11:ほ、本音じゃないんだからね!
「ルビーシャワー!」
「ダイヤモンドシャワー!」
「「輝く希望の宝石よ! その心の闇、払い給え!」」
「「ダブルジュエル・シャワー!!!」」
おぁ、光の柱って感じの必殺技。いつ見ても綺麗だねぇ。
あ、どうも。クモ女です。いやー、二人を見送ってからこっちも装備を整えて“クモ”として現地に到着しましたけど。なんと途中で追い抜かしてしまうとは……。ま、最初から二人の戦闘をちゃんと暗闇から眺めることが出来たので、それはそれでとても良かったんですけどね?
ルビーこと朱雀アカリさんは私が言ったことの半分くらい忘れてるような気がしますがちゃんと吸収してますし、軽い殺気として見せた正拳突きを自分なりにアレンジして即席の必殺技を作ってます。対してダイヤモンドこと青龍リッカさんは私が彼女に伝えたことすべてを覚え、ゆっくりとかみ砕きながら実戦で実践しているという感じですね。ちょっと無理矢理ですが鞭打も出来てましたし。
(デスカンパニーの資料見ながら練習したかいがあったよねぇ。)
最初イメージを相手にも共有するとか、腕を鞭にするとか書いてあってマジで理解できなかったんだけど。なんかやってみたら出来たんだよねぇ。ま、大体そのデータって私よりも先に作られた怪人たちだし、その製作者はデス博士。最後に作られた私が、彼らのデータを参考にして作られたのは考えずとも解る。今まで私がしてこなかっただけで、元から“怪人クモ女”の能力として組み込まれていたものだったのだろう。
よく他者に教えることを通じて、教える側も学びを深めていくって言うけど。こんな形で自分の力を再確認するとは思わなかったよ。まぁでも、とりあえず魔法少女たちの前で見せた技術とかは“九条恵美”のものにしておいて、“クモ”として動く際は使わないようするんだけどね。
(にしても二人とも吸収が早いな。なんか衣装もこの前と少し変わっているような気がするし。これが成長期ってやつなんですかねぇ。)
そんなことを考えながら、革靴の怪人に向かって放たれた光の柱を眺めていたのだが……。
瞬時にこの場に新たな存在がやって来たことを知覚する。少し目を凝らしてみれば、革靴のクライナー近くに出現したのはアンコーポの幹部である“ビジネス”。光に包まれる前にその転移能力を持って革靴の元へと飛び、回収して範囲内から離脱したようだ。
あのクライナー。そこまで強そうには見えなかったが……。彼にとっては重要な戦力なのだろうか? 奴の部下っぽい戦闘員たちが何か探す様な仕草をしていたし、手数を増やすためにも撃破されるのは避けたかった。という奴か。まぁ全部消し飛ばせば一緒だし、別にどうなろうと良いんだけど。
「っと、奴が出てくるなら私も準備した方がいいか。今のあの子たちだけじゃ荷が重いだろうし。えっと変声機は……【うん、出来たね。さてと、んじゃ喋り方も……。こちらの方で、行きましょうか。】
◇◆◇◆◇
「やっ……、ってない! ダイヤっ!」
「えぇ!」
クライナー達に必殺技を叩き込んだ二人だったが、かえってくる手ごたえは0。
負の精神エネルギーが溶かされていくような感覚と、クライナーが浄化されるときに発する『アカル~イ』という声が聞こえてこなかったことから失敗と判断した二人は即座に近くにあったビルの側面を軽く蹴り、空中から地面へと戻る。
その選択が誤りでなかったことを示すように、二人が足場としたビルを蹴った瞬間。その壁に叩き込まれるのは何枚ものカード。よくよく見てみれば、そこに刻まれた名前は“ビジネス”。妖精であるプルポの故郷を侵略し、今も不当に占拠を行っている秘密結社『アンコーポ』幹部の名刺だった。
「『ジュエルナイト』のお二人、とりあえずはお久しぶりと言っておきましょうか。どうやら我が社員たちがお世話になっていたようで……。」
「び、ビジネス!」
「もう少しだったのに! ずるいずるい!!!」
