第39話


「あー、今年もみんなよくやってくれた!今日は酒も食い物もあるから楽しんでくれ!」

「「「うおぉぉぉぉ!!」」」

 今日はギルドで年越しパーティーが開かれている。ギルマスが冒険者に今年もお疲れと言って酒や食い物を用意してくれた。

「「「カンパーイ」」」


 そこかしこで乾杯の声が聞こえ、俺たち『リベル』と『ストロミー』のみんなも楽しく年を越すのを祝う。


「お前たちはまだ40階層に行かないのか?」

「ん?まだ30階層までだな」

 俺たち『リベル』は30階層までを繰り返し攻略している。

 なぜかと言われると困るが、急いでいるわけじゃないし、俺たちのペースで攻略しているからだ。


「『ストロミー』は50階層までどれくらいでいったの?」

「私達は2年くらいかな?あんた達は早い方よ?ラビオンがバカなだけよ」

 リミにアビーが応える。やはりそれくらいはみてゆっくり攻略して行くのがいいだろう。


「ガハハ!そうだぞ!ラビオン、急がせるのはダメだぞ!」

「だな。『リベル』のペースがあるからな!」

 とワルツとウリンにも言われ、

「だぁ、わかってるよ!ただ言っただけだろ!」

 ラビオンはそう言うと酒を飲み干す。


「よぉ!やってるな!」

「ん、グラムにシザーレも今日は休みか?」

「そりゃ年越しに仕事はないだろ?俺たちだって飲みたいさ」

 教官のグラムとシザーレも加わって、エールで乾杯をする。

「そういえばミドルやサイなんかは元気にしてるのか?」

 ミドル、サイ、ドンは一緒に訓練を受けた同期だが、ここのところ会ってない。


「あいつらは実家に帰ったぞ?まぁ、年越しだから普通は帰るもんだな。土産買ってくると言ってたからな」

「そうか、ならいいんだが」

「3人ともダンジョンだけじゃなくて普通の依頼もこなしてたから、まだ10階層までしかいってないらしいぞ?」

「だよな。お前たちくらいじゃないか?短期間で30階層までいってるのは」

 普通は通常クエストもやらないと稼ぎが少ないようで、俺たち『リベル』は俺が『収納』を持ってるからダンジョンでも安定して稼げている。


 みんな今年の反省や来年の目標を語り合い、そして生きてこうやって年を越せる事を互いに喜んでいた。


 残念だが冒険者と言う職業は死と隣り合わせだ。今年は『情欲のラスト』の件もあったので50階層より下に行った冒険者は亡くなっている。運が良かったのは『ストロミー』くらいだ。


 大宴会も終わりを迎え、みんなそれぞれの宿に帰って行く。

「ルシエ、楽しんだか?」

「ギルマス、まぁ、楽しかったよ」

「そうか、来年はいい年になるといいな!」

「あぁ!お互いな」

 ギルマスとも色々あった。

 ゴテアラはあの後、行方は分からないそうだ。元気にやっていればいいのだがな。


 宿に帰ると3人娘に手を引かれリミ達の部屋に行く。


「やっと私達の番だね!」

「長い」

「そうですよ!ルシエは人気者ですから」

「そう言うわけじゃないだろ」

 そりゃ、ひっきりなしに人が来て喋り疲れたが、人気者ではない。


「そうだ、久しぶりに見てみてよ!」

「賛成」

「いいですね!」

「…」

 実はたまに確認しているなんて事は言わない方がいいな。


「最初は私ね!」

 リミは精霊使いで弓も使うので狩人も伸びている。まだ次の精霊との契約が出来ていないと言うので仕方なく、光の精霊との契約にポイントを使ってやる。

「やった!儀式に必要な物が手に入らなくて諦めてたの!ありがとうルシエ!」

「必要な物って?」

「光の契約スクロール、魔光石が…」

「分かった分かった、で?どんな精霊なんだ?」

「えへへ、光の精霊ウィル・オ・ウィスプだよ」

 これでリミの契約している精霊も五つ目か。

「分かった、期待しているよ」

「うん!期待してて!」


「次は私」

「アイラは雷の中級はどうなんだ?」

「ばっちり」

「そうか、ならなんで?」

「ん?成り行き?」

「あはは、そうか」

 アイラのスキルツリーは順調に伸びているし手を加えるまでもない。


「じゃあ、私ですね」

 ネイルのスキルツリーを見ると探索者のスキルも俺と同じくらい伸びているので『マッピング』まで取れている。

 シーフも順調に伸びているので触るところがないな。

「ネイルもよく頑張ってるな」

「やった!そうですよね?私も頑張りました!」


 その後は他愛のない会話をしていると、時計の針が0時を刺す。

「年が明けたな」

「今年もよろしくねー」

「チュッ!」

「あー!アイラ!ズルはなしって言ったじゃないですか!」

「早い者勝ち!」

「ちゅーーーーー!」

「え?あ!リミまで!」

 とキスを交わして今年も3人に愛を誓う。


「もう、私だって我慢してたんですから!」

「え?てか3人ともなんで脱いでるんだ?!」

 俺は立ちあがろうとするが、リミに捕まり押し倒される。

「愛してもらうのに服は要らないでしょ?」

 リミ達は裸になっている。

「だからこう言うのは1人づ、ンブッ!」

 リミが唇を塞ぐ。

「ダメ!3人で愛してもらう」

「そうですよ?じゃあ、服を脱ぎましょうねー」

「ンーンー!ん!?」

 男はこう言うときでも元気なものだ。


「えへ、立派」

「じゃあ、私は胸を」

 と2人が俺の身体を弄る。


「んー、ンー!!ン!?」


 愛しくも夜は過ぎ行く。



 そして季節は移り春が来る。

 

 新たな出会いを連れて…

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