2:だいじなクマと、こわいクモ
「KURAINAー!」
「え? は?」
何の変哲もない地方の商店街に現れた存在。すわ怪人かと思い身構えた私の前に現れたのは……、明らかにぬいぐるみがモチーフであるバケモノ。とってもメルヘンチックな存在が、そこにいた。いや世界観! 世界観どこに行ったの!? 私バリバリに改造されたバケモノ! お前メルヘン寄り! 色々と違うだろうが! あと何その可愛げがある咆哮! もっとこう、あるでしょ! バケモノなら!
そう頭の中で叫んだ瞬間、周囲の人々が悲鳴を上げ始め、逃げ惑い始める。いけない、普通に戦う気でいたけど、一般人なら速攻で避難するのが鉄則だった。けれど……、少し背後にいた八百屋のご主人を見る。確か奥様もそうだったはずだが、御年のせいであまり早く移動することが出来なかったはずだ。
「ご主人、避難できますか?」
「あ、あぁ! 婆さんを連れてすぐに! 恵美ちゃんは!?」
「足止めを少々。何、鍛えていますので。気にせずお逃げください。」
そう言いながら肉体の性能を解放しすぎないように注意しながら、突貫する。
なにか私とは別系統というか、本当に怪人かどうか怪しい存在だが、裏に潜む秘密結社は両手で数えきれない程存在するという。私を生み出した『デスカンパニー』が崩壊した後、都心では様々な組織が勃興し覇権を得るために鎬を削っていると聞く。私は人間と虫を科学によって融合させた存在らしいが、そういうメルヘンチックな怪人の作成方法があるのだろう。無理矢理そう納得し、強く踏み込む。
無論、かなり速度を落としているのだ。相手も私を認識し、迎撃するためか腕が振るわれる。
様々なぬいぐるみの破材を無理矢理形にするように縫い合わされたせいかどんな生物がモチーフとなったぬいぐるみか解らなかったが、この攻撃の仕方からして、クマが元になっているのだろう。それを裏付ける要因として、拳の先には鋭い爪の様なものが付いている。確かに常人であれば両断されそうだが……、弱く、遅い。
(大振り、戦闘経験はほぼ無し。肉体の性能にかまけているというべきか……、いやそれよりも野生に近い?)
足を大きく開き、この身を地面ギリギリまで落とすことでそれを回避し、奴の懐に入る。そして叩き込むのは、両足蹴り。全身のばねを生かし、地面に両手を当てながら叩き込む。
(見た目通り外皮は綿の様な感触。衝撃吸収の効果があるようだが、2割程度の力でたやすく貫けそうではある。人目さえなければ、排除こそ簡単か。)
軽く吹き飛ばされたぬいぐるみを見ながら、腕の力だけで軽く跳ね、立ち上がる。っと、まだご主人がお目々をまん丸にしてこちらを見てるね。避難するように言わないと。あ、あと未改造の人間でもこれぐらいなら普通にできますよ? 組織が遺した“ピレスジェット”のおやっさんという方の映像データには素手で怪人撃破した様子が遺されていましたし。それを基準にしたのがこの人間形態ですしね。
「す、すご……。」
「ご主人? この通り少しは出来ますので。避難を。」
「お、おぉ! 婆さん! 逃げるぞ!!!」
「KU、KURAINAー!!!」
そうご主人が家屋の奥へと行こうとした瞬間。私に吹き飛ばされた怪人が怒りの声を上げる。おそらく一般人に攻撃を受けたこと自体が、気に喰わないのだろう。まぁこっちは一般人どころか幹部も目じゃない程度の最終怪人なんですが……。ま、まともな会話ができない程度の怪人じゃわかるものも解らないか。
さて、どう料理してやりましょうか。
以前この町について調査したときは、秘密結社やヒーローの存在は発見できなかった。蜘蛛の超感覚を使ったとしても、反応はなし。つまり私が家に籠っている間に流れ着いた組織か、新たに生まれた存在。さらにご主人の反応から見て、初見。暴れ始めたのも最近だと推測できます。
(となると、対応できるヒーローがいない可能性も高い、かな?)
