16:どちらも結末は同じ


「ふぅ、ギリギリ週末には帰れそうだね……。」



そんなことを口ずさみながら、大量に購入した駅弁を口に運んでいく。ちょっと気になったお店の商品を色々大量購入させてもらったんだけど……。う~ん、おいし。お弁当のから揚げってどうしてもぱさっとしちゃうんだけど、ここのはそういうのがない上に美味しいんだねぇ~。これは新しい発見。


しかもから揚げだけじゃなくて色々入ってるおかげで、眺めてるだけで楽しい。は? 最高か?



「予約して大量に用意してもらって正解だった、ね。」



私は今、都心からひかりが丘方面に向かう新幹線に乗っている。


そう、ようやくお仕事の目途が付き帰宅って感じだね。いやはや、今週はとっても濃い一週間だったよ。お掃除もお仕事もかなり成果があったからまだ良かったけど、とんでもなく疲れちゃった。


ま、肉体は未だ万全の状態だから精神的な疲労なんだけど。


ひかりが丘を出てから最初の秘密結社を消し飛ばした後、より足を進めて周辺の秘密結社を消して消して消しまくった。本拠地を消し飛ばすだけならすぐ終わるんだけど、街から怪人とか戦闘員とか裏で繋がってた悪徳市民とかを探し出して消さなきゃいけなかったから、とっても疲れちゃった。でもまぁ30ちょっと刈り取れたし、全て跡形も残さず消し飛ばした。少し時間が経てばまたどこかから湧いてくるだろうが、当分大丈夫だろう。


そしてそれが終わってからは、都心での活動。



(“九条恵美”としては満点って言っていいレベルの成果だったよね。)



昔の伝手でかなり大口のお仕事を依頼してもらうことも出来たし、お仕事自体はもらえなかったけど今後何か頼んでくれそうな人と伝手を作ることが出来た。少し寂しくなっていたお財布も、すぐに元に戻ってくれるだろう。しかもちょっと時間が余ったから少し足を延ばして、昔実家があったあたりにも立ち寄ることが出来た。久しぶりになじみの定食屋で何も気にせず食べることが出来たし、大満足よね。


けど、“クモ女”としての活動があんまり……。



(やるべきことはちゃんとしたんだけど、少し雑な仕事になっちゃった。いや、あまりにも数が多くてさ……。)



怪人に、戦闘員。そして組織。もう消しても消しても全くなくならない。いやまぁデスカンパニーが起こる前から都心は激戦区だし、いくつもの組織が生まれては消えて来た。そのせいで物資や改造に必要な機材はどこでも手に入るし、もともと人が多いから素材には事欠かない。私が離れてた分増えるのは仕方ないけど、ここまで増殖してるとは……。


ほんとにね、数が多いのよ。ヒーロー君たちも頑張ってるみたいだったけど、クモちゃんグロッキーになっちゃう。そのせいでいくら秘密結社のビルといっても、力加減間違って縦に両断しちゃったし、もう災難。結局表向きには地盤事故で収まってたけど、思いっきりニュースになっちゃったよ……。


まぁ私の姿を見た人は全員もうこの世にいないから私の存在が露見することはないけど。



(どれだけ消したか解らないぐらいやったけど、まぁ間引くことは出来たはず。けどちょっと暴れすぎたのか少し情報収集に失敗しちゃったのよね……。野良のクモちゃんの数も減ってたし。)



おそらくどこかの秘密結社が行った侵略作戦の余波で死んじゃったのだろう。蜘蛛以外の虫も大量に死んでたし、私の知らないところでピレスジェットの様な対蟲のヒーローが出てきてたのかもしれない。まぁそれは悪が減るからいいことなんだけど、都心にいた野良蜘蛛の数が酷く少なかったと言うことは事実だ。


情報収集を頼む野良蜘蛛ちゃんの数が少ない上に、私が精神的疲労でグロッキー、暴れすぎちゃったので身を隠すためにあまり大きく動けない。そのせいか雇った蜘蛛たちの指揮も精細を欠いてしまい、集められた情報はほんのわずか。必要最低限は手に入ったけど、少し不満の残るものになってしまったってわけ。


