第87話


 『暁の獅子』が凱旋して来た。

 メンバーはだいぶ少なくなったようだが勝鬨を上げながら帰って来た。

 やはり1番戦功を挙げたのは『暁の獅子』のリーダーでライドというやつらしい。


 このブランドーで人員の補充をするそうだ。


 聞くところによるとライドが単騎で走り抜けると大将首を取ったということだ。無謀にも程があるな。


 そんな最中俺たちはたこ焼きを焼いてパーティーをしていた。

「ほら焼けたぞ!食えよ?」

「おいおい!そんなに乗せるなよ!」

「あはは、ラビオン食え食え!」

 と楽しくパーティーをしていたが、

 チャイムが鳴り、入ってくるもの達がいた。


「なんだ?」

「『暁の獅子』だ、ブランドー1のクランだそうだな?我々について来てもらおうか!」

 男達は土足で上がって来ている。

「嫌だと言ったら?」

「な!『暁の獅子』にたてつくつもりか?」

 上からのものいいが気に食わないな。

「俺が言ってくる」

「おう!任せたリーダー!」

 ラビオンにはここに残ってもらわないとな。

「外に出ろ!ここは土足厳禁だ!」

「くっ!さっさと着いてこい!」

「じゃあ行ってくる!」


 『暁の獅子』に着いて行くと宿の一室を貸し切っているようだな。

「こっちに来い!」

 部屋に入るとライドという男が赤い鎧を着て座っていた。

 こちらをみると、

「悪いね、少し怒らせてしまったようだ。だが、今は戦時中、少しの無礼は多めにみてくれるか?」

「あぁ、別に構わないが?」

「そうか、では単刀直入に聞く、『暁の獅子』に入らないか?」


「入るわけないだろ?『傲慢のプライド』?」


「な!なぜそれを!こいつを外に出すな!」


 俺は剣を抜き臨戦態勢をとる。


「悪いが死んでもらう!」

「死ねないな!」

 斬りかかってくる男を刺すと次の男も斬る。

砂になる男どもに動揺していない。

「お前たちに俺は殺せない」

ポイントを奪い去る。

「なっ!お前は何をした!?」

「お前に『再生』は使わせない」

「くっ!」


「何故王国に加担する?」

「帝国の王は『嫉妬のエンヴィ』、俺の妻を殺した女だ!」


「お前達は『再生』を持っているな?そんな二人が衝突したら人間は大勢死ぬんだぞ!」


「俺は必ず復讐する。そのためには人間が必要だ!人間は俺の糧となればいい!」

 こいつらは自分のことしか考えていない。

「一国の王とただの集まりじゃ負けるのは目に見えてるだろ?」

「だから今人間を集めているんだろ!」

「お前達のせいで沢山の人が死ぬというのがわからないらしいな」


「分かっている!俺の愛した女も人間だ!!」

 ならわかってもいいはずだが?

「ではなぜ?お前がやっていることはエンヴィと一緒だろう?」

「ちがう!俺は、俺は、愛するもの達を守るために戦う戦士と一緒に戦っている!」


「お前のエゴだ。一緒なんだよ!それがわかんないなら自分一人でエンヴィと戦えばいいだろ!」

 ライドは悔しそうな顔をしている。

「それは無理だ、あいつはもう国を乗っ取り帝王になっている。あいつを殺せるのは俺だけだ」

 そんな風に思ってるから人は死ぬんだ。

「じゃーな。お前だけで倒すんだな」

「まて!お前は分かってない!あいつはこの王国まで乗っ取ろうとしているんだぞ!」

「…その時は俺も出て行く。俺はお前らの弱点を知っている」

「何万人いると思ってるんだ?」

何万人でも俺の故郷は奪わせない。

「それでもだ」


 外に出るとハウスに帰る。


「お、帰って来たな!どうだった?」

「あぁ、断って来たよ」

「戦争が起こるの?」

 ミリアが不安そうに言ってくる。

「もう始まってる」

「そう、それじゃあ」

「あぁ、俺とラビオン、あとワルツ、ウリンは行く準備だな!」

「え!私達は?」

「帰りを待っててくれ」

「俺も連れて行ってください!」

グレンがいうが、

「ここを守る人間も必要だ」

 少しの間睨み合いになるが、グレンが折れる、

「くっ、分かりました」


殺伐とした雰囲気の中また来客だ。


「凄いクランハウスだな!」

 アイズが中に入ってくる。

「SODも戦争に駆り出されたのか?」

「あぁ、王国兵も沢山来ている」

 やはり大勢の人間が死ぬな。

「『暁の獅子』とは?」

「あいつらは合わないな!どちらかというと仲間を見捨てて勝ちに行く姿勢だからな」

「前のお前らみたいだな」

「な!そんなことは…ないと思う」

「そうか、俺たちは四人だけで行く」

「は?戦争だぞ?出し惜しみしてる場合じゃないだろう!」

「守る人間も必要だ。それに足手纏いだ」

 きつい言葉だが本当のことだ。

「…SODが守ってやってもか?」

「お前らも主力メンバーがいるだろ?そういうことだ、無駄な命はかけたくない」


「そうか、お前らがそれでいいならそうしろ!私達は勝ちに行くぞ!」

「負けに行く奴がいるのか?」

「ふん!後悔するなよ?」

「お互いにな」

 

 出発までに整えておかないとな。

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