Ⅶ. Tak for dit hårde arbejde
音声データを再生するのに、約半日掛かった。私はそのバンドの音楽を聴きながら、泣いていた。素人じみた歌声で、決して皆が好むような
「この間誘ってくれたコンサート、行くよ」
私は直ぐに
「――おや?」
ライヴハウスを建てた土地の費用を支払う為、私は銀行に赴いた。新規事業の立ち上げではある為、銀行からの融資も申請したが、そちらは取り下げられてしまったので、完全に自腹だ。この費用ばかりは
そうして何とか搔き集めた金銭のやり取りをする為に銀行に訪れたのだが、銀行口座の残高を見て私は驚いた。本来であれば、口座にあるのは私が今手元に持っているのと合わせて、土地費用ギリギリの金銭しか残っていない筈だった。けれど、そこには、私の知らない大量の預金額が記されている。私は目を疑った。以前私が勤めていた生体部品管理の仕事の給料の、実に何百倍もの金だ。私は振込内容を確認する。
――脳病寛解特異例情報集積報奨金。
そこに記されている文字列に、私は唖然とした。私は直ぐに
「お疲れさまでした。貴方が精神を病み、そこから新規事業を立ち上げるに至るまでの軌跡は、社会に有益な情報であるとして報奨金が発生しました。事業の足しとしてお納めください」
私はただ立ち尽くす。
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