第4話
次の日の朝は涙の跡がついていたようだ。
顔を洗い、朝飯を食べると外に出て昨日買えなかったものを買って行く。
防具も見てみると良さそうなレザーアーマーがあったのでそれを合わせてもらって購入する。
まぁ、軽戦士って感じでしっくりくるな。
「あとは肉串なんかも買っていくか」
肉串や豚まんのようなものを買い込んで収納して行く。
これであらかた整ったかな?あとは馬でも買うとするか。
その前にギルドに向かうとリミを見つけた。
「よぉ、金を返しにきた」
「え?早くない?まだ大丈夫だけど?」
と気を使ってくれている。
「あぁ、金は持ってる」
「そうなんだぁ。なら遠慮なく返してもらうわ」
銀貨10枚を手渡す。
「なんだ?女に金借りてる奴がいるぜ?」
「ぎゃーはっはっは!さすが、男前は違うなぁ!」
とヤジを飛ばしてくる男ども。
「違うわよ!信用したから貸したのよ!」
「じゃー、俺らにも貸してくれよ!金貨でいいからよ!」
男どもが言いたい放題だな。
はぁ、しまったな。こんなところで渡すんじゃなかった。
「あんたなん「俺が受けて立つぞ?」っえ?」
リミの言葉を遮って男達を挑発する。
「あ?お前みたいなのに負けるかよ!」
「だったら証明してみろよ?俺に勝てるならな」
と白金貨1枚出してみる。
「な!お、おい!」
白金貨を見た男達の目が変わる。
「賭けだろ?俺が負けたらこれをやるよ」
「しゃー!賭けだ!俺が仕切るぜ!」
と胴元をやる奴が出てくる。
「おい!一対一なんてつまんないこと言わないよな?」
「あぁ、何人でもいいぞ」
俺は負けるつもりがないからな。
「なら俺らに全財産賭けるぜ!」
と盛り上がってきた。
「ね、ねぇ!ルシエ!本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だ」
ヤジを飛ばしてる中に強そうなのはいないな。
試合はギルド地下にある訓練場で行う。
獲物は木剣や木槍だ。
「おうおう!これだけの人数だぞ?勝てないってわからないのか?今なら土下座で済ませてやってもいいぞ?」
相手は15人か、まぁ、スキルの試し切りに丁度いいな。
「構わないぞ?それともお前が土下座するのか?」
「ぺっ!やっちまえ!」
と男が剣を振り下ろす。
『パリィ』
で最初の一撃を弾くと、
『エアリアルラッシュ』
怒涛のラッシュで5人をまとめて倒す。
「ひっ!」
『ウォークライ』
力が漲り、敵はこちらに釘付けだ。
「な、なんだ!」
『マジェスティブレード』
闘気を纏った刃が残り10人を斬りつける。
まぁ、こんなもんかな?それにしても弱い奴ほどなんとやらだな。
「捕まえといたわよ?」
「は、はなせ!」
リミが賭けの胴元を押さえ込んでいた。
「悪いな…ちゃんと支払えよ?」
「わ、分かった!」
と金は俺が全部受け取るかと思ったら、リミが木札を出してくる。
「えへへ、私も掛けてて良かった!」
「あ?あはは、俺に掛けたのか?やるなぁ」
と言って胴元から剥ぎ取った金は白金貨は俺のもので残りを折半した。
「やった!儲け儲け!」
「全財産かけてた奴もいたが大丈夫か?」
「あぁ、平気でしょ?そう言う奴ほど隠し持ってるものよ?」
「そうか」
とその場を後にする。
「あら、勝ったみたいね?可愛い顔してやるわね。でも危ないわよ?ランクの低い連中で良かったわね」
「でもソフィア!凄かったわよ?相手が…」
と受付のソフィアと話し始めるので、俺はギルドに併設された食堂で飯を頼む。
お茶でもないかと思ったらエールか水で、水の方が高いらしい…エールを飲んでみる事にする。
「っく、はぁぁ!まぁまぁだな」
そこまで冷えてないが飲めないこともない。
アルコール度数も低いようだし問題ないな。
「あー、私もエールね!一人でやってないで誘ってよ!」
とリミが向かいに座る。
「さっきの技って剣技でしょ?ジョブは剣士?」
「さて、どうかな」
「じゃあ、私の職業はなんでしょう?」
リミの職業か…見た目は魔法使いだが、
「魔導士か?」
「惜しいねぇ!正解は精霊使い」
最後が小声なのは知られたくないからか、
「へぇ、また特殊な職業だな」
「でしょ?で、パーティー募集中なの!」
「へぇ」
「へぇ…じゃないの!自分から売り込んでるんだからかってよね!」
とリミが笑いながら言う。
「あはは、売り込んでる雰囲気じゃなかったからな。と言うか俺は旅に出るつもりだぞ?」
「どこに?」
「さぁ、どこに行こうか?迷宮街でもいいな」
今の所、迷宮街でレベル上げでもしようかと思っているが、
「いいね!後衛に私なんてどう?」
「グイグイくるな」
「そりゃね!強い前衛はパーティーに一人はいるでしょ!」
まぁ、そうなるか。
パーティーか…他人と関わらずに生きてきた昔の俺とは違うし、リミならいいかもな。
「まぁ、いいか」
「よし!決まりね!」
とここでエールが運ばれてくる。
「パーティー結成にカンパーイ!」
「乾杯」
音が鳴るような飲みっぷりのリミはすぐにおかわりをしている。
「やっと私も一人じゃなくなったわ!」
「ん?前にパーティーとかは?」
「いないよ?だって身体目当ての奴とか、弱いやつばっかだったし!」
まぁ、それだけ魅力的なんだろうがな。
「それにルシエはかっこいいしね!」
「ブッ!ゴホッゴホッ!へ、変なこと言うなよ」
ルシェールの容姿は整っていて俺から見てもかっこいいとは思うが、それが自分ってのにまだ抵抗がある。
「かっこいいものはかっこいいの!」
「はいはい」
こうして初めてのパーティーメンバーにリミがなった。
赤い髪の可愛らしい精霊使いだ。
剣聖はまだスキルツリーが伸びているのでこのまま伸ばしていこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます