魔力無しの最弱でも転生者なら最強に成れますか?
七草かゆ
第1話 転生した。でも魔力ゼロだった。
俺は至って普通の偏差値60前後の高校に通う男子高校生だ。地獄の受験勉強を切り抜けなんとか志望校に入学することに成功した選ばれしものだ。
さて、そんな入学して間もない男子高校生だが中学で出来なかったことを今回こそはしてやろうと意気込んでいる。そう、それは、学生なら誰しもが願う『恋愛』だ。
この学校に入学したのにも理由がある。中学から片思い中の女子に告白するため……。
俺はこの学校でバラ色生活をしてやるんだッ!!!!
…………。
まあ、もう無理なんだけどな。
理由を説明しよう。この加倉井小暮は死んだ。
先ほど200文字ほど呑気に喋っていた加倉井小暮は通学中コンビニでアダルト本を手に取った瞬間居眠り運転をしていたトラックがガラス製の窓ごと俺を吹っ飛ばし綺麗さっぱり死体になったのだ。それも、アダルト本を手に持った状態でだ。
ん?
じゃあ、今喋ってるお前は誰なんだって?
ふっふっふ。よくぞ聞いてくれた。
俺は転生した。加倉井小暮だ。
それも、前世で俺がプレイしていたゲームの世界にッッッ!
◇
「おはようございます。ルフト様」
コスプレのようなメイド服を着た小柄な少女が挨拶をしてきた。
こいつはシャルル。俺の専属メイドだ。
「ああ、おはようシャルル。もう朝ごはん出来てる?」
「はい、ルフト様以外のご家族はすでに食卓に到着なされています。ルフト様もできればお早めに」
「わかったよ。すぐ行く」
ちなみにだが転生後の今の年齢は7歳。そこそこの力のある貴族の家系、シュピーゲル家の長男だ。
「さてと、今日も試してみるか」
俺はそっと指先に力を流すイメージで力を込めた。
…………。
しかし何も怒らない。
うーん。わかっていたけど『魔法』が撃てないなぁ。
ちなみに、7歳になって初級魔法すら撃てないのは異常らしい。妹のキララなんて3歳で中級魔法を放ってたからな。屋敷が半壊したときはどうなることかと肝を冷やしたもんだ。
「ルフト兄様。お母様が『はやぐじでー おながずいだよー』って駄々こねてる。早く来て」
「ああ、悪い悪い。今行く」
俺は食卓に足を運んだ。
◇
「ルフト。また、魔法が撃てなかったのか? もうこの際魔法は諦めて父さんと剣の道に進むってものありなんだぜ?」
「お父さん! 兄様が剣術全くなのは知ってるでしょ」
「はっはっは!! キララ。剣というのはな地道なものなんだぞ毎日鍛錬を積むことによってルフトでも半人前にはなれるさ」
「毎日やって半人前かよ!」
悲しいことに剣術も俺はダメダメなのだよなぁ。
「仕方ないわよ。兄様クソ弱いもん」
「キララ! お前まで言わないでくれよ。この世界でも最強になりそうなやつなのに」
キララは今6歳だが既に並に大抵の魔術師を凌駕する力を持っている。
4歳で上級魔法を覚えて冒険者から協力申請が後を絶たない。あと、すごく可愛い。
お前本当に俺と同じ血か?
「ルフトが魔力を【1】でも持っていたら【魔力特訓】で増やせたのにねぇ」
「「それなぁ」」
「ハモるな!!」
「俺だって昔は9代目【剣聖】で名が通っていたからそれなりに旅をしてきたが魔力ゼロなんて初めて見るぜ。まあ、俺もかなり少ない方ではあるがな」
「私も同じよ。父さんといっしょに旅をしていたもの。魔法の使えない子に魔法を教えたりね。でもゼロは……ねぇ?」
「追い打ちやめてくれよ父さんも母さんも……」
ぐぬぬ……。転生しても俺は弱いのかよ。剣術、魔術。共にだめだと他に何があるんだ……。
この世界は強者が良しとされる世界。こんな世界で魔力もない俺に何が出来るんだよ。
13から王都の学園に進学することが決定している。おそらくそこで主人公共にも合うだろう。ヒロインにも。ただ、このままだとせっかく転生してこのゲームだった世界の知識のある状態なのにモブキャラ扱いされてしまう。
できれば主人公とも接触したいしヒロインたちとも会いたい。推しキャラにも。
それまでに、何としても力をつけなければッ!
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