15:変身! ユアパール!


「っ! いた! って……!」


「あー! 一回に一体がお決まりでしょー! ルール破っちゃダメなんだから!」


「フン! ルールハ強者ガ決メルモノ!」


「然リ! ソシテ敵ヘノ対策ハ為サヌ方ガ礼儀ニ欠ケルトイウモノ!」


「「戦イトハ数ナノダ“ジュエルナイト”ヨ!」」



剣道場から移動し、急いで学園の内部。開けた校庭まで移動して来たアカリとリッカだったが……。待ち構えていたのは、アンコーポが誇る上級戦闘員『ジョーチョー』。普段はそれにつきそう下級戦闘員がいるのだが、この場にいる戦闘員は彼らだけ。けれどその代わりという様に、普段は一人しかいないジョーチョーが、2人。


どうやら兄弟なのか仲良そうに肩を組み合いながら交互に話すその存在は、少し武人の様な話し方でそう叫ぶ。


そしてその後ろで同様に肩を組み合って彼女たちを待ち構えていたクライナーも、2体。思わずアカリが声を上げて非難するが、返って来たのはジョーチョーからの反論。まぁ確かにジュエルナイト側も毎回複数人で戦っているため、相手も複数人で対処して来るのは間違いではないのだが……。よくあるお約束には、違反している。


故にもしこの場に“クモ”が来ていればその身を隠しながら瞬殺して消えていくか、九条恵美として顔を出し片方を粉砕して帰っていくなどしたであろう。けれど現在彼女は出張中。実はアカリとリッカよりも先に現場についていた監視員のあーちゃんも強者側であるため『これぐらいなら頑張って倒せるんじゃないの?』と判断。


2対2の対面が、成立してしまった。



「仕方ない! 行くわよアカリ!」


「うん! プルポお願い!」



相手が生成したクライナーは、ビジネスが使用し始めた強い奴。幹部や上級戦闘員が使用し始めた“強化クライナー”である。2人の力を合わせてようやく撃破できる相手のためかなり不利な対面だが……。たとえ何体来ようと戦わない理由にはならない。気合を入れて、自分たちの妖精に変身アイテムを頼む彼女。



「るぽー! ナイトジュエルっぷる!」



それに答えたプルポが声を上げ、肌身離さず持ち歩くナイトジュエルを放出。


二人の前に飛び出してきた宝石がまばゆい光で彼女たちを包んでいき、戦装束を整えていく。髪色が変化し、それまで身に纏っていた衣が光によって分解され、より戦闘に特化したものに作り替えられていく。そして耳元には、彼女たちの成長を表すイヤリング。


変身が、完了する。



「煌めく輝き! ユアルビー!」


「照らす輝き! ユアダイヤモンド!」


「今日は前口上省略! 行くよ!」


「えぇ!」



簡単な名乗りを上げ、つっこむ二人。対応するように敵の指揮官であるジョーチョーたちが指示を飛ばし、それに応えたクライナーが叫び声を上げながら突撃を敢行する。ノートパソコン型のクライナーがユアルビーに、ラケット型のクライナーがユアダイヤモンドに。


戦闘が、開始される。


クライナー達は、1体1体が2人で対処しなければ危険な相手。ルビーが直感で理解し、ダイヤがその反応を見て策を組み立てる。出来上がったのは、どちらかに大きな一撃を与え吹き飛ばした後。一時的に2対1を作るというもの。すぐに相手は復帰して来るだろうが、その時はもう一度吹き飛ばし2対1を作り続ければいい。そんなダイヤの考えを理解したルビーが、行動を起こす。


ダイヤはスピード・テクニック型。最近鞭打という技を手に入れたが、アレは相手を吹き飛ばす様な技ではなく、ダメージを蓄積させるものだ。故に”吹き飛ばし”は瞬間火力に優れたルビーの役目。


幼馴染故に、言葉にせずとも理解できる。即座に自分がすべきことを理解した彼女が選ぶのは、必殺技。自身が持つエネルギーを拳に集め。自分に向かってきたノートパソコン型クライナーに向かって。


