第67話
ダンジョンも41階層に入ると今度は砂漠から森に大きく姿を変える。
遠くに見えている大きな木が物語に出てきた大樹なのか?
「ちっ!くそ!」
「このフィールドは猿たちにはもってこいだな!」
クレイジーモンキーの群れが襲ってくる。
猿は気を巧みに避けながら攻撃してくるので狙いが難しい。
「すー…せや!おら!」
追いかけるんじゃなくて狙い撃ちに変える。
「お!やるねぇ!んじゃ俺もっと!!」
ラビオンも真似して立ち止まり、猿が来るのを待って攻撃している。
「こりゃいいや!おっしゃ!来い猿ども!!」
クレイジーモンキーの群れはある程度倒すと逃げていった。
ドロップに皮と尻尾、睾丸があったが強壮薬になるようだ。
「ラムザ?無事か?」
「うん!ワルツが助けてくれた」
「ガハハ!ワルツさんだ!」
「ワルツさんが!」
ラムザも無事だ。
まぁ、初見はこんなものだろう。
森の開けた場所でテントを張る。
「歩きずらいのと先が見えないので時間がかかるな」
「そうだな、ネイル、ウリンは慣れたか?」
「うん!ようやく分かってきたよ!」
「まぁ、特性を見極めるのは簡単じゃないからな」
森の特性なんて見てるんだな。さすがウリンだ。
「この森自体が迷路みたいなもんだ。少し外れると元の場所に繋がっちまう」
「そうなのか、だから同じ場所を回ってるような変な感じがしたんだな」
「迷宮街も同じ森なんだが、こっちの方が厄介だな」
迷宮街のダンジョンも41階層からは森が続くらしい。
ラムザが何かを探している。
「どうした?」
ラビオンがラムザに声をかける。
「いや、あの、声が聞こえない?」
「ん?別に?」
俺たちも足を止めて耳を澄ますが、
「別に木々のざわめきじゃない?」
「う、うん、そうかも」
「またおかしかったら言えよ?」
「うん」
ラムザのことを気にかけながら先に進む。
ようやく42階層への階段に辿り着く、
「いやぁ、流石に難しいな!」
ウリンが汗を拭きながらそう言う。
「ですです。ほんとに!」
ネイルも同じく汗を拭く。やはりベテランでよ森を抜けるのに苦労するようだ。
43、44階層となんとか進むが早くはない。
だが一歩ずつ前進はしているので焦る必要はない。
テントを張り終えると食事の準備の前に少し試しに作ってみたいものがあったので練金釜を取り出す。
「何作ってるの?」
「ん?これは『チョコレート』って食い物だ」
「甘い匂いがするけど?」
「まぁ、甘いものだからな」
「味見してあげよっか?」
「まだダメだ、固まってないだろ」
この森にカカオがあったのでチョコレートを練金釜で作っている。錬金術を極めたので、想像通りに練金釜を扱えるようになったのだ。
練金釜でカカオマスにしてココアバターとミルク、砂糖を入れ錬成する。
「アイラ、氷って出せるか?」
「うん」
氷の塊を出してもらいそれを練金釜に入れ錬成する。
「ほら、一つづつな?」
とチョコを粒にしてあるので一つづつ渡す。
「やったー!む…!あまーい!!」
「美味しい」
「むーーー!!」
ネイルは口を開けなくても美味いっていってるようだな。
ラビオンやラムザにもやって、後は、
「ほら、精霊にあげるんだろ?」
「え!こんないいものを?干し芋でいいんじゃない?」
「お前なぁ、精霊の機嫌もとってやれ。チョコレートならまだあるからな!」
干し芋なんてやったらへそ曲げるだろ?
「『ウンディーネ!』」
『なぁに?え?何それ?』
「チョコレートよ?甘くて美味しいの!」
『さすがね!分かってるじゃない!それじゃあ、、、美味しい!!!』
「でしょ?」
と精霊と女子トークを始めるリミは放っておく。
一応、飴も作っておいたのでラムザにも袋に入れて渡しておく。
「い、いいの?」
「あぁ、食べ過ぎるなよ?」
「うん!」
子供にはやはり甘いものだろ?
日本のものをこっちで作るには中々ハードルが高いが、練金釜があれば知識とイメージでなんとかなるもんだな。
晩飯後にラムザの様子を気にかけるラビオン。
チョコレートを食べている時は普通に見えたが、やはりラムザの調子があまり良くないみたいだ。
「どうだ?」
「あまり良くないな。声が聞こえるっていうのはずっと言ってる」
「ここから戻るか?」
「どっちも一緒だろ?なら進んだ方がいい」
「そうか、休憩も多めに取ることにしよう」
ラムザの具合にもよるが、明日までに撤退も視野に入れておこう。
夜番をしているとフラフラと歩くラムザが見えたので追いかけるが、どこかに消えてしまう。
「おい!ラムザが消えた!」
全員を起こすとやはりラムザがいない。
「チッ!隣で寝てたのに気付かなかった!クソッ!」
「とりあえず近くにいるはずだ!探すぞ!」
全員で探すのは危ないので俺とリミ、ウリンとラビオン、ネイルとアビーで周りを見に行く。ワルツとアイラは野営地に残ってもらう。
「おーい!!ラムザ!」
「ラムザーー!声を出せ!」
夜が明けてきたので一旦戻るとネイルとアビーは帰ってきていたがラビオンとウリンがまだ帰ってきていなかった。
「もう少し待って帰ってこなかったら探しにいこう。ウリンが一緒だから先に行ったのかもしれない!」
俺たちは昼を待たずにラビオン達を探しに先に進むことにした。
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