第40話
僕は持てる力を全て振り絞って、不死原本部長に立ち向かった。
一撃一撃に全力を込め、彼の防御を崩そうと必死だった。
しかし、彼の圧倒的な力によって、僕の体力は次第に限界に近づいていった。
全身に疲労が溜まり、呼吸も荒くなる。
そう、不死原本部長はまるでレベルが違った。
その圧倒的な力の前に、僕の攻撃はまるで無力に思えた。
それでも、僕は諦めることなく戦い続けた。
意識が遠のく中で、何とか立ち続け、戦い続けることに全神経を集中させた。
「もうやめておけ。お前ほどの実力があれば、既に勝ち目がないことはわかるだろう」と不死原本部長が冷淡に言った。
その声は、僕の心に冷たい刃のように突き刺さった。
僕は自分が劣勢にあることはわかっていた。
この戦いが無謀であることも、彼の力が圧倒的であることも理解していた。
しかし、戦わないわけにはいかなかった。ここで諦めるわけにはいかないのだ。
僕は妹を救わないといけないからだ。
紗夜を取り戻すためには、何としても不死原本部長を倒さなければならない。
その思いが、僕に立ち上がる力を与えた。
「まだだ…」僕は呟きながら、再び立ち上がり、決意を込めて不死原本部長に向かっていった。
全身に疲労が走るが、その疲労が逆に僕の闘志を燃え上がらせた。
絶対に諦めないという強い意志が、僕を突き動かした。
僕の中にある最後の力を出し切り、背中から八本の触手を出して構えた。
全身に力がみなぎり、決意がさらに強まる。
「行くぞ!」僕は叫び、ドラゴンやその他の召喚したヴァンパイア兵たちも一気に不死原本部長に攻め込んだ。
彼らの力強い攻撃が一斉に襲いかかる。
綾美は引き続き、後方から援護を続けた。
彼女の攻撃が敵の動きを封じ、僕たちの進行を助けてくれる。
その一瞬一瞬が、勝利への道を切り開いていく。
「俊也!あなたなら倒せる!」と綾美は力強く叫んだ。
その声が僕の心に響き、さらなる力を引き出してくれた。
僕は頷き、一気に不死原本部長に立ち向かった。
触手を駆使し、全力で攻撃を繰り出す。
その瞬間、僕たちの全てが一つに結集し、勝利への道を切り開くための決定的な一撃となる。
不死原本部長の冷たい目が僕たちを見据えているが、僕は一歩も引かない。
全てを賭けて、この戦いに挑む。紗夜を救い出し、レッドツリーを壊滅させるために、僕は全力で戦い続けた。
不死原本部長の強さは、その速さにある。
彼の反応速度、攻撃速度、全てにおいて圧倒的に早い。
僕たちの攻撃が放たれるその瞬間、彼は既に次の動きをしている。
不死原本部長は僕らの攻撃を確実にかわし、受け止め、全くダメージを受けない。
その動きはまるで舞うように美しく、しかし冷静だった。
「冥界の王の力を持つ者がその程度か」と不死原本部長は悲しそうに言った。
その言葉はまるで僕の心に鋭い刃を胸に突き立てるようだった。
「まだまだ、終わってないぞ!」僕は叫び、さらに攻撃の手を強めた。
触手を駆使し、全力で不死原本部長に挑み続ける。
しかし、次の瞬間、僕の胸に強烈な痛みが走った。
驚きと衝撃が一気に押し寄せる。
「えっ…」と僕は呟き、力が抜けて倒れ込んでしまった。
視界がぼやけ、全身から力が抜けていくのを感じた。
全てがスローモーションのように感じられ、意識が遠のいていく。
それでも、僕は諦めるわけにはいかない。
最後の力を振り絞って、再び立ち上がろうとするが、体は言うことを聞かない。
その瞬間、僕の心に浮かんだのは、妹の紗夜の笑顔だった。
彼女を救うために、僕はここで諦めるわけにはいかない。
しかし、現実は厳しかった。
不死原本部長の圧倒的な力の前に、僕の力は尽きかけていた。
僕は遠のく意識の中で、綾美が「俊也!」と叫ぶ声を聞いた。
その声には、深い悲しみと絶望が込められていた。
薄れゆく視界の中で、僕は綾美に抱き抱えられているようだった。
彼女の温かい腕の中で、ほんの少しだけ安心感を覚えた。
彼女の涙が僕の顔に落ちたのを感じ、その冷たさが現実に引き戻す。
「ああ、僕は不死原本部長にやられてしまったんだ」と思った。
激しい戦いの末、力尽きてしまったことを自覚した。
その瞬間、心に深い無力感が押し寄せた。
結局、僕は妹を助けることが出来なかった。
紗夜を救うために全てを賭けて戦ったが、願いは叶わなかった。
「ごめん、綾美」と僕はかろうじて言葉を発した。
喉がかすれて、声は弱々しかった。
綾美が涙声で「喋らないで!今すぐ助けるから」と言った。
その言葉に必死さが伝わり、彼女の決意が感じられた。
僕はゆっくり頷き、目を閉じた。
全身の力が抜け、意識がさらに遠のいていく中で、綾美の声だけが最後の希望の光のように感じられた。
「お前はこの程度で終わるはずない。早く目を覚ませ」と、突然僕の頭の中で謎の男の声が響いた。
その声は冷静でありながら、どこか力強い威圧感を持っていた。
「我は冥界の王、その力を引き継いだお前がこんなことで終わるなど許されぬ」と、その声は続けた。
その言葉には、不思議な力が宿っているように感じた。
その瞬間、ドクン、ドクンと僕の心臓が力強く動き出すのを感じた。
胸の奥から湧き上がるその鼓動は、まるで新たな命が宿るかのようだった。
「ほう、良い心臓を譲り受けたな」と謎の声が再び響いた。
僕はその意味がわからなかったが、その言葉には不思議な納得感があった。
確実に自分の心臓から力が流れ、全身を巡っていくのを感じた。
その力は僕の身体を再び活気づけ、絶望の淵から引き上げるようだった。
僕はその感覚に身を委ねながら、全身に漲る力を感じた。
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