてしまう。自分の帰る場所はここなのに、まだ心がそれを受け入れてくれていない。……何せこの家には、父を除き彼女と血のつながった人間はいないのだから。


ヒマの家庭環境は、かなり複雑だ。彼女の父は、娘のヒマからしても立派な人間だと思えるような人ではある。けれど少し古いというか、“家庭”という環境に全く興味のない人なのだ。子に向ける愛情は確かにあるのだが、家のことに関しては少しも興味がない。少なくとも、ヒマがそう思ってしまうような人間だった。


そんな彼女の父は、これまで3度、結婚している。


一人目は、ヒマも顔を合わせたことのない人。彼女の兄を産んだ人であり、正義感の強い人だったと聞いている。けれど何かの事故に巻き込まれてしまい、死んでしまった。二人目は、父と再婚しヒマを産んだ人。残されてしまった兄を受け入れ、もう一人の母として振舞おうとした人。



(目を閉じれば、いつでも思い出せる。……でも少し、声が思い出せなくなってきた。)



そんなヒマの母が死んだのは、5年前。一人目の母と同じように事故に巻き込まれて、死んでしまった。既に高校3年生だった兄は何か責任を感じて飛び出て行ってしまうし、父はそれを止めようともしなかった。悲しみを乗り越えるのではなく、無理矢理心の奥底へと押し込めた彼女。ヒマがようやく前を向けるようになったころには、父は三人目の母と結婚。住む場所も変わってしまっていた。


今の妹たちは、その母の連れ子。ヒマとは全く血がつながっていない。中学進学を機に一緒に暮らし始めた子たちではあるのだが……、幾ら歩み寄ろうと話しかけても、妹たちがそれに返してくれることはなかった。自然とヒマも諦めてしまい、兄との繋がりを薄っすらとだが感じられる剣の道に打ち込んでいくことになってしまう。



「ずっとこうじゃいけない。ってのは解るんだけどね……。」



床に突っ伏したまま、自嘲する笑みを浮かべる彼女。少し思考がマイナスに偏り過ぎているのか、体に蓄積した疲労が一気に押し寄せてしまったのか、立ち上がる気力を失った彼女は、つい買い与えられたスマホに手が伸びてしまう。剣道部の友人たちがやっているSNSを覗いてみたり、適当にニュースを見てみたり。やらないといけないことはあるのだが、つい時間を浪費してしまう。


そんな彼女が、過去のニュースを遡っていって。


兄と別れる5年前まで、住んでいた町の名前を見つければ。つい、何があったのかと覗いてしまう。



「…………え。」



そこに書かれていたのは、兄の名前。



「殺傷事件、被害者死亡、犯人不明……。」



隣県にあるとある町で起きてしまった、迷宮入りの事件。


一人の男が腹部に大穴を開けられ、失血死。明らかに単独では不可能で、その遺体の損傷があまりにも激しく大きいことから警察は組織的犯行を想定し、捜査に当たっている。またその男の死亡時刻と同じ時間帯に、とてつもない爆発音と同時にある区画の建物が全て消滅し更地になっていた、しかし書類上は全て最初から更地だったという情報もあるため、警察は関連性を疑っている、と。



「……なに、これ。……兄さん。」



ヒマが何度読み返しても、内容は変わらない。そこに書かれていたのは明らかに兄の名前で、年齢も同じ。昔住んでいた町だからこそ、他人だとは思えない。脳が、理解を拒否している。けれど、どう考えても、自身の兄が死んでしまったのだと、理解してしまうヒマ。


彼女の中で、“何か”が音を立てて崩れ、消え去ろうとした。


その瞬間。


カギを閉めてあったはずの窓が、開けられる。



「ッ! だれ」


【あらら、騒がない方が良いのではないですか、幼子。】



思わず叫びそうになったヒマの口が、何か金属の様な細い物によって、塞がれる。全くもって、その動きが見えなかった。……それでようやく、理解する。とてつもなく抑えられているが、眼前に存在する者から漏れ出る“覇気”を。その、恐ろしさを。


まだ彼女は、アカリやリッカ達からすべての情報を共有されているわけではない。戦士となってから日が浅く、同時に彼女たちも個人の生活がある。そのすべてを彼女に伝えるには、時間が足りなかった。まぁ正確な話をするならば、アカリはともかくリッカはその存在に強い苦手意識と恐怖を持っており、なんか口に出しただけで『あら、呼びましたか幼子』と出てきそうなため、説明する必要が出てくるまで話さないようにしていたのが事実なのだが……。


