第2話 ステータスが強すぎるんだが?


 それにしても……本当にきーたんに転生したんだなぁ。こういうのって普通、悪役貴族とか悪役令嬢とかモブとかじゃないのかよ。ゴリッゴリに主要キャラじゃん。それもヒロインじゃん。男がヒロインに転生するのは良くないじゃん! いや、きーたんに成れるのは嬉しいけど!


 そうだ! 魔法。きーたんはジョブが【魔術師】だから魔法を使えるんじゃないか? さっきメイド少女からきーたんが魔法を使っていることを聞いたし。


「その前にステータスでも見ようかなぁ。でも見れるのかな?」


 そっと画面だったらあるはずのステータスボタン辺りを適当にポチポチと押した……しかし何も起きなかった。


「ステータス出ないじゃないか! 『ステータス』!」


 ブヲオォォン――という効果音とともに眼の前にタッチパネルのようなものが浮かび上がった。


「いや……出るのかよ! 『ステータス』……」


 ブヲオォォン――という効果音とともに眼の前にタッチパネルのようなものが消えた。


「消えるなぁああああ!!」


 でも、今のでわかったことがある。俺が単体でステータスと言ったときにだけ反応している。つまり――


「『ステータス』!!!!」


 ブヲオォォン――


「よしっ! やっぱりだ。さてと、ステータスを拝見するとしますかね」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

クリスタ・キリカ

種族:人間

職業:魔術師Lv.4

ヒットポイント:180/180

攻撃力:測定不能

防御力:250

魔力:測定不能/測定不能

ラック:400

スキル:交渉術Lv.4 危機察知能力Lv.5 気配隠蔽Lv.2 気配察知Lv.2 魔術解読Lv.MAX 風魔法Lv.63

エクストラスキル:翻訳


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 このゲームをアホほどプレイしてきた俺にはわかる。レベル4でこのステータスは異質だ。はっきり言おう。かなり強い。魔力測定不能はよくわからないがスキルはそれなりに良い……さすが、きーたん。魔術界で『無敵の姫』と呼ばれただけあるぜ! 魔術解読がレベルマックスって……えげつねぇなカンストしてやがる。


「魔法は簡単に使えそうだな。やはり問題は近接か……」


 きーたんは魔術面に関しては作中トップといえる。しかし、その反対に近接での戦闘がとてつもなく弱い。弱いなんて言葉で表せないほどだ。近接だけの戦闘なら最弱モンスターの《コボルト》にすら勝てないだろう。なんとかしなければ……。


「まあ、今はそんな事考えていても仕方ないか。うーん。そうだな、とりあえず魔法でも使ってみるか」


 かといって、魔法の使い方なんて知らないけど。ゲームのときはボタンをポチッと押すだけで発動できたけどこの世界にボタンなんてもの無いしなぁ。叫んだら出るとか? テンプレだけど。


「…………試してみるかヴィントシュトース『突風』!」


 そう叫んだ瞬間。体内からとてつもなく強大な風が発生した。俺を中心にどんどんと風が強くなっている。辺りのものが次々に粉々になっていく様子を俺はただ呆然と見るしかなかった。


 俺はただ口をポカンと開けることしかできなかった。だって仕方がない。


「つ、強すぎるぅうううううう!! なんてことだ! 部屋がもうぐちゃぐちゃじゃないか!! 突風ってここまで火力合ったっけ? いやなかったはずだ!」


 いつしか風が止み無惨に散っていった部屋を前に出た言葉がそれだった。


 い、いやおかしくないか? どういうことだ? 準4級魔法の『突風』だぞ。はっきり言ってこれ単体だとゴブリンすら倒せないような代物だ。そんなものが部屋一つを消し炭にしている。これは……どういう……。


「お嬢様あああああああああああああああッ!!!!!!」


 血相を変えた先程のメイド少女が走ってきた。それもかなりお怒りの様子で。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る