第2話 父さん

 強くないからと言って追放するような家族じゃなくてよかった。

 心の底からそう思う。文字通り何もない状態で出されたら溜まったもんじゃないしな。


「ルフト。お前なーに、自分がクソ弱いから俺等に追い出されるんじゃないかと思っていたけど追い出されなくて良かった。って顔してんだよ」


 父さんが剣を磨きながら話しかけてきた。


「一言一句思っていたことを言われた!? なに……父さんエスパーなのか?」

「はっはっは、お前は俺の息子だからな。思っていることぐらい簡単にわかるさ」

「そ、そうなんだ」

「そうなんだぞ」


 うりうりー。と言いながら俺の頭をワシャワシャかき回している。


「そりゃな、お前もキララみたいに強く居てほしかった気持ちがないって言えば嘘になるがなッ!」

「うぐっ……」

「だがな、ただ弱いだけで親子の縁を切るような奴があるか。お前は俺らの初めての子どもなんだから。その事を忘れるなよ」

「父さん……」

「まあ、俺も魔力が少なくて親にとやされたからな。気持ちはよーく分かるぜ…………辛いよな。周りが伸びていってるのに自分だけ取り残されてる気がして」

「……」

「そんな暗い顔すんなって」


 父さんは俺の顔を見るや頭を少しかいて


「しゃーねえな。ルフトついてこい。ちょっと王都行くぞ」

「え?」

「え? じゃねえよ。王都だよ。お前前から行きたいって言ってたじゃねえか」

「え……いやそうじゃなくて。なんで急に」

「んなもん、お前の武器を作ってもらいに行くからに決まってんだろ」

「余計になんで!?」

「キララにだけ先に【オリジナル】あげちまってたろ? お前のほうがお兄ちゃんなのにな。だからだ」

「説明になってないよ!」

「良いから行くぞ」


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