第6話


「お嬢様……そこに制服置いてます。自分できてください。私はもうつかれました」


 パタリと俺のベットに倒れ込むレーヴェを横目に制服に着替え始める。もう何度もレーヴェには裸を見られているためとくに恥ずかしむこともない。逆にレーヴェの裸を見ても恥ずかしく思わなくなったのはかなり異常だと思ってる。だって、俺前世男だし。


 そう思っているうちに制服に着替え終わった。そこで近くにある鏡に映り込む自分の姿を見た。いやぁー やっぱり制服姿のきーたんもとんでもなくかわいいなぁ。


 学園編できーたんが主人公とキスするシーンがあるけどそこがもう最高で…………ん?


 待て待て待て待て……今俺なんて言った?


 主人公とキスするシーンがある?


 それってつまり……俺があのスカしたイケメンとちゅーしなければならないってことか……? 


「ぎやあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「ど、どうしました⁉ ま、まさか……G出ましたか? Gが!!」


 俺の叫び声を聞いたレーヴェが驚いてベットから飛び起きた。


「い、いや……な、なんでもない……よ……ごめん、きゅ、急に叫んで……」


「い、いえ、全然……お嬢様本当に大丈夫ですか? 顔色悪いですよ? 私が胸触りすぎたからですか?」


「そうじゃない……レーヴェには関係ないこと……」


「そうですか……何か悩みがアレば言ってくださいね。聞くだけですけど」


「聞くだけなんかい!」


 そんなツッコミを入れながら俺は脳内で大慌てになっている。主人公とキスするってことはもうこんなモノ……ゲイじゃん! いや、ゲイを否定するわけじゃないですよ。本当です。怒らないでください。

 でも、俺はゲイじゃねえエエェェ!!!!


 そんなエンドを迎えたくない。ハーレムエンドの主人公だったら絶対に迫ってくるけど……ストーリーモードの主人公だったら……まだ……。


 いや、その場合でもだめだ。全然口づけてたわ。


 じゃあ、バットエンドは……? いや、アレは絶対に駄目だ。きーたん(俺)が死ぬ。しかも最後、死に際に「クライス……」って言いながらキスするわ。


 まて? よく考えるとどのエンドでもきーたんと主人公ってキスしてないか?

 つ、つまりだぞ……なんとかしてどのエンドでも無い新しいエンドを作らないと絶対に主人公と口づけすることになる……。


「ぎやあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「ほんとに大丈夫ですか!?」


「だ、大丈夫……ちょっと世界に絶望しただけ……」


 涙目でレーヴェの方を向いた。


「全然大丈夫じゃないじゃないですか!」

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