第82話


 よし、そろそろダンジョンに潜るか。

 梅雨も終わり夏がやってきた。

 暑い日が続くが俺たちはダンジョンに潜る。

 と言うかダンジョンの中の方が涼しいのだ。

 訓練所に行かせているミリア達は、


 ミリアが杖で『治癒師』

 ミリムが短剣で『シーフ』

 スロウスが杖で『テイマー』

 ラムザが剣で『剣士』

 グレンがナックルで『拳闘士』


 として5人は訓練所にそれぞれ行っている。

 スロウスとグレンは行かなくても即戦力になりそうだが、やはりダンジョンなので行かせることにした。

 スロウスがとても嫌がったが、受けないと『クラウド』に入れないと言ったら渋々行っている。


 俺たちは40階層から先に進む。

 『情欲のラスト』のおかげでここまでしか来れなかったからな。


 41階層からは森の中だ。

 この森はジャイアントスネーク、グレートミノタウルス、ポイズンスパイダーが出てくる。

「ワルツ!」

「よっしゃ!」

 ジャイアントスネークの体当たりを盾で受け止めると、

「オラァ!」

 ラビオンが頭と身体にわけてしまいドロップに変わる。

「フッ!!」

 グレートミノタウルスの斧をギリギリで避け袈裟斬りにすると、

「『三連射』」

 リミの放った矢が頭を貫きドロップに変わる。

 ここら辺のモンスターなら楽に倒せるな!

 42、43階層と続き44階層、

 ここは群れで出てくるマッドモンキーが襲撃してくる。

「『サンダーストライク』」

「行くよ!『サイクロン』」

 アイラの雷を巻き込んでサイクロンはマッドモンキーを飲み込んでいく。

「フッ!はっ!!」

「おりゃ!」

 と残ったマッドモンキーを倒していきドロップを回収する。

 

「ここらで休むか?」

「そうだな」

 テントを張り野営の準備をする。


「ふぅ、やっぱりダンジョンはこうでなきゃな!」

「まぁ、色々ありすぎたからな」

「ですです!『グラトニー』から始まったんですから!」

「あぁ、5階層のあそこねー!」

「あれが始まり」

「ガハハ、だがあれがなければ俺たちはいないからな」

「そうね、助かったわ」

「それより飯食おうぜ!」

 ウリンに言われて飯を食いながらまたしゃべるが、世間話で盛り上がる。


 次の日も44階層から先に進む、マッドモンキーを倒したとき突然アイラが叫ぶ。

「ランクアップ!!」

「おっ!まじか!」

「やったな!」

 『鑑定』をすると、『聖魔導士』になっていた。

 『治癒師』と『魔導士』のランクアップ先だ。

「良かったな」

「うん!」

「あ、あのー…」

「どうしたネイル?」

「私もランクアップしました」

「おぉ!二人同時か!こりゃめでてぇな!!」

 ネイルは『ローグ』にランクアップだな。

 『シーフ』からのランクアップだ。


「二人ともおめでとう!」

「やったね!私も頑張る!!」

 あとはリミだが、特殊な『精霊使い』だから中々上がらないだろう。


「まぁ、焦るなよ?」

「うん、二人と違うしね!」

 リミはあと闇の精霊との契約だな。


 45階層への階段を見つけ、下に降りて行く。

 マッドモンキー、サーチマンティス、グレイコングなんかを倒して先に進む。

「あれ?宝箱!!」

「凄いな、よく見つけたな!」

「ネイル!開けるぞ!」

「はいです!」

 宝箱は木の根元に隠されるように置いてあった。

「開きました!」

「よし!開けてくれ!」

「はい!」

 中には黒い本が1冊入っていた。

「黒の書?」

「あっ!闇の精霊との契約書!」

 リミが叫ぶ。そうか、精霊の契約書なのか。

「じゃあ、これはリミだな」

「ありがとう!これで闇精霊と契約出来る!」

 

 早速、闇精霊との契約するそうだが、うまく行くのか?


「『深淵より来たりし精霊よ!姿を表せ』」

“ゴゴゴゴゴゴ”

 暗雲が立ち込め、稲光と共にでてきたのは、悪魔チックな可愛いキャラクター?!

『なんだ?お前が俺様を召喚したのか?』

「そうよ、契約をここに!」

『やだね!どうしてもって言うなら供物を差し出せ!!』

「な、何を差し出せばいいの?」

『クっヒッヒヒ!そりゃ決まってるだろ?』

「こ、これね?」

『なんだそれは?』

「チョコよ?他の精霊もこれにメロメロなんだから!」

 チョコはたしかに他の精霊も好きだが、なんか違う気がする。


『食い物か?気に入らなかったらお前の心臓をもらうぞ!!』

「ふ、ふん!そんな脅したってこれに抗えるの?」

『どれ、…あまっ!う、美味いじゃないか…まだあるのか?』

「契約してくれたらね!」

 闇の精霊は少し悩んで、

『わかった!では契約はここになった!そのチョコとやらを捧げよ!』

「やった!あなたの名前は?」

『我はシェイド!闇の大精霊シェイドだ!!』

 チョコを両手に抱え、シェイドは満足そうに消えて行く。

『これからも供物を忘れるなよ!!』

「はーい!よろしくシェイド」

『ふ、ふん』

 中々可愛い精霊だったな。ツンデレか?


「これで6大精霊との契約が終わったわ!あとはランクアップするだけね!」

「やりましたね!おめでとうございます!」

「へぇ、あんなふうに契約するんだね?」

「そう、あまり闇精霊とは相性が良くないから、召喚できてよかった!!」


「よかったな」

「うん!!」

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