第2言 世界には風が吹いている!

 物語って何なんでしょうね。


 これほど人を魅力してやまないものもないと思いますが……、というかこれ絶対麻薬ですよね。


 一回摂取したら、もーうダメです。

 物語なしでは生きられないし、物語を紡ぐこと知ってしまってからは脳みそのすべてが支配されるし。

 創作や物語の摂取が長期間できないと手が震えてきますよねー。……ああ、彼岸のご先祖様まで見える。


 と、いうわけで!


 これからしばらく物語を書き方について語っていこうと思うので、よろしくお願いいたします。


 それから、何度でも念押しするのですが、これは斑鳩睡蓮の脳みそをカパッとしているものなので、生温かい目で見ていただけると幸いです。







 今回は、「物語ってどうやって考えてるの?」というテーマで語っていきます。


 結論から言えば、「気づいたら物語がそこにあった」という話にはなるんですが、さすがに四百字も書かずに終わるわけにはいかないってものです。

 物書き病という不治の病に罹っているので、仕方がありません。書きます。




 さて、物語を考える最初のステップはテーマ決めです。


 このテーマというのは、ガチガチのものではなくて、ふわっとしたアレです。


 西洋ファンタジーっぽい話が書きたい!

 戦争の話が書きたい!

 百合が書きたい!


 そういった欲望が原点になります。正直、それが決まってしまったらあとは勝手に進んでいくだけ。


 自分の場合、設定を詰めるといったことはほぼやっておりません。だって、書きたいものが見つかった瞬間に、世界がひとつ生まれてしまうから。


 目を閉じたら風が吹くんです。

 その世界で生きる人々のざわめきが聞こえて、その世界の景色が見えて……。

 そして、人が見つかります。


 その人が主人公なんだと直感した時、物語はもうそこにあるんです。


 自創作は群像劇のようになっているものが多く、登場人物もかなり多いです。それは、人を見つけてしまうからなのです。


 どの人にもその人の人生があって、それぞれのやりたいことがある──


 それなら、みなみな主人公では?、となり、見事に奇人変人大博覧会が始まってしまうんですよ……。しかも、言うことをぜんっぜん聞いてくれない! ホントにもう、みんなやめてほしい……。


 ああああ、すぐに話が逸れる逸れる。

 自制心って大事ですよね。


 テーマが決まったと同時に世界ができるわけですが、もちろん初めて観測する世界はボヤボヤで曖昧なものです。ヘタをしたら、見えなくなってしまうことだってあります。


 ……明らかに人外の視点ですね、なんか。

 神かもしれない。


 では、そんなボヤけた世界をどう物語に落とし込むか、という話になりますね。


 基本は、その世界の観測の何度か試みましてですね、世界の様子を知っていきます。


 例えば、政治体制(王政か共和政かレベル)、魔法の有無。


 ……うーん、このくらいですかね。

 あ、あれ、おかしいな……いや、もっと考えているハズでは……。

 世界の国紹介(三行くらい)レベルの情報しか手に入らなくて……。


 神は万能ではないのです(開き直る)。


「何も分かってないだろうが!」という華麗なツッコミをどうもありがとうございます。


 神は困ったので、とりあえず寝ることにしました。


 ……すると、不思議なことに世界がちょっとだけよく見えるようになります。




 きちんと人間の言葉にしておくと、アイデアは寝かせろ、ということになるんでしょうか。

 日々の中でたまに思い出してやるうちに、この世界がどんなもので、どんな人がいて、どんな物語になっていくかが固まります。


 ここで言っておきますが、この作業は決して設定を詰めるというものではないということです。あくまでこれは受動的なもので、ウンウン唸って考えるようなものではありません。

 ただ、何度も思い出すうちに、自分の書きたいものが分かってくる。そういう工程なんです。


 こうして生まれた物語はブレません。書いていくうちに変わっていくものは多いですが、本当に見たいものはきっと最初のまま。

 それなら、たとえどれだけ設定や書き方を変えようが、変わらないものが一本できると思うのです。



 見たいものを見るために。


 結局のところ、そのために文字を書いています。それをねじ曲げては、自分ではいられないし、きっと書いてても楽しくない。


 何度も何度も思い出しながら見つけた自分の世界を、大切に抱えていきたいのです。




 こんな世界で物語を書こう、とあなたが決めた世界に風は吹いていますか?


 風が吹いているのなら、きっとそれはとてもいい世界です。きっといい物語が書けると思います。


 風、と言ってはおりますが、人によって感じ方は違うのでしょう。

 頑張って斑鳩睡蓮語を翻訳してみると、風は世界の息遣い、そこで生きる人の息遣いのようなものです。


 こう問えばいいのかもしれません。


 あなたの世界は生きていますか、と。





 寝言のクセに正気っぽいことを言ってましたね。いらっしゃいますよね、寝言で起きているみたいな反応する方。はい、それです。


 まあ、設定を決めようと躍起ならずに、時には待つことも大事ということです。


 果報は寝て待てですよ?



 今回もここまでお付き合いいただきありがとうございました。



 次回は、「物語ってどうやって考えてるの?」人間編行ってみましょーう。



 ご質問や書いてほしいことなどございましたら、お気軽に教えてくださると助かります!

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