ネエネエオネエチャン

第6話 引きこもりになりたい。

「わたしも引きこもりになりたい。どうすればいい？」

「え。したいこと？　うーん。……キミと一緒がいいな」

　チラチラと恥じらいながらこちらを見てくる。

「ふふ。いいじゃない。わたしだって外に行きたくないときもあるのだよ」

　えっへん。

「もう。なんで笑うのよ。こっちは真剣なのよ」

「そうね。キミの部屋に引きこもればいいのかな」

「これって同棲みたいだね」

「なによ。お姉ちゃんと試しに付き合うの、本気だって何度も言っているでしょう？」

「もう。キミ。そういうところだぞ」

「お姉ちゃんのことは信頼しなさい」

「ふふ。でも今は独り占めできるから、わたしは嬉しいわ」

「うん。素敵な日が続いているなーって思うの」

「わたしたちは外の世界とは違うんだ。変わり者なのかもしれないね」

「でもそれでいいと思う。社会は勝手気まますぎるんだよ。マナーとかよく分からないし」

「誰だよ。ノック二回はトイレのときだって。いいじゃん。全部二回に統一すべきだよ」

「あ。ごめん。キミを責めているわけじゃないよ？」

「でも社会って生きづらいんだよね。人のためにあるはずなのに……」

「もう、ごめんてば。ここでは自由でいたいよね」

「そうだ。今夜、お母さんとお父さんデートだって。わたしが料理作るけど、リクエストとか、ある……？」

「え。得意料理はオムライスだけど……」

「うん。オムライスにするね。相変わらず優しいんだから。きゃっ♡」

　ぎゅーっと抱きしめられる。

「好きっ♡」

「もう、わたしの彼氏になりなさいよ！」

「むむむ。いいもん。わたしの手料理で胃袋をわしづかみにするんだから」

「え。三つの袋をつかみなさいっていうじゃない」

「ええと。胃袋。給料袋……あとは……」

「せ、精巣の、ふ、ふくろ……？」

「もう！　笑わないでよ！」

「ん。堪忍袋？　そ、そうなんだ。一つ賢くなっちゃった。てへへへ」

「まあ、そんなわけで夕食は楽しみにしていてねっ！」

「具材はあり合わせのもので大丈夫そうだし……。そうだ！　一緒に料理しない？」

「あ。うん。ごめん。無理、だよね……」

「台所に行くのも不安になるよね。ごめん」

　汗を浮かべるネネ。

「うん。キミは無理をしない。それだけ気持ちが落ち込んでいるんだから」

「今は必要な休息だと思って、お姉ちゃんに甘えなさいっ！！」

「うん。こちらこそありがとうだよ」

「さ。そろそろ夕食作ろうかな……？」

「ちょっと待っていてね。すぐ作るから」