以前クモによって貫かれた腹部も、精神エネルギーによって構成された肉体を持つ彼であれば十分な休息期間とエネルギーさえあれば全快可能。
非難するルビーの声を一切気にせず、ゆっくりと眼鏡の位置を整えながら、自身が持っていた負の精神エネルギーをクライナーに送っていくビジネス。数秒経たぬうちにクライナーが負っていた傷がどんどんと癒えていき、完治。むしろパワーアップまでしてしまった。
さらにどうやら下級戦闘員たちにも同様の強化を行っていたようで、ビジネスを守る様にざっと前に出てくるジューギョーイン達。細かったはずの肉体が精神エネルギーによってパンプアップしてしまっている。
「ずるいとは面白いことを。確かにクライナーは社員というよりも備品という立ち位置ですが……、壊されそうになったのならそれを防ぐために拾い上げる。そして壊れているのなら修繕する。当たり前ではありませんかね?」
「っ!」
「ダイヤ、いける!?」
「えぇ、でもちょっとまずいかもね。」
そう言いながら構え直すユアルビーに、少しだけ顔色を悪くするユアダイヤモンド。確かに敵は強化されてしまったし、数も多い。でも戦闘員たちはまだ何とかなるし、クライナーも頑張ればいけるだろう。けれど敵幹部であるビジネスにはまだ勝てるビジョンが浮かばない。そんな奴らが一斉に襲い掛かってくれば、敗戦は免れないだろうと考える彼女。
たしかに自分たちの師匠をここに連れてくることが出来れば何とかなりそうなものだが……。今から公園に戻ろうにも、逃がしてくれるような雰囲気ではない。それに、巻き込まないと決めたのは自分たちだ。何とかするなら、二人で。自分たちでケリを付けなければ。
でも、それを選択したとしても、問題が浮上する。
(さっきのクライナーとの戦闘で時間を使い過ぎちゃってる! 町への被害は少ないとはいえ、大騒ぎになっちゃってるのは確か! 早く終わらせて帰らないと、アレが……!)
ダイヤがそう思った瞬間……。彼女の予想は、最悪の方向で、的中する。
【あ、ら。】
自分たちの背後。ジュエルナイトたちの背後から聞こえる、声。そしてそれと共に放たれた、絶大な殺気。
この世のすべてが一瞬にして黒く塗りつぶされる様な感覚。人類がこの世に生まれ落ちてから経験してきたすべての災害が一斉に襲い掛かってくるような絶望。どう足掻こうとも勝てない、そもそも戦おうという考えすら浮かばない。そんな、ただ化け物としか形容できない存在が、いまここに顕現する。
少し前まではこの中で一番の強者であったビジネスでさえ、膝から崩れ落ちそうなほどの覇気。意識を手放したくとも、心の臓を握りつぶすかのように降り注ぐ圧力がそれを許さない。幹部の彼だけが何とか恐慌状態に陥らずに、首を上へと。“彼女”がいる方向へと。向ける。
此度の蜘蛛は、お怒りだ。
【あら、あら、あら、あら……。多少は考える頭を持っているとは思っていたのですけれど。私の勘違いだったのやも。たしか……、いえ、どうせ消えるのです。思い出しても仕方ありませんね。……ここが私の巣である事を理解しながら狼藉を働こうとは、良い度胸です。】
いつの間にかビルとビルの間に張られていた細い蜘蛛の糸。その上にまるで玉座のように腰かけているのは、真正の化け物。魔法少女たちが“クモ”と呼ぶ存在。白と黄色の意匠が織り込まれた黒い着物を着こみ、その腰から2対の細い蜘蛛の脚を伸ばした彼女。そんな超越者が、自身の巣に入り込んだ害虫を消し飛ばすために、やって来てしまった。
ユアダイヤモンドが、青龍リッカが常に恐れていた“最悪”の事態である。
【良い機会です、その身で自身が犯した罪を理解してもらいましょうか。その後は……、解り易く晒し首にでもしてどこかに飾っておきましょう。】
「お、お待ちください! 決して、決してそのようなつもりは……! こ、此度は先日の謝罪をさせて頂きたく、参ったのです! ど、どうかこちらをお納めして頂きたく……っ!」