戦う者がいないとなれば、こいつらはどんどんと暴れ始めるだろう。私の安寧。豊かな生活を守るためにも、この怪人には消えてもらう必要がある。勿論、本拠地ごと。さて、どうやらご主人は裏口から逃げてくださったようで、更に私の感覚にも逃げ遅れた人間はいない。少々本気を出して撃退、軽く発信機でもつけてそのアジトの場所でも教えて貰おうとしましょうか……。
私がそう考えた瞬間、聞こえてくる“何か”。そっと怪人の向こう側、商店街の反対側を覗いてみると、二人の中学生ぐらいの女の子と、明らかにマスコットの様な謎生物がふあふあと飛んでくる。
あー、うん。なんとなく察しました。そっちも世界観違うのね。
「アカリ! あそこ!」
「くぅ~~! いきなり逃げるとか卑怯だよ!」
「ごちゃごちゃ言ってないで! 変身ぷるぽ~!」
「「うんっ!」」
……あ、あの~。ここに一般人いますけど、思いっきり正体見ちゃってるけどいいんですか? もしかして気が付いてない?
「「変身!!!」」
二人がそう叫んだ瞬間、彼女たちの姿が光に包まれていき、その肉体が彩られていく。
ついさっきまで一般的な黒や茶といった髪色だったはずのそれが鮮やかな赤と青へと代わり、確か近所の私立中学の制服が鮮やかなバレエ衣装の様なものに変化する。そして胸に輝くのは、明らかに私達の常識を超えた大きさと輝きを放つ宝石。そんな変身バンクが終わり光が収まった瞬間、びしっと決められる名乗りと前口上。
「煌めく輝き! ユアルビー!」
「照らす輝き! ユアダイヤモンド!」
「クライナー! その心の闇!」
「私たちが、祓って見せます!」
お、おー。すごい。こういうのマジでやるんだ……。
と、とりあえずあちらさん私のこと気が付いていないみたいだし、今の内に隠れときましょ。あの“ピレスジェット”とバッタリ会いそうになった光学迷彩諸々を起動して、建物の間の暗がりに撤退。よし!
「ぷる? なんかダメージ……、まぁいいぷるぽ! 今後こそここで倒すぷるぽ!」
「「うん!」」
語尾が明らかにおかしい妖精?の指示で戦闘が始まる。あのクライナーという奴も標的を消えた私からあの……、魔法少女で良いのかな? その二人に絞ったようだ。野生のクマのようにその大きな腕を振り回していく。
(それをルビー、赤い方が両腕で受け止める。パワー勝負は怪人の方が上のようだけど、受け止めた間に青いダイヤモンドを名乗った方は懐にはいり、その胴体に攻撃を叩き込む。幾分か吸収されるが、体勢を崩すのには十分。)
先ほどまでクマに押し込まれていたルビーがフリーになったことで、今度は彼女がより前にでる。二人同時に攻撃を叩き込み、確実にダメージを蓄積させていく方針の様だ。赤い方がパワー型、青い方がスピード型の様に見えるけど……。あまり出力も戦闘経験もなさそうだ。
私の知るヒーローは組織を破壊したピレスジェットだが、まだ都心にいたころにそれ以外のヒーローも暗闇から観察したことがある。けれど彼女たちは、そんなヒーローたちと比べると各段に弱い。怪人の製作者である組織同様、おそらく若い存在なのだろう。……まぁ変身前は明らかに中学生だったし、仕方ないのかもだけど。
というか今私、中学生に戦わせて傍観してるの? 色々ダメじゃん。
(大人ぞ、私? ……仕方ない、やるか。)
基本的にヒーローと怪人の戦いは、どちらかの死で決着が付く。つまりあの子たちがそのまま戦えば、あの子たちが怪人に殺されるか、あの子たちが怪人を殺すかの二択。変身前の制服を見る限り子供である事は確定している。……子供を見殺しにするか、人殺しにするか。そんなもの選べるわけがないだろう。
幾ら私が怪人と言えど、それは大人としてダメ。というか今は押せてるけど、ろくなダメージを与えられていない以上、途中で形勢が逆転して負けるだろう。私の正体や背景がバレる可能性もあるが、その時はまた違う場所に逃げればいい。未来ある若人に人殺しの責を負わすのと比べれば、それぐらい何でもない。
そうと決まれば、早速準備だ。普段から持ち歩いててほんとよかったよ。じゃないと顔を隠すために一気に怪人形態にまで戻る必要があるわけだし。あれは子供には刺激が強すぎるからね……、半蟲形態で行くことにしよう。
(営業用のカバンを展開しまして、と。変声機付きの仮面と、腕甲。あと腰につけて“脚”の保護をするアーマー。ついでに糸も出して服装を違う感じに整えて……。うん、全部OK!)
