第24話

僕はバーストが地面から噴き出す水によって、その炎の攻撃が上手くいかずにいるのを見て、ちょっとした隙を感じとった。


そんな彼に対して、僕はVセルを注入する絶好の機会を伺いながら、慎重に近づいていく。


白木さんが、僕をフォローするように殺鬼刀を大蛇のようにくねらせ、バーストを翻弄してくれていた。


バーストは明らかにイライラしていて、「くっそ!最悪じゃねーか」と言いながら、それでも必死に炎を繰り出し続けていた。


彼が「おい!サンド!お前もフォローしろ!」と叫んだ時、サンドからは「こっちも手が回らねぇんだよ!」という返事が返ってきた。


サンドは僕の操るヴァンパイアと戦い続けていて、彼も手一杯の状況だった。


この混乱の中、僕は自分の計画に集中し、バーストに近づくことに全力を尽くした。


この戦いが、今後の戦況を大きく左右することを感じながら、僕は白木さんのサポートと、水が作り出したこの一時的なアドバンテージを最大限に活用しようとした。


バーストとサンド、二人のSランクヴァンパイアとの戦いは、僕にとっても未知の挑戦だったが、ここを何としてもクリアしなければないらない。


僕は必死にチャンスを伺っていた。


僕がバーストの隙をついて、一気に彼に近づく。


バーストが「やべぇ!」と気づいたときには、もう遅かった。


僕はマエストロから引き継いだ触手をバーストの腕に突き刺して、彼の体内にVセルを注入していた。


注入を完了すると、僕はすぐにバーストから離れた。


「白木さん!やりました!」と僕は興奮を隠せずに叫んだ。


白木さんも「いいぞ!俊也!」と、その成果を認めてくれた。


その次の瞬間、僕はタクトを振る動作をした。


すると、バーストの目の色が変わり、まるで僕の指示を待っているかのように僕の兵隊になった。


僕は迷うことなく、「やれ!」とバーストに指示を出した。


僕は彼にサンドに向かって炎をくらわせるように言った。


僕の命令を受けたバーストは、ためらうことなくその炎をサンドに向けて放った。


この一連の動きは、戦いの流れを僕たちの有利に導く転換点となった。


バーストの炎の攻撃は、サンドにとっても大きな脅威だったのだ。


サンドが苛立ちを隠せずに「くそっ、ヘマをしやがって」と吐き捨てた。


バーストが放った炎が彼に襲いかかるが、サンドはとっさに砂を操り、周りに噴き出している水をコントロールし、炎を巧みに防いだ。


その表情は一瞬にして強張り、自分が明らかに不利な状況に立たされていることを悟ったようだった。


「マエストロにしても、バーストにしても、どいつもこいつも何をやってやがる」とサンドは愚痴をこぼしながら、僕たちに向けて激しい砂の攻撃を仕掛けてきた。


しかし、バーストを上手く操り、僕は炎の壁を作り出し、サンドの攻撃を効果的に防いだ。


その瞬間、僕はSランクのヴァンパイアの力を自分の意志で操ることができているという実感が湧いた。


「この力があれば勝てる……」


僕は確信に満ちて考えた。


僕はこのチャンスを最大限に活かし、どうしてもサンドを倒さなければならないと思った。


バーストの炎と、自分の戦略を組み合わせることで、僕たちはSランクのヴァンパイアであるサンドに立ち向かい、この戦いに勝利を収めたいと心に決めた。


この一戦は、僕にとっても大きな試練だったが、バーストを味方につけることができた今、戦況を有利に進める自信が湧いてきた。


しかし、突如八本の触手を持ったマエストロが、僕らの目の前に出現した時、驚きと共に心の奥底に冷たい不安が走った。


彼女を一度人間に戻したはずなのに、なぜまたヴァンパイアとしてここにいるのか?


その疑問が過ったとき、綾美が「俊也!」と叫びながら駆けつけてくる姿を見た。


僕の不安は更に大きくなってしまった。


綾美がこの場にいること、この危険な状況に巻き込まれていることに、心から心配した。


「あら?感動の再会かしら?」マエストロがその言葉を投げかけると、彼女は皮肉を込めた笑みと共に、僕に向かって触手で攻撃を仕掛けてきた。


その瞬間、綾美への心配は頂点に達した。


彼女に何かあってはならない。


その一心で、僕はマエストロの攻撃をかわしつつ、綾美の安全を確保しようとした。


マエストロの攻撃を凌いだ僕を見て、彼女は距離を取り、「随分、強くなったみたいね」と挑発的に笑った。


しかし、僕の心は完全に綾美のことでいっぱいだった。


なぜ彼女がこんなにも危険な場所に来てしまったのか、そして、彼女をどう守り抜けるかだけが僕の中で渦巻いていた。


綾美が無事で、この場を共に切り抜けることができるよう、僕は何としてもマエストロを止める。


彼女が安全な場所にいること、それだけが僕の唯一の願いだった。


「えらく心配そうな顔してるじゃん」と綾美が僕に言った。


彼女は続けて、「安心して、私はあんたを守りに来たんだから」とニッコリ笑った。


綾美の言葉は確かに心に響き、嬉しさを感じた。


でも、心のどこかで綾美がこんな危険な場所にいることに対する心配は消えなかった。


「でも、奴らかなり強いよ」と僕は言った。


綾美は返して、「大丈夫よ。私たちなら倒せるわよ」と力強く言った。


彼女のCランクの実力を知りつつ、AランクやSランクのヴァンパイアに立ち向かおうとする彼女の勇気に、僕は内心で彼女の強さと決意に感動した。


綾美にはその自覚があるはずなのに、彼女は恐れを知らない。


その勇敢な態度に触発され、「うん、僕たちなら大丈夫だよね」と心を強く持って言った。


その言葉を交わし、僕は再び殺鬼刀をしっかりと握りしめた。


この瞬間、僕たちはただの仲間以上の絆で結ばれていることを実感した。


綾美がそばにいてくれることで、僕はどんな困難にも立ち向かう勇気を得たのだった。

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