第13話

突如、空からカボチャの化け物が現れた。


そう、妹を連れ去った例の奴が現れたのだ。


白木さんが驚愕して「パンプキンマンだと!」と叫んだ。


そのパンプキンマンは、人間に戻ったマエストロを触手で掴み、自分の口の中に入れた。


その動作はあまりにも早く、僕はそれを止めることができなかった。


しかし、ここで妹をさらったパンプキンマンを逃すわけにはいかない。


僕はタクトを振る動作をし、ヴァンパイア達を操り、パンプキンマンを襲うよう指示した。


この状況を打破するため、そして妹を救い出すために、僕は全ての力を使う覚悟だった。


だが、パンプキンマンはニタッと笑い、複数の触手を駆使して、僕が操る全てのヴァンパイアを一瞬にして倒してしまった。


その力は圧倒的で、僕たちが今までに直面したどんな敵よりも強大だった。


僕はその場に立ち尽くし、次にどう動くべきかを必死で考えた。


パンプキンマンの力に直面して、僕たちは再び絶望的な状況に置かれたが、僕は諦めるわけにはいかなかった。


妹を取り戻し、この新たな敵に立ち向かうため、僕は再び戦いへと身を投じる覚悟を決めた。


この戦いが、僕たちにとってどれほど困難なものになるかはわからないが、僕は全てを賭けて戦うつもりだった。


しかし、パンプキンマンは突如として巨大な羽を広げ、夜空に飛び立った。


僕は慌てて背中からマエストロから引き継いだ触手を出し、空へと伸ばしてパンプキンマンを捉えようとしたが、どうしても届かなかった。


その瞬間、僕の心は深い落胆で満たされた。


白木さんは言葉を発することなく、ただ黙って僕の肩を叩いた。


その小さな動きが僕にとってはこの状況での唯一の慰めとなった。


僕は俯き、妹を救出することができなかった無力さと、パンプキンマンに対する怒り、そして戦いの中で見せた自分自身の残酷さに対する後悔から、涙を流した。


この一連の出来事は、僕にとって深い心の傷となり、同時にこれからの戦いで何をすべきか、どのように力を使うべきかについて深く考えさせられる瞬間となった。


僕は自分の中に湧き上がる感情を抑えながら、今後どのように行動すべきかを模索し始めた。


白木さんの存在が、この苦しい時においても、僕を支え続ける大切なものであることを僕は改めて感じた。


「白木さん、ありがとうございます」


僕は静かに感謝の意を述べた。


その後、僕と白木さんは綾美を連れて、本部の病院に向かった。綾美はかなりダメージを負っていたが、幸い命に別状はないようだった。


僕と白木さんは病室で眠る綾美の姿を確認した後、部屋を静かに出た。


廊下の窓から朝日が差し込むのを眺めながら、白木さんは「もうすっかり朝だな」と言った。


その穏やかな景色とは裏腹に、僕の心は昨日の出来事で重く沈んでいた。


僕は白木さんに向き直り、昨日の無謀な行動について謝った。


「すみませんでした。僕たちの行動が、もっと大きな問題を引き起こすところでした」と僕は言った。


白木さんは僕をじっと見つめ、「二人の行動はとても危険であり、規則違反でもあるため、それ相応の対応はさせて頂く。しかし、俊也の力のおかげで綾美も私も助かったのは間違いない。それについては感謝する」と静かに言った。


その言葉には、僕たちの行動を叱責する厳しさとともに、僕たちの行動がもたらした良い結果に対する認識が含まれていた。


この言葉を聞き、僕は少し安堵した。


白木さんが僕たちの行動にある程度の理解を示してくれたことに、感謝の気持ちでいっぱいになった。


僕たちの前にはまだ解決すべき問題が山積みだが、この一件を通じて、僕たちはさらに強い絆で結ばれたことを感じた。


翌日、僕は綾美のお見舞いに行った。


前に一緒に行ったケーキ屋さんのモンブランを持って行くことにした。


それは、綾美が好きだと言っていたからだ。


病室に入ると、綾美は意識が回復しており、僕を見るなり微笑んでくれた。


彼女は僕に向かって「本当にありがとう」と感謝の言葉を述べた。


そして、僕たちは一緒にモンブランを食べ始めた。


病室に広がるケーキの甘い香りと、綾美の笑顔が、僕の心を温かくした。


綾美は、自分が助かったこと、そして、こんな風に僕とまた時間を過ごせることに感謝してると言った。


その言葉を聞いて、僕は彼女の大切さを改めて感じ、彼女を守るためにも、もっと強くならないといけないと心に誓った。


この静かな時間は、僕たちにとって大切なものだった。


過去の戦いや未来に立ちはだかるであろう困難を一時忘れさせてくれる、貴重なひと時である。


綾美と共に過ごす時間は、僕にとって新たな力となり、これからの戦いへの強い動機付けとなった。


僕は綾美の笑顔を守るために、これからも戦い続けることを決意した。


綾美がケーキを一口食べた後、「あのカボチャの化け物が現れたなんて驚きね」と言った。


その言葉に、僕は少し重い気持ちで「そうなんだ。妹を連れ去ったあいつが現れるとは思わなかった」と答えた。


そして、僕は綾美に向かって、なんとしてもあのカボチャの化け物、パンプキンマンを捕まえる必要があることを語った。


綾美は僕の決意には同意したが、パンプキンマンの実力が僕らの思っていた以上である可能性についての心配を述べた。


「白木さんに聞いた話によると、本部はパンプキンマンのランクをSランクと認定し直したんだって」と綾美は言った。


そして、彼女はさらに「Sランクのヴァンパイアはあまりにも危険すぎる」と言った。


その情報を聞いて、僕の心はさらに重くなった。


パンプキンマンがSランクとは、これまでの戦いとは比べ物にならないほどの強敵であることを意味していた。


綾美の心配する声と、彼女の瞳に映る不安を見て、僕は綾美を守るため、そして妹を取り戻すためには、僕自身がさらに強くならなければならないと改めて感じた。


この瞬間、僕は自分自身に誓った。


どれほど困難な戦いが待ち受けていても、パンプキンマンを倒し、妹を救い出すためには、あらゆる努力を惜しまないと。


そして、綾美や白木さん、そして僕たちの大切な人々を守るために、これからも戦い続けると。

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