今私の手元にあるのは、都心で活躍してる各ヒーローの現状と私の宿敵とも呼べるピレスジェットの情報。前者はある程度手に入ったけど、後者は“南米にデスカンパニーの残党を消しに行ってから消息不明”だ。……アイツが死ぬなんて考えられないし、多分南米で暴れまくってるか、何かの虚偽情報を掴まされたのかどちらかだろう。



(まだ都心に住んでたころ、奴が海外に行ったって聞いてこの隙に家の周りの掃除しちゃおうって顔出したらその直後に『なんか帰って来た』って情報が飛んできて急いで引きこもったとかザラにあるからな。)



蜘蛛たちが頑張って集めてくれた情報だけど、まぁ参考程度に。信じすぎないように慎重に動かないといけないことには変わりないね。



「はぁ……、まぁとりあえずやる事は終わったし。反省は程々にして帰り道を楽しまないと損かなぁ。」



そんなことを口ずさみながら、再度駅弁を口に運ぶ。


わざわざ指定席を一列取って、三桁ほど予約した駅弁を食べてるのだ。嫌なことは気にせず食事を楽しむのが鉄則なんだろうけど……。やはり考えてしまうことが、一つ。



ジュエルナイトの新メンバー、白虎ヒマ。



(なんでこう! ややこしいことになるかなぁ……!!!)



ペットのあーちゃんから送られてきた情報を見て、心底驚いた。明らかに私が受け取った金のロケットの“彼”、その妹だ。ひかりが丘に住んでいた時点で少し嫌な予感はしていたのだが……、彼女がジュエルナイトになってしまった。


勿論、いいことだ。彼女たちにとっては新しい仲間だし、ジュエルナイトの法則的にメンバーが増える程力を取り戻す、って感じらしい。さらに先輩と言うことで色々相談できる身近な相手も増えたわけだ。頼り過ぎちゃうと彼女の負担になってしまうからそのあたりのフォローは私がしないとだけど……。



(私にとっても、彼女たちにとっても。諸手を上げて歓迎すべき。)



でもね?


私、彼女のお兄さんの最期看取っちゃったんですよ……。


しかもその仇である秘密結社、文字通り全部消し飛ばしちゃったんですよ……。



(タイミング! もうちょっと、もうちょっと早く加入してくれてれば!)



あんまり思いつかないですけど! もうちょっとこう! 何とかなったかもじゃないですか! 


あぁぁあぁぁ!!! ……もうやけ食いしちゃう!


駅弁を20程カラにしながら、思考を廻し少しスマホを眺める。出張という体で私がひかりが丘から離れていることは、アカリさんとリッカさんのお二人には伝えていた。そして今帰っていることも、伝えている。……というかアカリさんがほぼ毎日連絡をくれるので、返していくうちに自然とスケジュールを公開する形になった、って言った方が良いかな?


だからもう決定していることなんだけど……、今週の日曜日に、彼女たちと共に特訓することになっている。



(どうしても参加したいらしい彼女、“白虎ヒマ”も来る。)



あーちゃんが集めてくれた情報を見るに……。どうやら完全に部外者である私のことを警戒している様だった。後輩たちから話を聞いて最初は凄い人だと認識したようだが、ジュエルナイトなどの正体を明かさず、理由も聞かずに特訓を付け、何度も食事に連れて行っている。


これがまだ親族だったら『優しいお姉さんね』で終わったんだろうけど、完全な他人。そのため変な大人が近づいているかもしれないと考え、“私”を見極めるために参加を表明したという形だ。まぁそれは正しい感覚だし、その懸念通り私は変な大人。というか人ですらない怪人、バケモノだ。


だから彼女が参加するのは別にいいし、アカリさんとリッカさん、2人には良い先輩が出来たねと一緒に喜んであげたい。ヒマさんもヒマさんで後輩想いで凄いねと言ってあげたい。……あと初手で警察とか教師に相談しないでくれてありがとう、とも。



(自分が付いて行くよりも、大人に相談した方が正解なんだけど……。そうなると私がそっちのお世話になっちゃうから……。うん……。)



まぁそれは置いておいて。


ジュエルナイトというヒロインになり、戦う者へとなったのならば、私は全力で手助けをしよう。彼女たちに手を差し伸ばせるのは私だけだし、責任は果たさないといけない。それに、ある程度武術を齧っているからと言って調子に乗られるのは困る。強者との戦い方も教えるつもりだし、必要なら私を相手にチームでの戦いも練習した方が良いだろう。勿論更なる肉体の向上のためにアカリさんやリッカさんに渡したような食事管理やトレーニングのメニューも作るつもりだ。