殴る。



「初手必殺! 『ルビーィ! パーンチ!』」



鮮やかに輝く真っ赤な拳。それまでのクライナーであれば完全に吹き飛ばされるような一撃。


けれど……。



「! KURAINAっ!」


「っ! 痛いー!?!?」



ルビーの攻撃を見て。それを迎撃するように勢いよくその蓋を閉じるノートパソコン。


元になったパソコン自体、金属製でそもそもの装甲値が高い。それがクライナー化されたことによってさらに強化されてしまっている。いくら拳を握っていたとしても、そんなものに勢いよく挟まれればとんでもなく痛い。すぐに手を引っ込め叫び声を上げながら、真っ赤に晴れ上がった手を冷やす様に息を吹きかけるルビー。


そしてそのルビーの悲鳴に気を取られてしまったダイヤにも、魔の手が忍び寄る。



「ルビー! ッ!?」


「KURAI、NAー!!!」



ラケット型クライナーが、全身を振るうことでユアダイヤモンドに襲い掛かる。


ぴんぴんに張った網状の部分、ガットが彼女の体に。即座に全身を精神エネルギーで包み込み防御するダイヤだったが、敵の攻撃力はそれを上回る。消力の原理こそ彼女たちの師匠に教わっているが、そう簡単に何度も成功できる技術ではない。思いっきり吹き飛ばされてしまい、地面を転がるダイヤ。受け身こそ取れたが、痕が残る程のダメージを受けてしまう。


二人とも初手で痛手を負ってしまったジュエルナイトたち。


戦闘が続けられない程のものではなかったが、明らかに後を引くものだ。そしてこの攻防で、相手のより正確な能力を察してしまう。ノートパソコンは装甲が堅く元が少し古い機種のせいか重量もある、また開閉による攻撃がかなり強い。ラケット型は軽いが、速度があり、網目を使った攻撃は凶悪。タンクも出来るパワー型に、攻撃力のあるスピード型。明らかに、自分たちの上位互換。



((強い!))



連携を取れれば、勝機は見えてくる。けれど相手もそれを理解しているのか、起点となるルビーが吹き飛ばしを出来ぬように防御を固め、1対1を維持するように、合流されぬように立ち回っている。



(少し、不味いかも。……でもやることは一緒。戦いながら、隙を見つける。勝ち筋を探る。それだけ。)


(絶対、負けないんだから! パワーで負けてても! 気持ちで勝つ! やるぞやるぞやるぞ!!!)





 ◇◆◇◆◇





「……ほ、ほんとに。いたんだ。」



思わずその言葉を口にしてしまう、彼女。白虎ヒマは、その一部始終を見てしまっていた。


クライナーが出現したことで校内では避難が行われ、生徒も教師も全速力で学園から逃げ延びていた。けれど彼女はそれに逆行し、二人を探し続けたのだ。もし教師に見つかれば無理矢理連れ戻され避難させられていただろうが、彼女がいたのは剣道場。今日は部活がなかったと言うこともあり、顧問も席を外していた。学園内でも少し離れた場所にあるが故に、彼女が校庭に辿り着いたときに残っていたのは彼女くらい。


けれどそれが、より彼女を焦らせてしまった。


誰ともすれ違わなかったと言うことは、この周辺に誰もいなかったという事。何せ、真っ先に逃げてしまった二人は後輩。まだ一学期の最中と言うこともあり、新入生の彼女たちはまだ校内に疎い。周りに人が居なければ、誰かに付いて行くと言うことも難しい。どこかで迷ってしまっている可能性も考えられた。


教師がいない以上、責任者は自分。後輩たちを守るためにも校内を走り回り、また同時に騒ぎが起きている方へと彼女たちを探しに行ってしまうのは、明白だった。


故に……。



「「変身!」」



その姿を。後輩たちがジュエルナイトに変身する姿を、見てしまう。


剣道場で行われた不思議なやり取りと、眼の前で行われた奇跡の様な出来事。そして彼女たちと相対している、強大な敵。最近巷を賑わせていた噂が事実であり、あの後輩たちはそれと戦っているということを理解するまで時間は掛からなかった。


あまりの出来事に、思わず身を隠してしまう彼女。クライナーという怪人は秘密結社界隈の基準からすればかなり下の方だが、一般人からすれば圧倒的な強者であり、化け物。ある程度武術を齧っていたせいかその実力差を理解してしまったのか、それとも後輩たちの隠し事を見てしまったことが憚られたのか。彼女自身にもその理由は解らなかったが、少し離れた場所で、邪魔にならないように戦いの様子を見つめるヒマ。