それが、裏目に出た。


自分ではどう足掻いても勝てないどころか、自身の命すら守れない様な存在。黒と白と黄色の着物に、腰から伸びた金属の様な蜘蛛の脚、仮面をつけていて、酷く冷たい狩人の女王。何か気を損ねることをしてしまえば、何の抵抗も出来ず殺されてしまう。生命としての、格が違い過ぎる。彼女の眼の前に。“蜘蛛”が、そこに。



【えぇ、えぇ。怖がらなくてもいいのですよ、幼子。この町は私の巣、そのに住むのならば私の子として認めてやりましょう。まぁ真なる“子”に成りたいのであれば、もう少し励んだ方がよさそうですが……。おっと、あまり話が逸れてしまうのはよろしくありませんね。ねぇ幼子? 貴女もそう思うでしょう?】



何も、言葉を紡ぐことが出来ないヒマ。


唯一ともいえる、自身の自由が許された場所。そんなところに、化け物が押しかけて来た。そしてさらに、今の彼女の手元に“宝珠”は存在しない。ナイトジュエルは、一括して妖精のプルポが管理している。戦う力のない彼女には、ただ嵐が過ぎるのを祈る事だけ。



【……ふふ、震えながらもしっかりとした眼。愛い愛い、あの幼子たちに仲間が増えたと聞いてみれば、これまた良い戦士ときた。子の成長とはすばらしき哉。そんな愛い子にはご褒美をやりましょう。】



そう言いながら、蜘蛛によって彼女の首に巻かれるのは、金のロケット。兄の実の母の遺品であり、肌身離さず持っていたソレ。……見間違う筈がない。兄の、モノだ。



【『約束を守れなくてすまない』と言っておりましたよ、その男は。ふふ、良い“子”に成るかと思っていたのですが……、残念ですねぇ。】


「ッ!」


【さて、用は済みましたし。帰るとしましょうか。……あぁ、最後に幼子。“蜘蛛”は見ておりますよ? ふふ、ふふ、ふふふ……】



消えゆく笑い声と共に、眼の前から消えていく蜘蛛。


気が付けば目の前には何もなくなっていて、空いた窓と傍のカーテンが風に揺らされている。


彼女はただ、その首に掛けられたロケットを握り締めることしか出来なかった。





「……あ、あれが、兄さん、を。……殺した?」







 ◇◆◇◆◇






「……事実か、ビジネスよ。」


「は! 全て事実です。……すべての責任は、私にあります。」



膝をつきながら頭を下げるビジネスの言葉を受け取るのは、秘密結社アンコーポの頂点に君臨する社長、プレジデント。


妖精界にその本拠を置く彼らは、ビジネスによって打診された幹部会議を承認し、実行。アンコーポが誇るすべての幹部が集まるその場に置いて、ビジネスは人間界の侵攻計画についての現状報告と、ジュエルナイトたちの力量。そして現地の強者が彼女たちに味方しているかもしれないという報告を、行っていた。


任せられた仕事をこなすことが出来なかった。その事実を認めプレジデントへの謝罪も、だ。



「……そう気負うな、ビジネスよ。そもそも我らは人間界に強者はおらぬと判断し、行動を起こしたのだ。そしてナイトジュエルという妖精界の宝を欲したのも、我よ。そう考えればすべての責任は我にあるとは思わぬか?」


「い、いえ! それは……!」


「よい、席に着けビジネス。お前は良い男だ、そう安々と頭を下げるものではないぞ。」



そう言いながら、未だ頭を下げるビジネスにそう言うプレジデント。


明らかに“蜘蛛”。強者の機嫌を損ねてしまったということは事実。無視できない問題だ。人間界への侵攻計画、より効率的に負の精神エネルギーを入手する計画に遅れが出る上に、プレジデントが最優先目標とするナイトジュエルの奪取がかなり難しい状況になってしまった。


彼が蜘蛛の機嫌を損ねず、関係性の好転が出来ていれば起きなかったかもしれない問題。それゆえにその責は重く、確かに何かしらの処分が必要になってくるかもしれないが……、今はそれを考えるよりも、“どう対応すべきか”である。


ビジネスはこの場で何か処分を受けるように思っていたようだが、命じられたのは椅子に戻る事だけ。少し迷ったようだったが、ここで受け入れないのは社長に対しての無礼になる。彼はそう考え一度深く礼をした後、自身の与えられた席へと戻った。