【……ほう?】
前回相対した時よりも、クモから放出されているオーラは凄まじい。ビジネスは相手が一度かけた温情を踏みにじられているという風に考えていると理解し、即座に謝罪の言葉を表しながら頭を下げ、持ち込んだ品が入った箱を、空中に腰かける彼女に向かって、捧げる。
ビジネスからすれば、未だ“クモ”への調査は不十分という状態。なにせ前回送り込んだジューギョーイン達は即座にジュエルナイトたちに撃破されてしまったし、ひそかに町に放った下級戦闘員たちは“クモ女”の支配下にある蜘蛛たちによってアンブッシュを受けこの世界に現着してから数十分以内に消滅している。配下の蜘蛛たちからすればわざわざ主人の気を煩わせる程ではないただの『ゴミ掃除』でしかないのだが……、ビジネスからすれば全く情報が手に入らないという状態だった。
そんな状況で彼の元にもたらされた、新たな強者の情報。そう、クモ女の人間形態である。ビジネスからすれば新たな強者であり、実は同一人物だということはどう足掻いても暴けない。故に彼はこの『ひかりが丘』を強者溢れる町と想定、情報収集よりも即座に詫びを行った方が良いと判断した。
今後何が出て来たとしても、この町を自身の巣と表現するような存在と友誼を結んでいれば各段にやりやすくなる。さらに新たな強者である“人間形態”と“クモ”を比べた時により強者なのは圧倒的に後者。近づくならば後者の方が良い。相手の好みを知るよりも、自分たちが出来る最大限の品を用意し、少しでも失った信頼を取り戻す。クライナーですら、彼女を交渉の場につかせるための仕掛け。ビジネスは持てる限りの力のすべてを使用して、“彼女”にあたる。
「貴女様とお会いする方法を探していたのですが、矮小な自身にはこれしか思いつかず……。気分を害してしまい、大変申し訳ありません。」
【……。】
無言で自身の指先から糸を伸ばし、ビジネスが持っていた箱を自身の元へと引き寄せる彼女。
ゆっくりとその蓋を開けると……。中に入っていたのは、一つの大きなブローチ。そこに填め込まれたその宝石は、明らかに握りこぶしよりも大きい。さらに至る所に様々な種類のダイヤが埋め込まれており、宝石の価値のみならず美術品としての価値もあるだろうと思われる品。けれどそんなブローチを見た瞬間。彼女によって先ほどまで巻き起こされていた覇気が一瞬にして消滅。
恐怖を覚えるほどの無が、やってくる。
先ほどまで存在していた押し潰されそうなほどの圧力、それが無くなったことで気が緩み、その“無”を好機と感じてしまったビジネスは、商品の説明を始める。用意した品は確かに最高級品、けれど今後顧客。もしくは協力者になってくれるのなら、むしろ安くつく。クモの気を引けるように、最新の注意を払いながら、言葉を紡ぐ彼。
「我が社で取り扱いをさせて頂いている最高級のピンクダイヤを研磨し、熟練の職人の手によって装飾させて頂きました。どうかぜひ手に取ってお確かめく。」
【黙れ。……そこの小さき者。少しこちらに来てくれますか?】
「ぷ、ぷる!?!?!?」
それは問いかけではなく、決定事項の通達。
魔法少女たちの陰に隠れながら、ただ震えていたプルポに向かって声を掛けた彼女。先ほどの箱同様に指先から糸を吐き出し、その小さい体を自身の元へと引き寄せる。思わず少女たちが妖精の名を呼んだが、すでにクモの手元には、首根っこを掴まれた妖精が一体。
青くなり震える妖精の顔を覗き込むように、クモが言葉を紡ぐ。
【私の“幼子”に一体何をしているのかと問いただしたいところですが……。勇気ある者の力となるのならば、今は見逃してやりましょう。して、“プルポ”と言いましたか? この宝石を見て、何を思います?】
「ぷ、ぷるるる……。え、あ。……こ、これ! プルポたちの宝石っぷる! 妖精界の宝石! 間違いないっぷる!!!」
【……小童。この私に盗品を押し付けるとは、良い度胸ですね。】