(……追い、込まれてる。)



原理は解らないが、その体を鮮やかな物へと変え、変身した後輩たち。物語のお約束のように、華麗に敵を倒してくれるのではと予測したヒマだったが、その予想はたやすく消し飛ばされる。


2対2、もっと正確に言えば1対1が2つ。その状況に少しずつ押されていくジュエルナイトたち。諦めず戦い続けているが……。このままでは、明らかに負けてしまうだろう。だれが見ても、かなり不味い状況。そんな時、ヒマの視線は依然として肩を組みながらクライナー達に指示出しをしている、ピンク色の戦闘員たちの方へ。



(油断、してる。……兄なら、そうする。なら私も、やらなきゃ!)



おそらく、自分たちの怪人がジュエルナイトを圧倒していることで機嫌が良いのだろう。明らかに隙を見せているその存在を見つけた彼女は、後輩たちの為に動き始める。運のいいことに、剣道場から自身の竹刀を持って来てしまっていた。


敵の視線に入らぬように、飛び出す彼女。


狙うは、その頭。



「やァァァ!!!!!」



胸の奥で燻る恐怖を消し飛ばす様に声を上げ。背後からその脳天に向かって、竹刀を叩きつける彼女。


けれど……。



「ム?」



いくら雑魚として判断される戦闘員でも。そのスペックは常人をはるかに上回っている。精神エネルギーによって構成されているということから体重こそ軽いが、その能力は常人に負けるほど、弱くはない。何でもないようにその頭で竹刀を受け止めたジョーチョーは、ゆっくりと後ろを向く。



「ホウ! 気概ノアル娘ヨ!」


「兄者! ココハ予備ヲ使ウベキデハ?」


「確カニ! 流石ダナ弟ヨ。デハ三体目トイコウカ!」



ヒマが強く握っていたはずの竹刀を奪い取り、それを吟味したジョーチョーたちはそう言いながら懐から黒く濁った宝石を取り出し始める。込められているのは、負の精神エネルギー。対象の思い入れのある物品とその持ち主に眠る負の精神エネルギーを組み合わせることで、クライナーを生み出す道具。


眼前の彼女からはそこまで強い負のエネルギーを感じなかったジョーチョーたちであったが、ジュエルナイトたちへのダメ押しとして三体目を作るべきだと判断してしまう。



「っ!」


「ットォ。逃ガサヌゾ。」


「あ!? 先輩!」


「させなっ「KURAINAー!」っ! 邪魔ぁ!!!」



その黒く濁った宝石に強い恐怖と危機感を覚え、すぐさま逃げようとしたヒマであったが、相手の方が早かった。すぐにその手を掴まれてしまう。それを発見したジュエルナイトたちが阻止するために動き出そうとするが、クライナー達によって遮られてしまう。


まさに絶対絶命の瞬間。



(ボクが、ボクがもっと強ければ! こ、こんなもの!!!)



最後まで諦めないその強い心に、宝珠は常に答える。


瞬間、妖精のプルポが持つ箱から、すべてを包み込むような白い光が、放たれる。



「な、ナイトジュエルが! パールが! 反応してるぽっ!? ぷるるぅ!?!?」



その輝きが一層強くなり、箱から飛び出る様に大空へと射出されるパール。その衝撃によって吹き飛ばされるプルポだったが、宝珠は一切気にしない。自身の適正者、新しい相棒にして主人である彼女の元へと、飛んでいく。腕をつかんでいたジョーチョーたちをも吹き飛ばし、ヒマの手元へ。



「これは……、いや、話は後。だね。……力を貸してくれるかい?」



自分の元に飛んできた真っ白な宝石。何物にも染まらない色を持つパールに対しての、なぜ飛んできたのかという疑問や、助けてくれたことへの感謝。脳内に浮かぶ聞くべきことは多数あったが、そのすべてを後回しにすべきだと判断した彼女。強く頷きながら宝珠を見つめ、その返答という様に放つ光を強くする、パール。