んじゃ、行きましょうか。……あ、でも私怪人として人前出るのってこれが初めてなんじゃ? 降りかかる火の粉に対処して私の存在が露見する前に消し飛ばすとかはしたことあるけど、ヒーロー? ヒロイン? の前にこの身を晒すのって“ピレスジェット”以来初めてじゃん!
それにあの時透明化してたし……!
うわどうしよ、とんでもなく緊張して来た。
どう振舞えばいいんだ!?!?!?
◇◆◇◆◇
「ッ!」
「ダイヤ! ぐッ!」
ダイヤが吹き飛ばされた瞬間、思わず顔を向けてしまう。そしてその隙を突くように、クライナーの拳が私に叩き込まれる。何とか防御しようとしたが間に合わず、そのままお腹で受けてしまい、ダイヤ同様地面に転がされてしまった。
(このクライナー、強い!)
私達二人が力を合わせても、このクライナーの方がパワーが上。何とか腕を弾いて沢山叩き込んだけど、全部ふわふわの体に防がれてしまって、全く効いているように思えない。
(でも、何とかして助けないと!)
クライナーは私達人間の心に生まれる、沈んだ感情を増幅させて生み出される存在。そしてその怪物は感情の元になった人の大事な物、そしてその人の心を奪って行ってしまう。つまり私たちがクライナーを退治しなきゃ、その人には一生心が戻ってこない。
だからこそ私は奴らと戦うために妖精のプルポに力を借りたし、親友のリッカ。ダイヤモンドも一緒に戦ってくれるようになった。
(入ったばっかりの中学生活も、クライナー退治も順調に進んでた。最初リッカに私が『ユアルビー』ってバレちゃったときはどうなるかと思ったけど、受け入れてくれて、一緒に戦ってくれるようになった。どんな敵にも負けない、そう思ってたのに……!)
クライナーを生み出し、そのエネルギーを力に変えている存在。妖精のプルポの故郷を滅ぼした悪の組織『アンコーポ』が送り出してきた幹部を名乗るスーツの男、アイツが作り出したクライナーは、これまでの奴よりも比べられない程強い!
普段ならもっと弱らせて動けなくしたところに、私たちの胸に輝く宝石の力を解放して『ジュエルシャワー』でとらわれちゃった心を救い出すんだけど……。このままじゃ!