「しかし、ジュエルナイトのみならず、“蜘蛛”。そして未だ謎の強者、か。」



ビジネスが指示に従ったことを見ながら満足げに頷いたプレジデントは、そう零しながら思考を廻していく。


彼はビジネスの能力を高く評価している、戦闘能力は他幹部と比べると少し劣るが、高く纏まっている。さらにその転移の力や、営業能力。彼はアンコーポにとって替えの利かない人材であると言えるだろう。今回のジュエルナイトの戦闘によって営業部は大打撃を受けてしまったが、消耗したジューギョーイン達は補充すればいいだけ。クライナーの生成に必要な資材も補填可能。そこだけ見れば大きな問題ではない。


幹部が生存して帰って来た、その場の戦闘では敗北かもしれないが、戦術、戦略レベルではまだ敗北ではない。



(さて。話を聞く限り、ビジネスではどうにもならぬ相手。どうするか……。)



今回は何故か見逃されたようだが、撤退時に選択を間違えていれば、ビジネスは消滅していた。


前回の戦闘にて『次顔を合わせれば殺す』と言われていたのに、見逃されたのだ。あちら側に何かしらの不都合が有ったのか、それとも単に気が乗らなかったのかは解らないが、もう次はないだろう。奇跡は毎回起こらないからこそ奇跡なのだ。


そしてビジネスの予想になってしまうが、『蜘蛛がジュエルナイトたちを守護している』可能性があるという。人間界や蜘蛛に対する情報が少なすぎる故にまだ確定事項として扱うのは危ういが……。



(その前提で動いた方がよさそうだな。)



今回の戦いでビジネスがジュエルナイトに追い込まれたのは事実ではあるが、完全に敗北したわけではない。プレジデントの信頼厚い彼であれば、次の戦いで全てに対策を施し、勝ちを拾って来るだろう。けれどその代わりに蜘蛛の怒りを買ってしまい、消し飛ばされてしまうことは確かだった。


つまりこれ以上ビジネスに、人間界への攻勢を任せることは危険だと彼は考える。


確かに一瞬、これを機に人間界から手を引くということもプレジデントの脳に過ったが、それはできない。良質な負の精神エネルギーを吐き出す資源地帯を前に手を引くことなど出来るわけがないし、人間界を諦めると言うことはナイトジュエルを諦めることを意味する。



(それは、出来ん。ならば手法を変えるまで。)



故にプレジデントは、担当者を変えることで別の方面から物事を進めるべきだと、思案する。


ナイトジュエルの奪取や、精神エネルギーの入手。確かにこれまで通り独力でもある程度の成果は上げられるだろうが、これ以上に効率よく行うためには、現地勢力との友好関係が必要になってくるだろう。上手くいけば相手からの協力を得ることが出来るかもしれないし、こちらも要らぬ恐怖におびえる必要がなくなる。


それに人間界には妖精のプルポがいるのだ。アンコーポは人間界と妖精界を繋ぐ拠点を確保しているため、そうそう逆侵攻を受けることはないだろうが……。妖精しか知らぬ抜け道があったとしてもおかしくない。



(もし、それで相手が攻め込んでくればその被害は想像もつかん。確かにこちらは本拠地だ、防衛用の設備も人員も揃っている。そうそう負けることはないだろうが、相手はビジネスを軽く捻れる強者。その被害は確実に大きなものとなり、復旧にかなりの費用と時間が必要になるだろう。……素早く行動を起こす必要があるな。)



これを避けるためには、“蜘蛛”との関係性の修復が必須と言える。


滅殺宣言を受けているビジネスでは交渉は不可能、そしてアンコーポ自体への不信感というのもあるだろう。ならば、自分たち単身ではなく、違う現地勢力を頼るまで。



「もう一人の強者、まだ性別と容姿しか解っておらぬが……。もしかすると“蜘蛛”に伝手を持っているやもしれん。まずはそこから攻めていくべきだろう。」



まだ、蜘蛛との関係性は解らない。けれど強者というだけで、近づく意味がある。


謎の女性、野球型クライナーを拳骨一つで無力化した彼女。もしその存在が蜘蛛と友好関係を結んでいれば、間を取り持ってくれる可能性が出てくる。敵対していれば、協力して蜘蛛の無力化が狙えるかもしれない。全くの無関係であっても、友好関係を結ぶ価値がある。