一部始終見ていたから理解できる。これからすべきことは、たった一つだけ。



「これでも先輩なんだ。後輩が頑張っているのに、私が何もしないのは! 間違ってるよね!」



宝珠が高く、掲げられる。



「変身!」



彼女がそう叫んだ瞬間、白い光がヒマを包み込んでいく。髪色は白く変わって行き、その服装も袴姿から、他のジュエルナイトたち同様可愛らしい物へ。そしてこれまでの鍛錬と誰かの為に身を挺して前に出たことを評価されたのだろう。ルビーやダイヤたちと同様に、耳元にはパールのイヤリングが輝きを得る。


そして、それだけでは終わらない。2人から、3人へ。本来の人数へとより近づいた彼女たちの宝石が、共鳴を開始する。誰かと一緒だから強く成れる。正の精神エネルギーが互いを助け合い、重ね合い、より強くなっていく。それは彼女たちが纏う服装にも表れ……、腰元に、フリルの様なリボン。新たな装飾が、追加された。


全ての行程が終了し、彼女を包み込んでいた光が、ゆっくりと消えていく。


三人目の戦士の、誕生である。



「……ユアパール、でいいのかな? よろしく頼むよ、後輩ちゃんたち。」






 ◇◆◇◆◇





「せ、先輩! ……およ? わ! わ! なんかパワー上がってる!」


「これが、メンバーが増えることで戻る力ってこと、ねッ!」



パール同様に、二人の腰元からも伸びるフリルリボン。彼女たちが扱える精神エネルギー量が増えたことを表すソレに気が付いたルビーとダイヤは、即座に攻勢へと転じる。それまで硬い装甲で攻撃を受け止めていたノートパソコンに対して、全力のパンチを繰り出すルビーに、鞭打によってラケットの脚部を崩しその胴体にドロップキックを叩き込んだダイヤ。


強化された肉体によって叩き込まれたその攻撃は確実にクライナー達の芯を捉え、吹き飛ばす。ほんの少しではあるが、彼女たちが合流し言葉を交わす時間が、生み出された。



「「先輩!」」


「ルビーにダイヤ、でいいのかな。急でごめんだけど……、私も戦わせてくれるかい?」


「もっちろんです! というかさっきお邪魔したのもこのためでしたし!」


「ルビー、貴女ねぇ……。」



きゃぴきゃぴとはしゃぎながらパールの手をもって大きく握手するルビーに、あまりにも早い距離の詰めように呆れるダイヤ。パールはそれを受け入れながら、楽しそうに笑みを浮かべる。


おそらく、変身時に起きた精神エネルギーによる共鳴現象によって起きたもの。単に彼女たちの力が向上しただけではなく、パールの頭には必要最低限の知識がまるで最初からそこにあったかのように、存在していた。おそらくルビーやダイヤが持つ宝石に蓄積されていた情報。眼前の敵がアンコーポと呼ばれる秘密結社で、敵の怪人がクライナー。正の精神エネルギーを強くぶつけることで、元に戻るという事。


そしてもちろん、精神エネルギーの使い方も。



「さて。キミたちに合わせるのなら私も素手で戦った方が良いんだろうけど……。あんまり得意じゃなくてね。どんなことが出来るか試したいし、ちょっとだけあの相手。譲ってくれるかい?」


「え! それはいいですけど……。」


「大丈夫ですか、パール先輩。」


「もちろんだとも。これを使えば、ね?」



そう言いながら彼女が拾い上げるのは、先ほどジョーチョーたちによって取り上げられてしまった自分の竹刀。彼女はそれに、自身の精神エネルギーを詰め込み……。変化させる。


3人となった彼女たちの力は、物質の変容を可能とする。竹によって構成されたそれが光によって作り替えられて行き……。新たに生み出されるのは、白い宝石の剣。名付けるのであれば、“パールソード”。装飾やその刃の幅から見て西洋剣の様なイメージを持つが、その本質は日本古来の刀。竹刀と違い多少取り回しが違うようであったが……。彼女であれば、問題はない。



「ッ! 三人ニ成ッテシマッタゾ兄者!」


「慌テルナ弟ヨ! ソモクライナーヲ合ワセレバ我ラハ4人! 未ダ数ハ上! 行ケ! クライナー!!!」


「「KURAINAー!!!」」



ジョーチョーたちの指示を聞き、立ち上がったクライナー達が一斉にパールに向かって襲い掛かる。けれど彼女は一切動じず、先ほど生み出した剣を、腰に移す。彼女が取った構えは、居合。ゆっくりと、けれど大河のように彼女の体からパールソードに流れ込んでくる精神エネルギー。