ただ淡々と、お前など名を呼ぶ価値すらないという様に。ビジネスの顔を見下ろす彼女。
「お、お待ちを! その宝石は確かに妖精界のものですが、正式に採掘権を購入した後に採取したものになります! 決して、決して盗品などでは!」
「ち、違うっぷる! あいつらいきなり攻めてきて無理矢理宝石持って行ったぷる! 宝石はみんなのものっぷる! お前らのじゃないぷるぽ!」
必死に弁明するビジネスに、クモに首根っこを掴まれていることを忘れわちゃわちゃと動きながら反論するプルポ。しばらくその様子をただ眺めていたクモ女だったが……。先ほどまで無であった“彼女”の纏う覇気が、再度爆発したことで、もう一度黙らせる。
【そもそも、私が物で動くなどと考えていることが。酷く、気に喰わない。】
「ッ! しくじりましたか! 致し方ありません! 皆さん、撤退しま」
【させるとでも?】
明らかにクモの機嫌が悪化したことをようやく理解したビジネスは撤退を宣言し、指を鳴らすことでこの世界から転移しようとするが……。その腕が、根元からなくなる。断たれた断面から、噴き出る黒い血。
単に切断されたのではない、最初からそこに何もなかったのように、消し飛ばされてしまったのだ。
「ッ! クライナー! ジューギョーイン!」
少し恐怖を孕んだ声でビジネスがそう叫ぶよりも早く、飛び出すアンコーポの怪人たち。けれどその行動はただの蛮勇でしかない。クモを相手に時間を稼げる生命体など、この場に存在しないのだから。
クライナーは一瞬で吹き飛ばされ、戦闘員たちは何もできずに、この世から消滅してしまった。
この場にいる誰もが、クモが“何か”をしたということは理解している。けれどクモの攻撃が速すぎるが故に、誰も理解できない。彼女が行ったのは、その腰から伸びる蜘蛛の脚での刺突。ただ遠くから対象目掛けて足を延ばしただけで、空気を壊し、槍とし、死を与えたのだ。
けれどその犠牲によって時間が稼げたのだろうか、それともクモに殺す気はなかったのだろうか。とにかくビジネスが残った腕で指を鳴らし、彼の体が掻き消えてしまう。
【逃げ足の速いことで。次は問答などせずに消し飛ばすことに致しましょうか。さて……。】
そう言いながらゆっくりと彼女は自身の糸から、地面へと降り立つ。向かうのは、ジュエルナイトたちの元。
まだ先ほどのクモによって放たれた覇気のせいで上手く動けない彼女たちであったが、ビジネスたちアンコーポが消えたせいか、クモが発する覇気は幾分か軽くなった。この状態でも死んでしまいそうなほどにきついが、師匠という上澄みと相対した経験が、彼女たちに“慣れ”を与えた。
震える体を何とか抑えながら、ソレと相対するように、立ち上がる。
【ふふ、愛い愛い。……食べてしまいたいほどに。】
「「ひぅ!?!?」」
【あらら、喰われるのは嫌いですか? それはそれは、残念なことで。それにしても……、この前まではただ震えているしか出来なかった者が、こうも早く変わるとは。やはり幼子の成長には目を見張りますね。……あぁ、そう言えばこの者はお前たちの玩具でしたか? 返しておきましょう。】
ルビーの頬を這う様に撫でた後、口を開くことは未だできないようだが、以前よりも強い意思が宿った眼で蜘蛛のことを睨みつけるダイヤの顔を見て、仮面の中で破顔したような雰囲気を出す彼女。まるで赤子をあやす様に顎を持ち上げその顔を見下ろす。
ダイヤの顔に影が落ち、その顔もより強張ったものになるが、それでも、眼はずっと変わらない。絶えず、クモを見つめ続ける。その様子が面白かったのだろう、不気味な笑い声を上げる彼女。
十分にそれを堪能したのだろう。クモはその顔にゆっくりと、完全に気絶し伸びてしまった妖精を置いた。
「あ、あの! クモさん! 助けてくれて、ありがとうございます!」
