第5話 引きこもりサイコー!

「夏だね~。あっエアコンの調子どう?」


「うんうん、冷えているね。じゃあ、一緒にいよ?」


「いいでしょ? お姉ちゃんの言うことは聞きなさい」

 主人子の隣に座るネネ。


「いい感じ。暖かい」


「え。まって、エアコンは切らないで」


「だって、冬場にガンガンにヒーターの効いた部屋でアイス食べたいじゃない?」


「え? 詳しく……?」


「ええと。暑い中ガンガンにクーラーの聞いた部屋で温もりを感じたいじゃない」


「もう! 言わせないでよ! バカっ!」


「むぅ。キミはそうやってすぐからかう。人生の先輩なんだぞ?」


「まあ、年齢不詳だけどね。女の子は秘密が多い方が美しく見えるんだからねっ!」

(知っているけど)

「知っていても!」


「言われると歳をとったように感じるじゃない。女の子は17才で止まるの」


「もう。なんの話よ」


「そうだ。そろそろ蚊が出てくるから、蚊取り線香持ってきたよ」


「この匂い好きだな~」


「あ。でもキミの匂いの方がもっと好き。なんだか香ばしい香り……」

 うっとりボイスのネネ。


「そうだ。どうせならこのブタちゃんを使う!」


「まあ、お父さんの持っていた奴なんだけどね。年期はいっているよね」


「で、でも。味があっていいじゃない」


「そろそろ。……する?」


「え。まだ風呂に入っていない? そんなの後でもいいじゃない。先にしよ?」


「えー。いやだな~。分かっているクセに……」


「さあ。ゲームを始めよう。あっしぇんって」

 ゲームを取り出す音。

「そうそう。人間賢く生きなきゃ」


「わたしに刃向かっても無駄ってこと。だってわたしお姉ちゃんだから!!」


「最近、キミと一緒に引きこもるの、最高だって思う」

 ※まだ3日目です。


「これからもずっとずっと引きこもろうねっ!」


「熱中症にならないし、水害被害にも遭わないし! 引きこもりサイコー!!」


「仕事とか、勉強とかも全部オンラインでやればいいだよっ」


「そうだ。サイダーもってきたよ。一緒に飲もう?」

 サイダーを開ける音。

 グビグビと飲む音。


「ぷはっ。サイコー!! ね、美味しいでしょう?」


「うんうん。夏といえばコレだよねっ」


「さ。ゲームを始めるよ」


「ふふ。慌てなくても大丈夫だよ」


「ゆっくりでいいんだよ。みんな待っているから」


「キミはキミのペースで一歩を踏み出そう。ね? 難しくないでしょ?」


「ほら。オンライン対戦に間に合った」


「うん。共闘だね。今回はお姉ちゃんについてきて!」



「あれ? なんで攻撃が当たらないのよ~っ!?」


「あーん。こっちばかり負けちゃう!?」

 ゲームオーバーの文字。


「そんなー」

 しょんぼりするネネ。

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