ヴァンパイアハンター 〜僕は拐われた妹の為に吸血人になる〜

第11話

白木さんが殺鬼刀を操り、再びマエストロに攻撃を仕掛けた。

しかし、マエストロの反応速度は圧倒的で、彼女は白木さんの攻撃を全て触手で防いだ。

僕も二刀流でマエストロに立ち向かうが、彼女の動きは想像以上に早かった。

白木さんが「こいつ思ってた以上に早いな」とつぶやいたその声に、僕たちはマエストロの真の力を改めて認識した。

その時、僕はジャックから受け継いだ力をさらに解放しようと力んだ。

すると、僕の足の筋肉が急に発達し、高速で動けるようになった。新たに得たスピードを利用して、僕はマエストロに対し猛速で攻撃を仕掛けた。

マエストロも僕の突然の速度向上に驚き、「やるじゃないの」と言った。

その間に、白木さんは大蛇のように動く殺鬼刀でマエストロを翻弄し、僕がマエストロに斬りかかる隙を作った。

白木さんの刀がマエストロの足を僅かに擦り、小さなダメージを与えた。

これがマエストロをよろめかせる結果となり、僕はその隙にさらに斬りかかった。

「喰らえ！！」

この連携攻撃は、僕たちの間に生まれた信頼と結束の証だった。

「ぐはっ！」

マエストロの腹を僕の殺鬼刀が切り裂いた。

白木さんの技術と経験、僕の新たに解放された力が合わさり、マエストロに対して初めて明確なダメージを与えることができた。

「今だ！」と白木さんが叫ぶその声が、僕たちの攻撃のタイミングを完璧に合わせた。

僕は新たに得た高速での動きを活かし、マエストロに対して何度も斬りかかる。

一撃ごとにマエストロは痛みの叫び声を上げた。

白木さんも遅れずにマエストロに斬りかかり、二人でマエストロにダメージを与え続ける。

連携攻撃はマエストロを圧倒し、彼女の反撃の機会を奪っていた。

白木さんが戦いの最中、僕に向かって「俊也！攻撃の手を緩めるなよ！」と声をかける。

その言葉が僕の心に火をつけ、さらに攻撃の勢いを増した。

「死ぬ！死ぬ！死ぬ！」

マエストロは叫び続けるが、僕たちの攻撃は止まらない。

僕の高速での斬撃と白木さんの熟練の技術が組み合わさり、マエストロに一層のダメージを与える。

彼女がこれまで見せていた余裕は消え、僕たちの前に立ちはだかる最後の障壁を乗り越えようとする僕たちの意志が、マエストロを追い込んでいた。

この一連の攻撃で、マエストロの動きは明らかに鈍くなり、僕たちの連携による圧力はますます彼女を追い詰めていった。

僕と白木さんの共闘は、この戦いにおける決定的な転機となり、マエストロを倒すための最後の一撃を見据えていた。

「これで終わりだ」と僕は決意を込めて、マエストロの腹を切り裂いた。

彼女は激しい吐血を伴い、苦痛の雄叫びを上げた。

「うぉぉぉぉ！」

その叫びが終わるか終わらないかのうちに、驚異的な展開が僕たちを襲った。

大勢のヴァンパイアたちが僕らを取り囲み、再び戦いの場は混沌とした。

マエストロはまたしても兵隊ヴァンパイアを呼び寄せたのだ。

彼女は傷つきながらも、その触手を巧みに使い、僕らから距離をとった。

この予期せぬ援軍により、僕と白木さんは大勢のヴァンパイアに囲まれ、身動き一つ取れなくなってしまった。

この窮地に立たされ、僕たちは一瞬、戦意を失いかけた。

しかし、僕たちがこれまでに築き上げてきた絆と、戦いを通じて強まった互いへの信頼が、再び僕たちの中に火を灯す。

マエストロにこのまま敗北するわけにはいかない。

僕たちはどんな状況でも諦めず、困難を乗り越えてきた。

その強い意志が、再び僕たちを前に進ませる力となった。

僕は白木さんと目を交わし、無言のうちに新たな決意を固めた。

僕たちの前に立ちはだかる大勢のヴァンパイアたちと、その背後で力を取り戻そうとするマエストロ。

この戦いはまだ終わっていない。僕たちはどんな障害があろうとも、勝利を掴むために全力を尽くすのだ。

「絶対、奴を倒さないと…」

僕が一人つぶやき、前方を見るとマエストロが彼女の周囲にいたヴァンパイアたちを次々と食べ始めていた。

その光景は絶望そのものだった。

彼女が自らの仲間を貪り食うたび、その力は確実に回復していき、僕らの前に立ちはだかる壁はますます高く、厚くなっていった。

一方で、僕らは絶え間なく襲い来る兵隊ヴァンパイアたちによって、疲弊し、追い詰められていた。

僕らが苦戦を強いられる間にも、マエストロは静かに、しかし着実に自らを再生させていく。

その回復の速度は僕たちの努力をあざ笑うかのようで、僕らの心に深い絶望を植え付けた。

僕らはまず僕たちを取り囲むヴァンパイアたちを一掃しなければ前に進めないが、その任務は絶望的に思えるほど困難だった。

僕と白木さんは、もはや限界を超えた高速で動きながら、目の前のヴァンパイアたちを切り続けたが、それでも彼らは絶え間なく僕らに襲いかかる。

僕らの殺鬼刀がヴァンパイアの肉体を斬り裂くたび、新たな敵がその場を埋め尽くした。

この無限に思える戦いの中で、僕たちの心は絶望に侵食されていった。

マエストロが回復していくたびに、僕たちの希望は薄れていき、彼女が放つ余裕の笑みは、僕たちの不安と恐怖を増幅させる。

この戦いにおいて、僕たちはただの駒に過ぎず、マエストロの手の中で弄ばれているように感じられた。

絶望の中で、僕たちは自分たちの限界を超えて戦い続けるしかないという厳しい現実に直面していた。

突如、僕の頭の中にいつもの男の声が響いた。

「お前もヴァンパイアを喰え」という声。

僕はその言葉に混乱し、戦いの最中であるにもかかわらず、心が乱れた。

しかし、その声は止まらず、「このようなレベルの低い奴らを喰うのは気に食わないが、やむを得ない」と続けた。

この声の指示に従うことの重大さと、それが意味するものに対する恐怖に、僕は躊躇した。

しかし、目の前に迫ってくる兵隊ヴァンパイアの数に押され、僕たちの状況は絶望的だった。

僕は混乱しながらも、生き残るため、そして戦いを終わらせるための一縷の望みとして、目の前に迫ってくる兵隊ヴァンパイアの首筋に噛みついた。

その瞬間、僕の体には奇妙な感覚が走った。

それはまるで、新たな力が僕の体内に流れ込んでくるような感覚だった。

この行動が正しいのか、それとも僕をさらなる絶望の淵に追いやるのか、その答えはまだわからない。

しかし、僕はこの絶望的な状況を打破するために、あらゆる可能性に賭ける覚悟を決めていた。