第64話
あにです。聖剣から魔剣に変えたのでよろしくお願いします。
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少年にポーションを使うとクリーンで綺麗にしてやる。そして近くで野営の準備をして少年が起きるのを待った。
やはり貧民街の子供の様で小学生くらいだろう。ボロを着ており、装備と言えるものはなに一つ着けていない。せめて革鎧くらいは装備しておかないと、30階層では荷物持ちでさえ危ないだろう。
「助けたはいいがどうするんだ?」
「それは俺が面倒みるさ」
ラビオンは少年を見ながらそう話す。
「分かったよ。で?」
「とりあえず
「それがいいだろうな」
この少年にどれだけできるかだが、
「起きてから聞いてみるさ」
なかなか起きない少年を心配しながら飯の用意をする。
「ん…え?」
飯の匂いで起きたみたいだな。
「お!少年が起きたぞ?」
「…!?」
少年は怯えているようで壁を背に逃げようとしている。
「まずは逃げるな!お前は男達に殴られてたよな?」
「…あ、う、うん」
ラビオンはゆっくりと言い聞かせるように話す。
「よし、んで、俺たちが助けた。ここまではいいか?」
「あ…りがとう」
「そうだ、お礼を言えるのは偉いぞ!よし、飯をご馳走してやるからこっちに来い」
「い、いいの?」
「あぁ、これを食え」
ラビオンがお椀に入った汁物を指差す。
「うん!」
少年は寄ってくるとお椀を持って食べ始める。
「よし!よく噛んで食えよ?」
「ウグッ、ウ、うん」
腹がいっぱいになると眠くなったようだが、話をしないと先に進まない。
名前はラムザで11歳らしいが、栄養不足だったのか背が低く幼い。親はおらず兄弟もいない。
男達にポーターを頼まれてついてきたが見たことのない場所に連れてこられ、帰して欲しいと頼むと殴られたということだ。
それだけ聞くと限界だった様で寝かせてやる。
「親兄弟はおらずよくここまで生き延びたな」
「それだけラムザが頑張ったからだな」
俺とラビオンはまた夜番で共に過ごす。
話題はラムザだ、幼いあの子をここで放り出すことはできないだろう。
「悪ぃな、俺のことは置いていってくれ」
「はぁ、それじゃあいつらと一緒だろ?拾ったんだから俺らも等しく面倒見るさ」
「そうか、本当にすまねぇな」
夜番中はダンジョンクロウラーと言う這い回るワームのようなモンスターが襲ってきたくらいだ。
「おう、おはよう!よく眠れたか?」
「うん、おはよう」
ラムザは目を擦りながら起きてラビオンの隣に座る。
「おら、皆んなにも挨拶だ」
「おはよう」
「「「おはよう」」」
「よく寝てたね」
「お腹すいた?」
まぁ、なんにせよまずは朝飯だな。
パンとベーコンで簡単に済ませると、ラビオンは木剣を取り出して素振りの指導をする。
今のうちにラムザのスキルツリーを見てみる。
『
ポイントは少ないが、溜まってるのでこのまま稽古を続ければスキルが取れるだろう。
「よし、これを毎日やるからな?」
「うん!…ありがとう」
「気にするな、ルシエ!『クリーン』かけてくれないか?」
「『クリーン』」
『簡易魔法』の『クリーン』は身体を洗浄してくれるのでかなり便利だが、やはりちゃんとシャワーを浴びて清潔にするほうがスッキリする。なので、
「30階層から戻って、宿に帰ろう」
「「「「はい」」」」
とりあえず転移陣で外に出る。
「か、帰れた」
「当たり前だろ?ちゃんと覚えとけよ?」
「うん」
そして宿に戻る前にギルドに顔を出して今回のことを報告するが、ポーター自体をギルドは認めていないらしく今回のことは自己責任らしい。
仕方ないので30階層迄のドロップを買取に回すと金貨50枚になった。
値段はそれなりだが、やはり8人で割ると十分とは言えないな。
その後は服屋で服を買い宿に戻る。
宿ではラビオン、ワルツ、ウリンの部屋にラムザが加わり、面倒を見る。
2日経ってラムザのスキルツリーを見ると今度は剣士のスキルツリーが伸びていて、『力+10』『体力+25』が取れていた。
「ラムザ、ダンジョンに行くぞ!」
「うん!」
と1階層でスライム相手に奮闘しているらしい。
その間に俺たちは魔剣の情報を探してみる。
するとすぐに情報は入った。
『 ある男の物語、
男の名はユニオン、とある大樹の麓に慎ましやかに暮らしていた。
ある日、男はモンスターから女を助ける。
名前をバルゴ。
その日から女は男の家で暮らす様になる。
恋仲になるのに時間はかからなかった。
だがバルゴはその国の姫だった。
王は姫を攫った悪漢とし、兵に連れ返す様に命令する。
大樹の麓に兵が押し寄せ、男はなす術なく捕まり牢屋に入れられる。
王は姫を婚約させると男の処刑を急いだ。
姫は男を助けようと剣を持ち牢を破り、男と逃げようとするが男を庇い姫は命を落とす。
一命を取り留めた男は怒り狂い、神がかった力で一本の剣で城を落とすと姫の亡骸を抱いて大樹の麓へと帰る。
男は墓標にその剣を使い深い悲しみと消えない怒りを持って、
今もなお、守り続ける 』
「悲しいね」
「この剣が魔剣ってことか?」
「そうみたいね」
「で、その剣は貰っていいの?」
普通に考えてもう墓守は居ないだろうが、
「ダメだろ?」
「「「だよねー!」」」
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