ヴァンパイアハンター 〜僕は拐われた妹の為に吸血人になる〜

第27話

マエストロがバーストからの炎の攻撃を受けると、絶望的な声で「死ぬ、死ぬ、しぬ！」と叫んだ。

その様子は、彼女が自らの終わりを感じ取っているかのようだった。

同時に、サンドも戦況の厳しさを前にして「これじゃ、埒があかねぇ！」と叫び、戦いの行き詰まりを感じている。

僕と野口部長はパンプキンマンに攻撃をし続けたが、彼はやはり他の二人よりも格上の存在だった。

その圧倒的な力を前に、僕たちは彼を撃破する方法を模索していた。

次の瞬間、パンプキンマンの触手が驚異的な速さで野口部長を飛ばし、彼は「ぐはっ！」と声をあげながら背中を壁に打ち付け、倒れ込んだ。

「野口部長！」僕は叫んだ。彼を助けに駆け寄ろうとした瞬間、パンプキンマンからの容赦ない攻撃が僕を襲う。

彼からの攻撃が止まない中、僕は一瞬にして戦略を切り替えなければならなかった。

野口部長を助けつつ、パンプキンマンの圧倒的な力にどう対抗するか、その答えを探さなければならない。

この危機的な状況で、僕の決意と仲間たちへの責任感が、さらなる力を引き出すことになるだろう。

綾美が戦場に姿を現し、バーストに追い詰められるマエストロを狙って戦いに参戦した。

彼女が力強く「白木さん、金子さん、剛、まずはこいつを倒すのよ！」と叫ぶと、僕らの戦いを傍観していた白木さん、金子さん、剛が一気に動き出した。

彼らは綾美の声に心を動かされ、戦場に新たな勢いをもたらした。

マエストロは、突如として綾美、白木さん、金子さん、剛を新たな敵として迎え撃たなければならなくなった。

その間に綾美は僕に向かって「俊也！バーストと一緒にパンプキンマンを倒すのよ！」と指示を飛ばした。

野口部長がパンプキンマンからの攻撃を受けて戦力がダウンしたことを機に、彼女は戦力の再配置を考えていたのだ。

その時、マエストロが「舐めんなよ！小娘！」と怒鳴り、綾美を狙う触手を放った。

しかし、綾美はそれを軽やかにかわし、マエストロに対して反撃として斬りかかる。

その攻撃を、白木さんが支援し、綾美の刀がマエストロにヒットする。

綾美と白木さんの連携は完璧で、マエストロに圧倒的なダメージを与えた。

この時点で、戦いの流れは完全に僕たちの有利に傾き始めていた。

綾美の参戦と戦術の変更、それに野口部長の代わりに戦力を再編する機転が、僕たちに新たな希望をもたらした。

僕たちは団結して、どんな困難も乗り越えられるという強い信念を胸に、戦い続けるのだった。

マエストロが怒りに震えながら「この野郎が！」と叫び、綾美に攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、僕は瞬時に綾美の前に移動し、マエストロの攻撃を殺鬼刀で防いだ。