その辺りは、問題がない。家に帰ってちょっと強化フォームで作業すれば普通に用意することが出来る。けれど……。



「どう対応すべきなんだろうなぁ。」



絶対に、“九条恵美”にこのロケットを渡すわけにはいかない、よね。


そう考えながら、袋に入れて保管しているロケットを取り出す。


既に受け取り時に付着してしまった私の指紋は消した。そして彼が彼女に残した遺言を書いたメッセージカードも用意済み。既に彼女の部屋には監視用の蜘蛛ちゃんを配置済み、私が自分で置きに行ってもいいし、その監視役の子たちが休憩の為に交代する時にでも頼んでこのロケットとカードを机にでも置いてもらえば、“頼まれた仕事”は終わる。


彼の頼みだ。私の都合でこれを渡さなかったり、どこかに保管しておくということはできない。


けれど……。



「確実に、探し始めちゃうよね。」



兄の遺言の様な言葉と、ロケットという遺品。確実に何かあったと察するだろう。ちょっと調べた結果少し複雑なご家庭の様で、おそらく兄のことをヒマさんが“今の”ご両親に相談することはできないだろうと推測できる。彼女が一般人であればそのまま無理矢理飲み込んで終わり、だったかもしれないが……。


力を得てしまった今。暴走してしまう可能性は非常に高い。


そう考えながら、スマホを少し操作し、“彼”が運び込まれた病院の記録を閲覧する。



「普通の病院、秘密結社や正義陣営が関わってない所。……死亡判定、出てるね。」



改造人間は、人じゃない。だからこそソレを完全に信じることはできないが……。最悪の可能性は酷く高いだろう。もしこの記録が偽造で、上手く再改造を受けたとしても、あの時の彼は明らかに黄泉へと両足突っ込んでいた。脳にかなりのダメージが入ったのは確か、記憶や精神に多大な影響を受けていてもおかしくはない。一応現地の野良蜘蛛ちゃんたちに見かけたら教えて欲しいと伝えているが……。


期待しない方がいい、かな?



(本当に、どうしようか。)



彼が戦ってきた組織は私が跡形もなく消し飛ばしてしまった。だから兄の足跡をたどって探したとしても、何も出てこない。けれど裏に脚を踏み入れてしまえば……、余計なものにその存在を知られてしまうだろう。まだ彼女の性格を全て理解した訳でもないし、彼女が自身の兄のことをどう思っていたかも知らない。けれど常に最悪は、考えておくべきだ。


……私が“間に合わなかった”のは事実。どうせバケモノだし、恨まれるのには慣れている。ちゃんと説明したとしても、彼女が納得できるとは思わない。必ず、彼女が納得できる何かが、乗り越えるのに必要な何かが必要になってくる。けれどその“答え”を闇の中に求めてしまえば、彼女は終わる。


私だって、その全てを守ってあげられるわけじゃない。彼女の力は、酷く弱い。私の様な理不尽を相手に足掻ける程強くはない。故に足を踏み入れれば、終わる。


彼女の感情、そのすべてをコントロールできるとは思っていないが……。



「“蜘蛛”に向けさせる方が、安心ではある。……でも。」



私を恨んでくれれば、彼女は私を殺すために動いてくれるだろう。その行動はこちらで把握しやすくなるし、彼女が強さを求めることは私にとっても都合がいい。けれど……、これは私の都合。私が嫌う、彼女たちの青春を奪う行為に他ならない。


本来何も気にせずのびのびと成長するはずだった彼女が、戦いに巻き込まれているのだ。それだけで唾棄すべき状態なのに、更に恨みなどという余計なものが入り込んでしまえば、彼女は復讐に呑まれてしまうだろう。子供が本来抱えるべきでない感情を、責務を、感じさせることになってしまうのだ。


