第86話


「ねぇグレン?一緒に外行かない?」

「ん?分かった、ラムザ!いくぞ?」

「ん?俺も?」

「うんうん!行こうよ!」

 と三人で外に手を繋いでいくミリア達。

 まぁ、グレンがいるから大丈夫だろ。

 

 ゆっくりとした時間が流れ、家の中も落ち着いて、さて何をしようかな。

 コーヒーを飲みながらソファーに座って、最高じゃないか!金はある!家も!嫁候補だっている。

 あとは余生をまったりと過ごしたいな。

“ティロン”

 とチャイムの音が鳴る、イヤな予感がするが、

「はぁ。なんだ?情報屋」

「いえ、クランハウスおめでとうございます」

「それだけじゃ無いだろ?」

「あ!これ観葉植物!お祝いです」

 情報屋サロメが来たと言うことは『7匹の獣』のことか?


「もう『7匹の獣』はいいぞ?」

「え?本当にですか?情報ってのは知っておくことで回避出来ますが?」

「あー、一理あるな。わかった、あそこか?」

「はい!待ってますんで!」

 と言って帰って行った。


 しょうがないので『アンツ』に行くことにする。

 やはり寂れているのはしょうがないな。

“カランコロン”と中に入ると、奥に入るサロメが手を振っている。


「それでは前金で金貨5枚、後金で」

「ほら、金貨10枚でいいだろ?」

「ありがとうございます!では残りの3匹の獣についてです」


『怠惰の獣、周りを取り巻くものを操り、自身は動かず』


『傲慢の獣、周りを鼓舞し、炎の化身と化す』


『嫉妬の獣、周りを自分のものにし全てを我がものとする』


「はぁ、いつにも増してわからないじゃ無いか」

「すいませんね、なんせ昔の本の翻訳ですから、しかし共通点は周りですからそこは気をつけてくださいね?」

「俺はもうクランを作ったんだよ。危ない橋を渡るわけないだろ?」


 そう、俺には仲間がいるんだ、これまではなんとかなったが、これからはゆっくりしていきたい。


「あはは、本当にそうなるといいんですが、星の導きはわからないものですから」


「あと、戦争はどうなってるんだ?」

「あぁ、もう始まってますよ?辺境伯側が優勢ですね!」

「そうか。ならいいか」


 席を立つと、

「あ、『暁の獅子』と言う団体が戦果をあげているようですね」


 なんといったかな?まぁ、頑張ってるんだな。

「わかった、ありがとうな!」

「いえいえ、またよろしくお願いします」


 辺境伯領はこのブランドーから南に行った場所にある。辺境伯側が負ければこちらにも被害が出るだろう。


 まぁ、勝ち戦だったらまだ俺たち冒険者の出番はないな。


 『アンツ』から帰るとミリムが洋服を作っていた。

「おぉ、似合うじゃないか」

 アイラに着せているのはワンピースか?

「そ、そう?」

「おう、こっちではあまりみない服だな」

「えへへ、やっぱりお洋服をつくりたくなって」

「ミリムも遠慮しないでいいから、作りたいのは作ればいいぞ?」

「うん!頑張ってみるね」

 この調子でミリア、ミリムも少しでも昔を忘れてくれるといいんだがな。


 俺も日本のものをこっちで再現しようとおもうのだが、電化製品しか思い浮かばないんだよな。あとは食い物。

 さすがに酒は作り方がわからないし、料理はミリアがあるからな。

 

「ルシエさん、お願いがあるんだけど?」

「どうした?」

「シャンプーとコンディショナーが欲しいの」

「お、おお!それなら俺にも作れそうだな!俺が作れそうなものは言ってくれ!」

「うん!お願いします」

 

 よかった、俺にも作れそうなものがあったな!シャンプーとコンディショナーか、他にも液体石鹸や、容器も作らないとな!


 俺は自分の部屋にこもってシャンプーなんかを作るのに没頭した。

 薬草や鉱物はある程度持っているので作れないことはないと思うが、試行錯誤してみるか!


「出来たぞー!」

「わ!やった!早かったですね?」

「まぁ、肌に優しい成分をつかってるから問題ないと思うが使ってみてくれるか?」

「はい!」

 シャンプーなんかはクエン酸やグリセリンを入れれば作れるし、コンディショナーに何を入れるか迷ったんだよな!

 上手く出来てればいいが!


「あ!ドライヤーも必要だな!魔石を使って…」

 また課題がみつかったな。

 鏡に櫛も必要だろう?こっちにはくすんだ鏡しか無いからな。


「さぁ!錬金術の出番だな!」


 夕暮れ時にミリア達は帰って来てすぐにシャンプーとコンディショナーを使いに行った。

「きゃー!さらさらだよ!ドライヤーまであるなんて!」

 鏡とブラシもセットしたからいい感じだろう!


 リミ達も教わって使ったようで髪が綺麗になっている。

 さて、次は何を作ればいいかな?

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