そのすべてが、今解き放たれる。



「ㇱ。」



一閃。


白い切っ先がクライナー達へと襲い掛かり、世界ごとすべてを切断する。


流石にクライナー達は大ダメージと共に吹き飛ばされるに収まったが、それまで指示を出していたジョーチョーたちは綺麗に真っ二つ。その肉体を保つことが出来ずに、消滅してしまった。



(……ふぅ、あんまり居合は得意じゃないけど。このイメージを現実に落とす力。凄いね。)



年の離れた兄がよくやっていた居合、それを見て自身も剣の道を進み始めたのが彼女。白虎ヒマだ。ただ彼女が持たぬもう半分の血、兄の母の血に居合の才が眠っていたのか彼女自身はすぐにそれを諦めてしまったのだが……。兄と別れるまではずっと、その居合を傍で見ていた。


だからこそ今でも目をつむればいつでも思い起こすことが出来る。


そしてそれを、精神エネルギーの補助を得て、その身に落とすことも、だ。



「わ! わ! パール先輩凄い!」


「ふふ、ありがとうルビー。あぁでも、ちょっと長いし呼び捨てでいいよ。」


「じゃあパール! すごーい!」


「はぁ、相変わらずね、ルビーは。さ! 二人とも! 今のうちに決めるわよ!」


「えぇ!」「あぁ!」



ダイヤの指示に合わせ、一斉に空へと飛び上がる三人。彼女たちの胸に輝く“ナイトジュエル”がその輝きをより強くし、誰かを救いたい、守りたいという想いをより強いエネルギーへと変換していく。


放たれるのは、彼女たちの必殺技。より強く放たれる、三色の光。



「ルビーシャワー!」

「ダイヤモンドシャワー!」

「パールシャワー!」


「「輝く希望の宝石よ! その心の闇、払い給え!」」



「「トリプルジュエル・シャワー!!!」」






ーーーーーーーーーーーーーーーーー






あの後追加で3つほど秘密結社を闇に葬った後、あーちゃんから送られてきた本日の報告書に目を通した怪人クモ女こと九条恵美


「ど、どんな確率よ……。うわどうしよ……。」




〇サルでも解る! ネオ・デス博士の怪人講座!(ユアパール編)


はーはっはっ! ごきげんよう諸君! ネオ・デス博士である! 今日もサルに等しい貴様らの頭脳でも理解できるように“懇切丁寧”な説明をしてやろう! さて今回はジュエルナイトとかいう奴らの新しい戦士、ユアパールについて解説してやろう! 何か我が最高傑作であるクモ女は思うところがあるようだが、お前のスペックの前ではすべてが霞む! 何も気にせずとも丸く収まる! いや収めることが出来るだろう! 物理でまとめてしまえばよい話だからな! はーはっはっ! ……え、そういう事じゃない?


■身長:164.8cm

■体重:59.9kg

■パンチ力:8.0t

■キック力:11.4t

■ジャンプ力:15.3m(ひと跳び)

■走力:2.8秒(100m)

★必殺技:パールシャワー、パールソード


本名は白虎ヒマ、昨年度剣道の県大会で優勝し全国でも善戦した才能あふれる中2と言ったところだろう。まだ若い故に誘拐などはされていないだろうが、高校を卒業したあたりでどこかの組織に誘拐されて改造されてもおかしくない肉体の持ち主だな! ま、ジュエルナイトとなり蜘蛛の保護対象になるであろうことを考えると、そんなことは未来永劫起きないだろうが。


にしても、ユアパールだけでなくユアルビー、ユアダイヤモンドも基本スペックが同様程度。約1.5倍されているのは面白いな。以前私がした予想通り、変身した人数分だけ強さに倍率が掛かるのだろう。いやもっと正確に言うのならば4人集まらなければ本来の力を発揮できない、という所だろうな。


まだまだそれ以外の伸びしろもあるようだし、今後の成長が楽しみよ。成長しきった暁にはこのネオ・デス博士は改造を施してやる故! お前たちの師匠であるクモ女に頼み我が肉体をよみがえらせるといい!


ではな諸君! 次の講義まではもう少し真面な頭脳を手に入れておくがいい! さらばだ!




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