意を決したように、声を強く震わせながらも、ユアルビーが叫ぶ。経緯がどうであろうと、自分たちが2度助けられていることは事実。いまだに眼前の蜘蛛が行った凶行。敵とはいえ、人ではないとはいえ、その内臓をまき散らし、腕やその肉体を消し飛ばした存在への恐怖は多く残っている。けれど恩には礼を返さなければと、ルビーに根付いていた想いが、彼女を動かした。
彼女は、人として言葉を送った。けれど相手は……“蜘蛛”。人ではない。
愉しそうに、嗤う。
【……ふふ、ふふふ。“蜘蛛”に礼とは。より気に入りましたよ、幼子。えぇ、えぇ。受け取りましょう。では私もお返しをせねばなりませんね。】
彼女がそう言った瞬間。それまで抑えられていた“覇気”が、暴発する。
先ほどよりも含まれている殺気は少ない。けれど彼女たちの全身が冷たい何かに支配されるような、凍えてしまいそうな闘気。それが、眼前の蜘蛛から、二人に叩きつけられる。
【少し遊んであげましょう。勝敗は簡単、私を満足させてみなさい。勝てば何か面白いものを、負ければ……。あぁそうだ。私の“子”に成ってもらいましょうか。えぇ、えぇ、それが良い。】
明らかに、雰囲気が変わってしまった蜘蛛。愉しそうに笑っているが、魔法少女たちは笑えない。
何せ彼女が“子”と発言した瞬間。脳が全力で警鐘を鳴らし、全身から生気が抜けていってしまった。明らかに敗北した瞬間、自分たちの“全て”が終わってしまうことを、自分が自分では無くなってしまうことを、理解してしまう。命を取られることはない、けれど“生き残る”為に戦うしかない。
【あぁもちろん手加減してあげましょう。さぁ幼子? 足掻きましょうね?】
ーーーーーーーーーーーーー
〇サルでも解る! ネオ・デス博士の怪人講座!(ユアダイヤモンド編)
はーはっはっ! ごきげんよう諸君! ネオ・デス博士である! 今日もサルに等しい貴様らの頭脳でも理解できるように“懇切丁寧”な説明をしてやろう! さて今回は……、ユアダイヤモンドか! 我が最高傑作であるクモ女の弟子! ちょうど先ほど改造の勧誘を受けた少女であるな。……え、違う? まぁよい! とにかく基本スペックだ!
■身長:157.2cm
■体重:48.2kg
■パンチ力:4.8t
■キック力:7.2t
■ジャンプ力:12.9m(ひと跳び)
■走力:3.2秒(100m)
★必殺技:ダイヤモンドシャワー、ダイヤウィップ(未完成)
本名は青龍リッカ、中1という年齢の割には頭の回る少女の様で、相棒のルビーのようなパワーではなく速度で攻撃を重ねていく戦術を好むようだな。“ナイトジュエル”という精神エネルギーを増幅させる変身アイテムの補助を受けてはいるが、ついさっき見たものを再現し自身の技に落とし込もうとする向上心はとても素晴らしい。まだ若い故に改造するには早いが、しっかりとした教育を施せばよい素体となるだろう!
にしても流石我が最高傑作よ。“ナイトジュエル”による変身と、改造人間の融合! それを思いつくとは私が生み出しただけある! ナイトジュエルは能力の向上! そしてイメージを具現化する力! つまり元が強く、想像力豊かであればあるほど強くなるのだ! 改造を施し肉体を強化し、脳を強化すればどこまで強くなるのやら。流石に我が最高傑作であるクモ女には劣るだろうが、デスカンパニーの幹部程度であれば十二分に狙えるだろう。
クモ女よ! 改造を施す時がくれば、お前が持ち出した機器の中にあるデータを復元し、このネオ・デス博士の肉体を再構築するのだ! せっかくの素体よ! この私が手ずから……。え? 改造する気は全くないし、復活させる気もない? アレ全部戦うための冗談みたいなもの? むぅ、そうか。……はっ! もしやその反応。近年流行りのツンデレという奴……。でもないのか。残念。
ではな諸君! 次の講義まではもう少し真面な頭脳を手に入れておくがいい! さらばだ!
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