「終わりだ！マエストロ！」と僕は叫びながら、全ての力を込めてマエストロの腹を引き裂いた。

マエストロは衝撃と痛みによって倒れ込んだ。

その瞬間を逃さず、僕は倒れたマエストロの首筋に噛み付き、彼女の血を吸い上げ、そこに宿る力を取り込んだ。

この行動は、僕にとって新たな力の源となり、マエストロの力が僕の中で融合し、僕自身をさらに強くした。

この一連の行動により、僕たちはマエストロという大きな脅威を排除することに成功し、戦いにおいて大きな転機を迎えた。

その様子を見たパンプキンマンは羽を広げ、上空に飛び立った。

しかし、本当の戦いはまだ終わっておらず、パンプキンマンの逃走により、僕たちは新たな挑戦に直面することになる。

それでも、この瞬間、僕たちの結束と力は以前にも増して強まり、どんな困難も乗り越えていけるという確信を僕たちに与えてくれた。

このシルバーウォールの戦いは、ヴァンパイアハンター協会史上、非常に大きな事件となり、後に多くの人々に語り継がれることとなった。

僕らはレッドツリーとの激闘の後、協会から表彰を受けた。

甚大な被害が発生したものの、シルバーウォール内のヴァンパイアたちが街に出ることなく食い止められたのは、僕たちの努力のおかげだった。

野口部長は、特に僕の活躍を高く評価し、パンプキンマンからの攻撃から彼を守り抜いたことに対して深く感謝していた。

僕たちの団結と勇気、そしてそれぞれの強さが、この戦いを勝利に導いたのだ。

確かに、パンプキンマンは逃げられてしまった。

しかし、僕らは彼らに対して重大な打撃を与え、シルバーウォールを守り抜くことができた。

その事実は、僕らがこの戦いで勝利を収めたということを意味していた。

この勝利は、ただ単に敵を倒したというだけではなく、僕たち自身の成長と、互いに支え合いながら困難に立ち向かうことの大切さを改めて教えてくれた。

パンプキンマンが逃げたことで未だ解決すべき問題は残されているが、僕たちはこれからも困難に立ち向かい、それを乗り越えていく力を手に入れたのだった。

俊也は戦場での出来事と自分に対する「冥界の王」という呼び名が気になり、野口部長にその意味について尋ねた。

野口部長は深刻な面持ちで説明を始めた。

「冥界の王とは、かつてレッドツリーのトップに君臨し、ヴァンパイア史上最も強く手強い存在だった。その力は、すべてのヴァンパイアを圧倒するほどだったんだ」

さらに、野口部長は僕が吸血人に変身した際に飲んだ血が、実は冥界の王のものであり、その力が覚醒したことを告げた。

この事実に僕は衝撃を受け、その重大さを理解すると同時に、自分の中に眠る未知の力の存在に戸惑った。

僕は綾美にこの新たな発見について話した。

綾美も驚きの表情を隠せなかった。

彼女は俊也を吸血人に変えるためにその血を渡したが、その血が冥界の王のものだとは知らなかった。

この事実は、彼女にとっても全くの新情報であり、その背後にはさらなる謎が隠されている可能性があった。

この衝撃的な真実を知った僕はは、自分の運命と新たに手に入れた力の起源を深く考えるようになった。

冥界の王としての力を持つことが何を意味するのか、そしてこの力をどう使うべきか、その答えを見つけるために、僕はさらなる真実を求める決意を固めた。

綾美は僕に、あの日の出来事についてさらに詳しく語った。

「白木さんから血を受け取ったの。その血をあなたかあなたの妹に飲ませるように言われていたのよ」と彼女は明かした。

それは意味深な告白であり、僕と僕の妹がヴァンパイアハンター協会によってあらかじめ冥界の王になる運命にあったことを示していた。

綾美はさらに、現在のヴァンパイアハンター協会の方針についても語った。

「協会は今、新たな吸血人の力を持つ者を増やすことで、ヴァンパイアに対抗しようとしているの。そのために、吸血人の素質がある者たちをリストアップしていたの」と彼女は述べた。

さらに綾美は、現在ヴァンパイアハンター協会にいる吸血人は、俊也と不死原本部長だけであることを明かした。

僕と僕の妹もそのリストに含まれていたことから、彼らの選択は偶然ではなく、計画的なものだったのだ。

「なぜ僕らがリストアップされたのか」という疑問が僕のの心に浮かんだ。

この疑問を解明するために、僕ははさらに深く協会の計画とその背後にある意図を探求する必要があると感じた。

僕は、ヴァンパイアハンター協会が妹を吸血人にしようとしていたこととパンプキンマンが妹を拐ったことが無関係ではない気がし始めていた。