要らぬお節介の可能性はある。この判断も私の主観によるものでしかない。


でも……。



「“彼”には悪いけどその死が完全に判明するまでは。私が預かっていた方が、いいのかもしれないね。」



そう呟きながら、“彼”から預かった品を懐に戻す。


もし彼が生き残っていたら、返しに行けばいい。でもそうでなかった場合は……、私が乗り切ることは出来ると感じた時、彼女に渡すことにしよう。正直、渡すにしても渡さないにしても気が重いけど、これが彼女の為になることを祈るしかできない、ね。







 ◇◆◇◆◇







そして時は流れ、日曜へ。


今の時刻は特訓の開始時刻である9時。その5分前だ。前回はアカリさんが暴走して3時間前倒しのスタートになってしまったが……。今回は大丈夫だったみたい。まぁ就寝中の彼女たちが襲われたりしないように監視していたので、今日のアカリさんもとんでもない早起きを決めていたことは知ってるんだけど、触れないであげることにする。


今日は家から飛び出さずに、お家で妖精のプルポとゆっくりしていたようだったからね。でも師匠はアカリさんが飛び起きた瞬間に『またか!?』ってなって飛び起きたから頑張って寝て欲しいな。お陰様で今日の朝昼は無駄に豪華になっちゃったよ……。あ、アカリさんはお昼ご飯の後。強制お昼寝だからね?



「あっ! 師匠ー! こっちですー!」



そんなことを考えながら歩いていると、公園の奥の方から手を振りながら声を上げる彼女。


今日も元気にぴょんぴょんと跳ねてるアカリさんに、行儀よくお辞儀してるリッカさん。そしてヒマさんは……、最初は柔らかい笑みを浮かべながらも何かを探る様な鋭い目。けれど私が運ぶ大量のクーラーボックスを見て色々と目を疑っていらっしゃる。



「皆さんおはようございます、今日もよろしくお願いしますね。」


「はーい! よろしくお願いしまーす! それでそれで師匠! 今日は何ですか! 前よりもいっぱいありますけど!!!」


「えぇ、少し早起きしてしまったので凝ったものを幾つか……。それでアカリさん? ちゃんと寝ました?」


「うぐっ!?」



昔と比べ出来ることが増えて、更に今は誘惑して来る娯楽が多いのも理解できますし、色々あるのも解りますが……。睡眠が一番大事ですからね? 回数を分けるんじゃなくて夜に沢山寝てくださいよ? もし難しいようでしたら色々とお手伝い……、大丈夫? なら良いのですが……。とにかく、体動かしてご飯食べた後はまた膝を貸してあげますから。一緒にお昼寝しましょうね。



「はーい!!!」


「ふふ。……あぁそうだリッカさん。こちら、この前メールでお願いされていたものです。かなりペースを上げますので効果はありますが、その分肉体の休息に必要な時間と摂取すべきエネルギーが増えます。もし行うのならば記入している注意事項をよく読み込んでからお願いしますね。」


「ありがとうございます、エミさん。」



いえいえ、お気になさらず。ん? どうしましたアカリさん。……あぁ、これはですね。リッカさんからスタミナ向上のご相談を受けたので、その特別メニューです。運動量を上げて、食事量も上げるって感じですね。これ以上すると成長を阻害してしまう恐れがあるので、かなりギリギリを攻めたものになっていますが……。え? アカリさんも特別メニューが欲しい? ダメです。貴女はまず寝なさい。肌荒れしますよ?



「っと。すみません最後になってしまって。初めまして、白虎ヒマさん。私、九条恵美と申します。お二人にお願いされて毎週ここで指導をさせてもらっている者です。」


「……あ! はい! すみません、頂きます。」



おそらく私の持ってきたクーラーボックスの数と大きさで動揺してしまっていたのだろう。声を掛けることでようやく再起動した彼女に名刺を手渡す。アカリさんやリッカさんに手渡したものと同じ、“九条恵美”のものだ。


……え、あぁこれですか? 中は皆さんの朝食と昼食、それとスポーツドリンクや氷ですね。前回は8個で済んだんですが、ちょっと出張時に築地とかで色々買い込んでしまいまして……。いい値段で競り落とせたのでそのおすそ分けも兼ねて、ひとつはマグロの刺身で満杯になってますね。他の料理も早起きしてしまったものですから少し作り過ぎて、ボックスの数も倍の16個になってしまいました。



