第7話
◇
まずい。頭を悩ませていたらもう学園についてしまった……くっそ……ゲームの世界と全く一緒だな。それはつまり、ストーリーもそれなりに同じだということ……。
「ぎやあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
レーヴェが驚きながら口を塞いでくる。く、苦しい……。
「なに町中で叫んでるんですか! やめてください! 悪目立ちしますよ!」
「ご、ごめん……」
「今日のキリカお嬢様は変ですよ。よく叫びますし吐きそうな顔しますし……あっ! わかりました! 今日からの学園生活に不安を抱いているのですね!」
「うん……確かに魔王を食べる時みたいな不安がある」
「何食べようとしてるんですか! 全く。でもわかりますよ。緊張しますよね。私もそうでした」
「ん? 私もそう。って事はレーヴェもこの学園に居たの?」
「居た。っていうより在籍中ですね。なんたって私はキリカお嬢様と一つしか年齢が変わりませんし」
「……ええぇぇぇ! そうだったの! 全然知らなかった……でも確かに去年から一緒に居た時間が少なかったような気がする」
「私は気づいていなかった事に驚きですよ。ちょくちょく学校の話をしたじゃないですか」
「ごめん。全然話聞いてなかったから覚えてないや」
「そういうところですよ。お嬢様」
そうこう言っているうちに、いつの間にか学園の下駄箱まで来ていた。うーむ。下駄箱か……原作では一度しか見なかったけど、これからは毎日見るのか。なんだかゲームの裏側に来たみたいでワクワクする。
「着きましたね。キリカお嬢様は体育館に行ってください。私はあとから行きます。魔導室に用があるので……あと、変なこと絶対にしないでくださいね?」
「わかってるよー 流石に体育館を爆発させるようなことはしない。約束する」
「言いましたね? 約束ですよ? 指切りげんまんしますよ?」
「いいよ。そこまで心配ならしてあげよう」
「『契約』対象。クリスタ・キリカ。契約宣言『変なことをしない』契約を破った際には『二日間トマト生活』」
「ゴリゴリの契約するじゃん! あと、トマトだけはやめてください! あんなモノ食べられたものじゃないよ!」
「『契約発動』! 指切りげんまん嘘ついたら二日間トマトだけしか食べられなーい。指切った」
「うぐぐ……初めて受けた『契約』がこんなにしょうもないものなんて……」
「しょうもないってなんですか! こうでもしないと学園が消滅するかもしれないのですよ!」
「わ、わかった……ごめん。そんなに怒らないでほしい……泣いちゃう」
目元に5級魔法の『水滴』を発動して涙目を人工的に作った。よしッ! これならもうこれ以上怒られないだろう。なんたってきーたんの涙(人工)だぞ! どんな人でも男女関係なく打ち込まれてしまうぞ! キャピ☆
「はあ……その手には乗りませんよ。もうその『水滴』で涙を作るのは100回以上見てきましたからね。最初の30回ぐらいまで気づかず謝っていたのがばかみたいです」
「実際馬鹿じゃん」
「馬鹿じゃないですよ!」
そうしているうちに受付のお姉さんらしき人が困ったような顔を浮かべて近づいてきた。
「す、すみませ〜ん……仲がよろしいのは結構ですが、新入生……ですよね? でしたらソコの角を右に向かった先に体育館がありますので行っていただけないでしょうか?」
俺とレーヴェは目を見合わせて
「「ごめんなさい! すぐ行(かせます)きます!」」
そうして、走って目的地に向かったのだった。
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