第17話
野口部長が闘技場に入ってくると、その威厳ある姿勢が場の空気を一変させた。
彼は僕の方を見て、「君は準備できているかね?」と静かに聞いた。
「大丈夫です」と僕はしっかりと答えた。
この瞬間に向けて、僕はすべてを整えてきた。
野口部長はうなずき、「では、さっそく始めるか」と言いながら、自らの殺鬼刀を解放させた。
彼の殺鬼刀は、すらっとしており、その中に秘めた力の大きさを感じさせるものだった。
僕も遅れずに自分の殺鬼刀を解放させた。
野口部長は次に、「では、ルールを決めよう。背中にタッチをされた方が負けというルールはどうかな?」と僕に提案した。
このシンプルなルールは、僕たちの技術と戦略を試すのに適していると感じた。
「そのルールでいいです」と僕は即座に同意した。
これはただの力比べではなく、真の実力を測る試合になる。
野口部長は、白木さんにスタートの合図をするよう依頼した。
白木さんは緊張した面持ちで、僕たちの間に立ち、深呼吸を一つしてから、「始め!」と大きな声で宣言した。
戦いが始まった瞬間、僕は全身の感覚を研ぎ澄ませ、野口部長の動きを注視した。
野口部長もまた、僕を真剣に見つめ返していた。
この戦いは、僕自身の力を試す大きな機会であると同時に、僕たちの提案が正しい道であることを証明する貴重な機会でもあった。
僕は全力を尽くす覚悟で、野口部長との対決に臨んだ。
野口部長が一瞬で僕の目の前に現れ、斬りかかる。
その速さは目にも止まらず、僕はギリギリのところでその攻撃を殺鬼刀で防いだが、そのあまりのパワーにより数メートル後方に飛ばされた。
この一瞬で、僕は野口部長の圧倒的な実力を肌で感じた。
野口部長の攻撃は終わらない。
彼は圧倒的なスピードでさらに攻撃を仕掛けてきた。
僕はなんとかその攻撃を回避し、間合いを一気に取り、ジャックの力を解放して二刀流になった。
野口部長はそれを見て、「ほう、それが奪ったヴァンパイアの力か」と感心していた。
その言葉を背に、僕はジャックの力でスピードアップし、野口部長に斬りかかった。
しかし、野口部長は「確かに速くはなったがまだまだだな」と言いながら、僕の動きを読んでいたのか、簡単に回避し、反撃に転じた。
僕は野口部長の攻撃をかろうじて防ぎ、再度間合いをとることにした。
この時点で、僕は野口部長のスピードと先読みの力によって、明らかに苦戦を強いられていた。
どうすれば彼に勝てるのか、僕は深く頭を悩ませた。
しかし、僕は諦めるわけにはいかなかった。
この戦いを通じて、僕は自分の力の限界を超え、新たな高みを目指さなければならないと感じていた。
僕は野口部長との距離を保ちながら、戦況を冷静に分析し、彼の攻撃パターンを読み解こうと努めた。
この戦いが終わったとき、僕はもっと強くなっているはずだ。
その確信を胸に、僕は再び野口部長に立ち向かう準備を整えた。
野口部長が再び一気に接近してきた。
僕は必死で攻撃をかわすが、彼に背後に回られてしまった。
このままでは負けてしまうと予感した瞬間、咄嗟にマエストロから得た力を使い、背中から八本の触手を出した。
野口部長は「これは驚いた」と言いながら、僕から距離を取った。
その反応を見て、僕は少し安堵した。
しかし、野口部長はすぐに体勢を整え、再び僕の方へ接近してきた。
今度は、二刀流に加え、八本の触手があるおかげで、僕は野口部長の高速の攻撃を防ぐことができた。
そして、僕は野口部長の隙をつき、素早く彼の背後に回り込んだ。
僕は野口部長の背中にタッチをしようとした瞬間、野口部長は素早く殺鬼刀を逆手に持ち替えて背中を守った。
僕は咄嗟に手を引っ込めた。
もし引っ込めていなかったら、僕の腕はきっと切られていただろう。
その危険な一瞬に、僕の心臓は高鳴った。
野口部長は再び間合いを取り、「なかなかやるな」と僕のことを見て笑った。
その笑顔からは、彼が僕との戦いを楽しんでいることが伝わってきた。
僕もまた、この戦いが自分を成長させていることを感じていた。
この一連のやり取りは、僕にとって非常に貴重な経験だった。
野口部長の強さと、戦いの中での冷静さは、僕が今後さらに高みを目指すための大きな刺激になった。
そして、僕は自分の中にある未知の力をさらに探求し、それをコントロールする術を磨いていくことの重要性を改めて感じた。
野口部長は、「では、そろそろ本気で行くか」と言い、その殺鬼刀を変化させた。
刀から放出される多量のVセルが野口部長の身体を覆い始め、まるで鎧のような姿に変わっていった。
白木さんが僕に向かって説明する。
「野口部長の殺鬼刀は甲冑式で、鎧のように変化し、圧倒的な防御力を持つんだ」
その言葉を聞いた瞬間、野口部長はまた一瞬で僕の近くまで来ていた。
僕は二本の刀と八本の触手を駆使して野口部長の攻撃を防いだが、今までのどの攻撃よりも遥かに重い。
僕はこのままではパワーで負けると直感し、ベアーから得た力を使うことに決めた。
僕の触手の二本が、ベアーの腕のような形状に変化した。
そして、野口部長の腹を思いっきり殴った。
その一撃で、野口部長は数メートル吹っ飛んだ。
しかし、野口部長の身に纏った鎧のおかげでダメージは少なく、彼はすぐに立ち上がった。
野口部長は立ち上がりながら、「なるほど、そう来たか」と冷静に評価した。
僕の攻撃が通用したことに少し驚きつつも、彼は全く動じていないようだった。
野口部長の鎧が彼を守っている限り、どんなに強力な攻撃も容易には貫けない。
この戦いは、僕にとって今まで経験したことのないレベルの挑戦だった。
僕は野口部長の圧倒的な防御力と、それを打ち破る方法を模索しながら戦い続けた。
この試合を通じて、僕は自分自身の限界を超えることが求められていると痛感した。
野口部長との戦いは、僕自身の成長にとって貴重な機会であり、僕はこの機会を最大限に活かすために全力を尽くした。
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