「あ! これを食べろと言っているわけではないですからね? 半分以上は私用に持って来てますし。」


「え、えぇ……。」


「師匠凄いんですよー! テレビに出ちゃいそうなくらい!」


「……そう言えばスカウトとかされないんですか? 大食いとかので。」



あぁ、基本そういうお話が来てもお断りしてますね~。


実は高校生の時に少し調子に乗って地方の大食い大会みたいなのに出たことがあるのですが、あまりにも食べ過ぎて出禁を喰らったと言いますか、調理側が過労で気絶し運営側が食費でノイローゼになり、他参加者も観客も恐怖で逃げ出したということがありまして……。ちょっとトラウマなんですよ。


実際思い返してみればこの直後からなんか視線を感じるようになったし、デスカンパニーに目を付けられたのもコレが原因だったんでしょうね。だからそういう意味でも私に『目立ち過ぎないことの大切さ』を教えてくれた事件でありながら、トラウマなんです。


まぁ“今”は私が必要以上に目立たないように“処理”してますし、目を付けた奴は消しますし、運悪くテレビ関係者とかに話しかけられても気絶させて記憶を飛ばしたりしてるのが理由なんですけどね~。そもそもスカウト“させない”っていう。本気で大量の食材買う時は『業者ですよ~』って顔しながら買ってるし。



「さっすが師匠! ……流石、なのかな???」


「見たことないのになんか全部想像できちゃうのが怖いわよね……。」


「え、人間……? え、こ、後輩ちゃんたち。この人ほんとに人間だよね?」



さ、お話も程々に。せっかく朝ご飯を持って来ているんです。前回好評だったお味噌汁とか卵焼きとかもありますから、少し腹ごしらえして休憩してから、トレーニングしていきましょうね。



「あ! その! すみませんエミさん……、でいいですか?」


「えぇもちろん。お好きなように。」


「急で申し訳ないのですが……、ボクと、手合わせして頂けませんか?」







ーーーーーーーーーーーーーーーーー






〇サルでも解る! ネオ・デス博士の怪人講座!(ノートパソコン型クライナー編)


はーはっはっ! ごきげんよう諸君! ネオ・デス博士である! 今日もサルに等しい貴様らの頭脳でも理解できるように“懇切丁寧”な説明をしてやろう! さて今回は、前回強化されたジュエルナイトたちに瞬殺された哀れなクライナーを解説していくことにしよう。あぁそれと、次回はもう片方のクライナーを解説すると決まっているゆえ、把握しておくといい。では基本スペックだ!


■身長:293.6cm

■体重:211.0kg

■パンチ力:13.4t

■キック力:7.2t

■ジャンプ力:8.1m(ひと跳び)

■走力:8.1秒(100m)

★必殺技:挟み込み注意


いわゆる、現在幹部や上級戦闘員が使用しているクライナーの素によって作成される“第二世代クライナー”と呼ぶべき存在だな。まぁすでにジュエルナイト単体と同格程度まで落ちてしまった故、アンコーポの開発担当は慌てているだろうが……。まぁ我には関係のない話よ。せいぜい失敗から学ぶといい!


さてコイツの特徴だが、かなり古い型のノートパソコンを使用しているせいか、かなり分厚く固い存在であることが挙げられるだろう。外装が金属製と言うこともあり防御力が高く、また高いパンチ力を生かして蓋部分を勢いよく閉めることで強烈な挟み込みが出来るようだな。実際、キーボードの上にジュエルナイトを固定し全力で閉めることが出来れば、文字通りぺっちゃんこにすることが出来ただろう。


どうやらこいつらの指揮官はもう一つクライナーの素を持っていたようだし、初めから3体態勢で臨んでいれば実現できたかもしれぬな。こう、三体目が後方から襲って拘束。キーボードの上に置いて同時に撃破、という形だ。まぁそんなことをすれば我が最高傑作であるクモ女のペット、“あーちゃん”とやらが猛威を振るっていただろうが。


にしてもクモ女よ。お前の血を与えただけでこれほどまでに強化されるとはこのアシダカグモは大変興味深い! 少し開いてみても……。む、そんなことしたら産まれてきたことを後悔するレベルで痛めつけて地獄を味合わせながら殺す? ……普通に怖いなクモ女よ。少し残念だが大人しく諦めるとしよう。


ではな諸君! 次の講義まではもう少し真面な頭脳を手に入れておくがいい! さらばだ!




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