第62話
歓楽都市ダラー、闘技場やカジノ、風俗など様々な娯楽があり、人々を取り込んでいく娯楽の都だ。
「さて!何で遊ぶ?カジノか?闘技場か?」
ラビオンは遊びに行きたくて仕方ないようだ。
「ダンジョンに行くんじゃないのか?」
「まずは遊ぶだろ?ダンジョンは後でも行けるって!」
「ルシエ、ダメな大人だ」
ウリンの言う通りだな。
「ケッ!そんなこと言わずに行こうぜ?それにダンジョンなんて今頃から行くわけじゃないだろ?」
「たしかに昼過ぎだからな、…分かった、付き合うよ」
「よし!そう来なくちゃな!!」
ラビオンはワルツと肩を組んで先に行ってしまった。
「んじゃ、とりあえず見て回るか」
「そうね、ラビオン達大丈夫かしら?」
「大人だし大丈夫でしょ?」
「わかんないぞ?とりあえず見つけたら捕まえないとな!」
ウリンの言ってることに賛成だ。
嫌な予感しかしない。
やはり見つけたら捕まえるしかないな。
「あっ!ガチャだって!景品凄いね!」
リミが見つけたのは地球で言うガチャガチャの事だが、どちらかと言うと福引きに近いな。
出たガチャの色で貰えるものが決まるようだ。
金だと『ミスリルソード』や『フレイムダガー』など魅力的な商品ではあるが、買った方が安くつく気がする。
「これはやっても当たらないだろ?」
俺は悪いがクジで当たりを引いたことがない!地球にいた頃からだからルシェールを合わせて…数えるのはやめよう。
「あはは!ルシエなら当たるんじゃない?やってみてよ!」
「ルシエ、がんば」
「私もやってみたいけど、もってないですからねー」
とりあえず金貨1枚で一回回せるようだ。
「当たらなくても知らないからな?」
仕方ないので一回だけやる事にする。
「はい!一回ね!」
金貨を渡してガチャのハンドルに手をかけると、
“カランカランカラン!!”
「大当たりぃーー!」
「よしっ!金だ!!」
遠くでラビオンが飛び跳ねている。金が当たったようで喜んでいるな。
サッサと引いてラビオンを追いかけないと、
“ガチャガチャ”
“ポンッ”
出て来たのは虹色の玉だった。
“カランカランカランカラン!!!”
「大当たりぃーーー!!!」
「えっ!?」
「凄いルシエ!」
「やったな!」
俺は唖然としていた。
地球にいた頃だってこんなラッキーな事はなかったからな。
「…ケッ!!」
ラビオン?!
「あっ!ラビオンが!」
「えっ!どこ?」
ラビオンは雑踏に紛れて行ってしまった。
結局ラビオンは見つからず、虹の景品は『マジックバッグ大』か『空間魔法の付与された荷車』だったので荷車に決める。
みんなで引いて宿に持って帰る。
今までの荷車は売らないといけないなぁ。
宿に帰った俺たちはとりあえずラビオンを待つ事にした。
「ラビオンはどこまで行ったんだ?」
「そのうち帰ってくるでしょ!」
アビーも呆れているようだ。
結局ラビオン達は帰って来ず、一夜明けてようやくラビオンが帰って来た。
「お、俺はダメだぁー、ルシエのようにはなれないな」
無精髭の生えたthe負け犬という格好でラビオンは帰ってくるなり泣いている。
「おバカ!あんたはあんたでしょ!!」
「そうだぞ?ウチのリーダーなんだからしっかりしろよ!」
「アビー…ウリン…ありがとうぅ」
泣いているラビオンはみんなから暖かく迎えられたが、
「ワルツはどうしたんだ?」
「え?あれ?あいつどこいった?」
ワルツを置いて来たようで怒られるラビオンだった。
それから1時間程した昼前に宿に馬車が横付けされる
「ガハハ!いやぁ、儲かったぞ!!」
「え?ワルツ?」
ワルツはスーツを着て葉巻を加え宿に入って来た。どうやら儲かったらしいが、あまりにも成金臭がする格好だな。
「ラビオンが賭ける逆に賭けたら面白いほど勝ってな!ガハハ!もう一度行こうか?ラビオン!」
「いやだ!もう懲り懲りだ!!」
「ガハハ!そう言わずに、さぁ!」
「ヤダァー!絶対いかねーぞ!ふざけんなー!バカワルツ!!」
ワルツには悪いがここまでにしてもらう。
ラビオンの逆とはまた凄い賭け方だが、さすがにラビオンが可哀想になった。
俺たちクランにも初めての決まりができる。
俺たちのクラン『クラウド』は賭け事は出来るだけ禁止にした。出来るだけだからやってもいいがやり過ぎるなと言うことだ。
禁止にしてもよかったがそれだと後々面倒になるからな。
その日の夜、俺は練金釜を取り出しアイラと約束していた物を錬金する。
迷宮街のダンジョンで入手した『雷光の魔法石』を取り出し、ミスリルのインゴット、春霞の木を使って魔法杖を錬金する。
『春雷の杖』が出来上がったのでアイラに渡す。
「綺麗、ありがと」
「遅くなったな」
「大丈夫!これで強くなれる」
またリミ達が何か言うかと思ったが自分のことのように喜んでいる。
良きパートナーに恵まれた。
翌日からダンジョンに行く予定なので部屋に帰り横になっているとドアをノックする音が聞こえる。
「アイラ、どうした?」
「愛してる」
入ってきたアイラは新しい杖を胸に抱きしめキスをしてくる。
「あぁ、俺もだ」
「フフッ、嬉しくて一緒に居たくなった」
「そうか、じゃあどうぞ」
アイラは俺の膝の上に座り、窓から一緒に月を見る。
『春雷の杖』はアイラに力を与えてくれるだろう。
アイラを後ろから抱きしめ今から先の未来のことを語り夜を明かした。
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