「おぉ、いきなり飛び出したと思えばこんなところに……。あぁいえいえ、別に怒っているわけではないのですよクライナー。どうぞお好きに暴れちゃってください。」
「ッ! あなたは!!!」
パチンという指を鳴らす音の後に響くのは、革靴の音。その後聞こえてくる心を逆撫でするような声を見てみれば、さっきの幹部を名乗った男。不気味なほどに細く、真っ白なスーツに黒く濁った虹の様なネクタイ。
「あぁ、『ジュエルナイト』のお二方でしたか。これはこれは、奇遇ですねぇ? どうですか我が社『アンコーポ』の新商品は。共働きの家に生まれた幼子の寂しいという“悪感情”、あまり純度がよろしくないため試作品のこちらでは良い“クライナー”に成るか不安でしたが……。やはりこの世界の人類はエネルギーになる。たしか……、プルポさん、でしたか? あなた方の故郷で取れた宝石を研磨するのにちょうどいいエネルギーです。」
「ぷッ! ほ、宝石はみんなのものなんだぷるぽ! お前たちのモノなんかじゃないぽ!」
「えぇ、存じておりますとも。だからこそ“適正価格”でお売りしているんですよ?」
そう言いながら軽く眼鏡を上げる奴。
「あぁ、そうそう。名乗り遅れました、私『ビジネス』と申します。アンコーポの“営業担当”ですが……、どうやら皆様は“お客様”ではないようで。名刺交換は別の機会とさせて頂きましょう。」
一瞬だけ胸元に手を入れようとしたビジネスを名乗る男だったが、すぐに辞め眼鏡に手を当てながら、こちらに向かって、指を差す。
「さぁクライナー! お客様がお帰りです! ご対応をお願い【あら、寂しいことをおっしゃるんですねぇ?】ッ!?!?」
その瞬間、ビジネスの腹部から生える、腕。
まき散らされる、血の様な黒い粒子たち。
臓器の様なものが、その生えた腕によって、握りつぶされる。
【せっかく新しい遊び相手が出来たと思いましたのに……、営業さんなのでしょう? もしかしたら貴方のお客様に成れたかもしれないのに。残念ですわ。】
「ッ! クライナーッ!!!」
「KURAINAー!」
奴が怯えを含んだ声でそう叫んだ瞬間、指を鳴らす音と共にビジネスの姿が掻き消え、その腕の持ち主に向かってクライナーが襲い掛かる。けれど、すぐに聞こえたのは、破裂音。私たちが吹き飛ばされていた場所。それが一瞬暗くなったことで、理解する。
タダのデコピンで、あのクライナーが吹き飛ばされた。
それにより、ようやく私達の眼の前に姿を現す、闖入者。
黒と黄色の金属によっておおわれたクモの様な仮面に、ビジネスの体から噴き出ていた黒い血の様なものを垂らす黄色い腕甲。そして何よりも特徴的な、背中から伸び出る2対の細く鋭い脚。
仮面によって変えられた機械の様な声で、彼女は言葉を紡ぐ。
【“アンコーポ”に、“ジュエルナイト”。関係性はなんとなくですが、理解できましたわ。けれど……、ここは私の巣、お気に入りの町なのですよ? 別に子供がいくら遊ぼうとも構いませぬが……。ここは“蜘蛛の巣”で、私の家。不埒者にはそれ相応の代償を払ってもらうのが筋でしょう……、何か申し開きはあります?】
「ッ! こ、これは失礼を。ですが開口一番人の腹を割いてくるような方はお客様と考えなくてよい、というのが我が社の方針でしてッ!」
おそらくビジネスが持つのは、転移の力。再度指を鳴らすことで彼女の背後に立った彼は、その腹部を抑えながら、全力で殴りつける。ジュエルの力で強化されたこの眼でも、追えないくらいの速度。今の私達じゃ絶対に勝てない様な存在が、あのビジネスと名乗った幹部。
けれど響くのは、軽い金属音。
彼女の背中から伸びていた“脚”がビジネスの拳と額を軽く押さえ、その全身を押しとどめている。まるでその力を弱さを笑うような雰囲気を全身で出しながら、少しだけ、笑い声をあげる。
あの存在は、もっと強い。
“差”を理解したのだろう。硬直してしまった彼に向かい残った二本の“脚”がその胸元を漁り、小さな金属のケースを取り出す。中から出てくるのは、さっきビジネスが言っていた、名刺。それを取り出した彼女は、不思議そうに見つめる。
【何かの“比喩”かと思いましたが、本当にあるのですね、名刺。せっかくだから頂いておきましょうか。“商品”というのも気になりますし。……さ、貴方はもう用済みです。今なら見逃してあげましょう。】
