第83話


「あ!ランクアップした」

「まじか!」

「でも『狩人ハンター』が『弓師アーチャー』になっただけ」

「そうか、セカンドジョブが上がったのか!それでも凄いじゃないか」

「えへへ」

「これで『リベル』はランクアップしたな!」

 ラビオンがそう言うと、

「ウチも負けてられないわね」

「こっちはラビオンだけだからな」

 スキルツリーを見るとみんなもうすぐ上がりそうだがな。 


 49階層、メタルタートル、

「ガハハ!どりゃあぁ!」

「凄いな」

「義手になってからあのパワーだもの!」

 メタルタートルがドロップに変わると、

「ガハハ!やっと上がったぞ!『聖守護者セイント・ガーディアンじゃ!」

「まぁ、順等だな!」

「あん!もう、先越された」

「ワルツは上がらないとな!」

 凄いな、これで四人目か。


 メタルタートルのドロップはレアメタルと鉄の甲羅、魔石と錬金術に欠かせないので大量に狩る。


「ふぅ、やっと50階層か、気を抜くなよ?」

「ボスでしょ?抜くはずないじゃない」

「無駄口叩いてないでいくぞ」

「「「「おう」」」」

 ボスはエレメンタルツリーだ、四属性の魔法を使ってくる。

「『暗器乱舞!』」

「『フレアボール』」

 ウリンとアビーが張り切っているな。

「うおぉぉ!」

「せいっ!」

 俺とラビオンで攻撃するが硬いな。

「どいて!『アイシクルダンス』」

「ガハハ!『セイントタックル』」

 エレメンタルツリーがへし折れると、

「『フレアウォール!』」

 とトドメの魔法を放った。


 ドロップはエレメンタルツリーの木材、エレメンタルソード、魔石だ。

 宝箱はウリンとネイルが開けてエレメンタルガードという大きな盾だった。

「ガハハ!俺にピッタリだな!」

「お前しか使わねえよ!」

 重そうな盾を軽々と義手で掲げるワルツ。


「さて帰るぞ!」

「「「「おう」」」」

 50階層の転移陣で外に出る、ダンジョンの中は一定の気温なので外に出ると暑さが身に染みる。

「さて、あいつらはちゃんとやってるかな?」

「まずはギルドだな」

 全員でギルドまで行く。

 中に入ると空調がそれなりに効いてるな。

「あ、『クラウド』のみなさん、こっちです」

 サーシャが呼ぶのでカウンターに行く。

「では、買取はありますか?」

「あぁ、ここで出すか?多いぞ?」

「ではこちらに!」

 と案内されるのはいつもの応接室だ。

「ん?なぜここに?」

「あはは、ギルマスが来たらここに通せと言っているので」

「はぁ、ポートか」

 ダンジョンの素材を出して行く。

 もちろん錬金素材は取っておくがそれ以外もかなりの量だからな。

「それでは精算してきますね」

「あぁ、よろしく頼む」

 入れ替わるように入ってきたのはギルマスのポートだ。


「やぁ、やっと帰ってきたね!」

「そうだな、四日はかかったな」

「50階層か?」

「あぁ、40から行ってきたよ」

「そうかそうか!ヒヨッコ達も頑張っているぞ?」

 ミリア達だな。

「スロウスはどうだ?」

「あぁ、あのテイマーか、体力がないから体力作りをさせているが、怠け癖がついてるなあ。だが教官に扱かれてもなんとか耐えてるぞ」

 そうか、スロウスもなんとかやってるんだな。

「他のみんなも頑張ってるんだよな?」

「あぁ、頑張ってるぞ?まぁ、まだまだだがな」

「それでいい」


サーシャが入ってくると、

「あ、精算できました」

「お、ありがとう」

「全部で白金貨25枚に金貨36枚です」

「おぉ!結構な額だな!」

「やっぱり収納があると違うな!」

 まぁ全て持って帰って来れるのは大きいな。

 


 下に降りて行く、当然みんなの様子が気になるので訓練所に見に行くが、ポートまでついて来なくてもいいのにな。

「ほら、あそこでへばってるのがスロウスですね」

 いつもの枕は持っておらず杖を引きずって走って…いや、歩いている。

「がんばれ、スロウス!」

 リミが声をかけると凄い速さでこっちに走ってくる。

「ルシエェェェェェ!!」

「お、おう」

 俺の胸に飛び込んでくるなり、

「ぼ、僕はもうダメだよ!無理だ!キツすぎる」

「いやいや、まだ始まったばかりだろ?それにグレンとスロウス以外は二ヶ月これをやるんだぞ?」

「でも、でも、きづいよー」

 しょうがないので頭を撫で、ポートに言って今日は終わりにしてもらう。

 『怠惰』なのに頑張ってると思うしな。


 ミリアは頑張っているので次は近距離のグレンとラムザを見に行くとやはりラムザは息が切れているが、グレンは涼しい顔をしているな。

 ラビオンは負けずに頑張っているラムザが可愛くて仕方ないようだ。

「おい!ラムザ!へこたれるなよ!」

「クッ!分かってるよ!」

 言い返す元気はあるようだな。


 最後に斥候のミリムを見に行く。

 宝箱の鍵と必死に戦っているようで、ネイルとウリンがあちゃーという顔をしている。

「あれじゃダメですよ」

「だな、でも最初はあんなもんだろ」

 ミリムも必死に頑張っている。


 みんなが終わるのを待ってから宿に帰る。

「スロウスずるいよ!」

「僕はいいの!明日から頑張る」

「そう言って今日も寝坊しかけたじゃないか!」

「あはは、明日もよろしく」

「よろしくじゃないっての!」


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