「ビジネスよ。かの強者は、女性なのだな?」


「は! その通りです。」


「となれば、同性の方が話がうまく転ぶやもしれぬな……。クラフト。」


「っとぉ。アタシの出番かい?」



プレジデントが名を呼ぶと、一人の女が声を上げる。



「いいぜ、プレジデント。そこの小僧からも聞いてたが、もうウチのクライナーが型落ちになったらしいからな。“第三世代”の耐久テストも兼ねて、やってやるよ。あっちの職人がどんなもん作ってんのか、ってのも気になるしよ。」



威勢よく答えるのは、巨大なハンマーを椅子に立てかけた赤髪の女性。アンコーポにおける製品の設計及び製作を一手に引き受ける女傑、技術部の“クラフト”である。ビジネスよりも戦闘能力に優れており、以前からクライナーの更なる品質向上のため人間界への視察を希望していた人物でもあった。


前任者のビジネスは少し彼女に苦手意識を持っているようだが、相性が悪いわけではない。というかクラフトからすれば後輩のビジネスを構ってやっているだけだ。ビジネスも苦手意識こそあれど、それを理解しているからこそ受け入れているところもある。


引継ぎに問題はないだろうし、侵攻時の転移も問題なく行われるだろう。


後任としては最適だと、プレジデントは考えた。



「うむ、頼んだぞ、クラフトよ。……お前の仕事は現地勢力と友好関係を結ぶことだ。趣味もいいが、仕事もこなす様に。」


「あたぼーよ! なに、ぱーっと済ませてついでにナイトジュエルも持って帰って来てやるさ! 期待して待っときな!」










ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





〇サルでも解る! ネオ・デス博士の怪人講座!(デスカンパニー製怪人・アブ女編)


我が最高傑作であるクモ女よ。想定よりも早くというか、全く考えていないところであのユアパールとかいう存在が兄の死を知ってしまい、慌ててたのは解るが……。もうちょっとこう無かったのか? 確実にお前が殺したと勘違いされた上に恨まれるぞ? いやお前の能力であれば何が起きようとも問題はないだろうし、変に暴走してどこかに行ってしまうよりはマシだろうが……。良いのか?


……っと、ごきげんよう諸君! ネオ・デス博士である! 今日もサルに等しい貴様らの頭脳でも理解できるように“懇切丁寧”な説明をしてやろう! さて今回はこの私が過去に製作した怪人だ! ちょうど“恨み”に関しての話題が出ていた故にな! 我が宿敵ピレスジェットの恨みを買ったアブ女を紹介してやろう! では基本スペックだ!


■身長:176.2cm

■体重:52.0kg

■パンチ力:20.0t

■キック力:41.2t

■ジャンプ力:33.9m(ひと跳び)

■走力:2.0秒(100m)

★必殺技:騒音飛行乱れ喰い


アブとの適正が高かった女を改造し、高い飛行能力と戦闘力を両立した怪人。それがアブ女よ! アブのメスが持つ吸血能力も保有しているため、人が居る所であればどこでもエネルギー補給が可能。飛行能力も時速200kmを越えていた故に、かなり有用性の高い怪人だな。


素体となった女の性格からか、かなりしっかりとした計画を立て組織に貢献し続けていた怪人だったのだが……。運悪くピレスジェットの友人を丸々吸血してしまったのよな。カラカラのミイラになってしまった人だったモノと、たまたま居合わせたピレスジェット、そしてその吸血を見られてしまったアブ女。うーむ、修羅場という奴か?


戦闘としては、アブ女が奴の周りを飛び回り、真面に立つことすら危うい騒音をまき散らしながらピレスジェットを追い込み、その両腕を破壊するところまでは出来たのだが……。ピレスジェットが折れた腕で無理矢理アブ女を叩きつけ、動きが鈍った瞬間に毒液をアブ女の顔に噴射。顔がドロドロに溶けてしまい怯んでしまったところに、奴必殺の飛び蹴り。爆散四散してしまったのよ。


まぁまぁの出来だった故に、死んだと聞いた当時はびっくりしたものだが……。ま! 我が最高傑作であるクモ女の足元にも及ばぬな! はーはっはっ!!!


ではな諸君! 次の講義まではもう少し真面な頭脳を手に入れておくがいい! さらばだ!






これにて、第1クールは終了です。

お付き合い頂き、ありがとうございました。

これまで通り明日から第2クールを投稿していきますので、よろしくお願いいたします。

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