「……ッ! 仕方ありません。どうやら貴殿は私よりも格上の様だ。ここは大人しく持ち帰らせて頂きましょう。では。」
奴がそう言った瞬間指が鳴る音が聞こえ、その姿が掻き消える。それを全く気にしないように、彼女は先ほど吹き飛ばされたクライナーの方に向かって、こちらに向かって、歩き始めた。
「ひっ」
隣のダイヤが、声にならない悲鳴を上げる。
“格”が違い過ぎて、ただそこにいるだけで、動けない。脳に過る、貫かれたビジネスの腹。自分たちもそうなってしまうのではないかという恐怖が、どんどんと、近づいてくる。思わず目をつぶってしまうが、足音は、“止まらない”。
瞬間、理解する。この人はあのクライナーを、殺すつもりだ。
「だ、ダメッ!」
【おや? どうしましたか幼子。】
とまる、足音。そして理解してしまうのは、仮面越しでも理解できること。その目がこちらに向いてしまったという、事実。心臓が、止まりそうになる。距離もほぼ、真横。何も抵抗できずに、殺される。
【……確か、ユアルビーでしたか? 何が駄目なのでしょうか。あの者は町を荒らす下郎でしょう? 害虫や益虫などという枠組みは人が勝手に考えた指標ですが、私からすればこの町、私の巣を荒らす者は全て害虫。それを喰らってやろうと言っているのです。“人”からすれば、問題などないでしょう?】
私に向けて紡がれる言葉。
ただ話しかけられているだけで、より強く理解してしまう。この人は完全に、私達よりも上。生物として、格上。何をどう足掻こうとも、勝てるわけがない相手。通り過ぎるのをただ祈る様な、嵐の様な存在。
だ、だけど! 助け、助けなきゃ!
恐怖で震えて、声は出ない。でもほんの少しだけ動いた私の指が、歩き出そうとした彼女の服を、掴む。
【……それほど、ですか。】
彼女の脚が、止まって、くれた。
【見るからに怯えた顔、けれど眼は死んでいない。その勇気に免じましょう。けれど……】
彼女の手が、私の頬を撫でる。
【“蜘蛛”は常に見ておりますよ、幼子。】
そう言った瞬間、彼女の姿が空気に溶けていく。
完全にいたはずのあの存在は、全て幻だったかのように、消えてしまった。
ーーーーーーーーーーーーー
〇サルでも解る! ネオ・デス博士の怪人講座!(クマのぬいぐるみ型クライナー編)
はーはっはっ! ごきげんよう諸君! ネオ・デス博士である! 今日もサルに等しい貴様らの頭脳でも理解できるように“懇切丁寧”な説明をしてやろう! さて今回は……、ぬ。我が怪人ではないのか。少々やる気がそがれてしまったが、人類が誇る最高の頭脳を持つ私には不可能なことなど存在しない! たとえ私の分野外の知識で生み出された怪人であろうと解説してやろうではないか! では、基本スペックだ!
■身長:370.1cm
■体重:140.9kg
■パンチ力:8.1t
■キック力:13.1t
■ジャンプ力:22.7m(ひと跳び)
■走力:9.3秒(100m)
★必殺技:もこくまパンチ
……むぅ、あまり強い怪人ではないな。素人の作品か? いやまぁ幾つか理にかなっている点もないわけではないが、無駄が多すぎるだろう。だがまぁ解説すると言ったのは私故な、最後までやろうではないか。
おそらく負の精神エネルギーを増幅させて、改造の素体となる存在にとってなじみ深い物品と合体させるのだろう。今回の素体は幼稚園児、どうやら両親が共働き故の寂しさを増幅して、お気に入りのクマのぬいぐるみと合体させたのだろう。
だがまぁ両働きとはいえ、親は帰ってくる。負のエネルギーの純度も高くなく、改造の手法も下手。出力としては見るに耐えないレベルであるな。ま、新興の秘密結社にしてはよくやっていると言ってやるべきか。ぬいぐるみという綿に守られた肉体を利用し、衝撃を分散することが出来る防御性能、そして体重を上手く使ったクマの様なパワー重視の戦い方。足らぬ技術を工夫で補おうとしている努力は評価してやろう。
ま! 我が最高傑作である“クモ女”には逆立ちしたって勝つことなど不可能だがな! はーはっはっ!!!
ではな諸君! 次の講義まではもう少し真面な頭脳を手に入れておくがいい! さらばだ!
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