第2話 引きこもり

「お姉ちゃんと一緒に遊ぼっ?」


「いいじゃない。小さい頃はよく一緒に遊んでいたじゃない」


「あー。そういうこと言うんだ! だったらわたしだってお嫁さんになってあげないんだから!」


「えー。お姉ちゃんと結婚する、って言ってたじゃない。忘れたの?」


「うーん。小さい頃。三才くらいだったかな?」


「ふふふ。ごめんって。少しからかってみたかったの」


「すごくいい顔するんだから……」

 うっとりとした声。


「もう。でもお姉ちゃん気がついているからね?」


「えー。言っちゃっていいのかな?」


「ふふふ。キミの視線、胸ばかりにいっているって」


「あー。ごめんごめん! 引きこもらないで!」


「もう、昔からすぐに逃げるんだから」


「ん。謝らなくてもいいだよ。それも個性じゃん」


「それに社会に迷惑かけているわけじゃないし。パソコンで何かしているのも悪いことじゃないでしょ?」


「だったら、もっと胸を張りなさい。わたしに出来ないことをしているのだから」


「うーん。難しく考えなくてもいいじゃないかな」


「好きなことはやっぱりどこに行っても好きなんだから」


「好きなことがない人って悲惨だよ……」

 遠い目をするネネ。


「あー。ごめん。嫌なこと思い出した」

 虚ろな目をするネネ。


「お姉ちゃんに元気をわけて、ね?」


「うーん。言葉だけ?」


「もっとスキンシップしてもいいんだよ? おっぱい触る?」


「それともお尻?」


「いいんだよ。お姉ちゃんと一緒に居てくれるなら」


「ふふ。恥ずかしがらなくていいんだよ。お姉ちゃんのこと好きでしょ?」


「あっ。異性じゃなくても。その、家族……として…………」

 消え入りそうな声。


「ぐすっ……。うん。ごめん」

 哀しそうに泣くネネ。


「だぁあって……っ! お姉ちゃんのこと、お姉ちゃんとしてしか見てくれないんだもんっ!」

 グズグズと泣きながらしがみついてくる。


「お姉ちゃんと結婚して~~っ」

 しばらく泣き付く。


「……うん。すこし落ち着いてきた」


「やっぱり優しいね。他のには優しくしないでね」


「うん。無理だと思うけど……。でもやっぱり特別でありたいよ」


「うん。ごめんね。わたしずっと弟じゃなくて異性としてみてきた。それが悪いんだよね」


「こんなのおかしいって分かっているよ。でも、わたし好きになっちゃたんだよ」


「引きこもっているのも、外が怖いからでしょ? 人とうまく行かないからでしょ?

 そんなのわたしも思うよ」


「うん。でもね。わたしも一緒に引きこもりたい」


「引きこもってもいい? キミと一緒に」

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