第14話 魔族を感知しましたっ
僕とソフェアさんは精霊樹からおりた。僕は泣いてないよな?と顔を触ってみるが大丈夫のようだ。ソフェアさんは湖に近づき手を触れる。すると湖は青く輝やいた。しばらくすると普通の湖に戻るが僕は驚きを隠せないでいた。そんな僕にソフェアさんはクスッと笑う。可愛い。
「カナメ、水浴びしませんか?」
そんなお誘いが来た。ミズアビ?みずあび…。
……まさか、そんな誘いが来るとは思わなかった。さっきまでなんというかシリアスだったのに。
でも確かこの湖、傷とか治るんだよね。そんな貴重な湖に入っていいのだろうか。
「先程言った通りこの湖は魔力や傷を回復させます。私もかなり魔力を使ってしまっていますし、カナメもほとんど残っていないのではないのですか?」
僕はそう言われてステータスを開いてみた。
【名前】紺本 紀(こんもと かなめ)
【種族】人間
【性別】女
【年齢】18
【属性】なし
【職業】なし
【レベル】45
【称号】暴食
【スキル】悪食lvMAX、突風lvMAX、光合成、聴覚lv2、脚力lvMAX、暗視、復活、ポイズン、万能薬、精神抑制、体力回復lv2、解毒剤、解呪lv2、酸耐性lv3、酸lv3、威圧耐性lv3、吸収、威圧lvMAX、結界lv3、隠密lv3、催眠lv3、怪力lv3、糸lv3、痛覚耐性lv2、嗅覚lv2、
【魔法】蒼龍
【HP】650772139701/650772139701
【MP】960/8967447001394
【攻撃力】29371034259
【防御力】34732072934
【魔力】960
【素早さ】73541079942
【運】307
【魅力】0
うわっ。ほんとだ。なんでこんなに減ってるんだろう。
「あなたは洞窟で永遠と魔力を使っていたので魔力過剰使用で高熱を出していました。魔力がないのにあんなに動いて魔力が源のスキルを使っていたのはスキル『悪食』の影響ですね。少しだけ私の魔力を与えましたので今は快調だと思います」
そういえばそんなこと書いてあったな。てか、ソフェアさん魔力くれたの?マジでこの人女神だよ。
「あ、ありがとうございます」
僕が戸惑いながら言うと優しく笑ってくれた。めっちゃ美人。
「私の魔力を与えても応急処置なので湖に入って回復してください。この湖は魔力を与えてくれる訳では無いですが自身を活性化させ回復の手伝いをしてくれます。それ抜きでもとても気持ちいので入りましょう」
眩しい笑顔をで僕の手を掴み湖に誘う。こんな風に言われたらめっちゃ嬉しいしいくらでも水浴びしたくなる。
「なら、入ろうかな?」
僕がそう言うとソフェアさんは服を脱ぎ始めた。体はやはり子供で純粋だった。肌は白いし傷1つない。来ている服は蒼色のシンプルなドレスで綺麗だ。
しかし、
僕は女なのにソフェアさんの体を見るのに何故か背徳感がある。なんというか綺麗すぎるのだ。僕は目を逸らし顔が少し赤くなっているのを感じる。
「さ、カナメも脱いでください」
「へっ!?」
そうだった。僕も入るって言ったんだ。こんなボロボロの服で入ったら失礼だし普通は脱ぐのだ。同性なのになんというか恥ずかしい。
「ほら、バンザイして」
その概念あるんだ。いやいや、じゃなくて。大丈夫かな!?大丈夫かな!?なんか物凄く恥ずかしい!僕は何を思ってるんだ。ただ水浴びするだけだろう?同性だし恥じることはない。まるで僕が同性愛者みたいじゃないか。僕は目を瞑りバンザイをする。バンザイと言っても上半身は蒼龍の攻撃のせいで胸しか隠せていない。下はズボンだが。
ソフィアさんは僕の服を脱がす。そして、上半身裸になった僕の胸をじっと見つめた。
「カナメはやはり女の子でしたか」
「……どゆこと?」
僕の疑問にソフィアさんが困ったように笑った。
「あっ、いえ、カナメは中性的な顔立ちだったので………髪は男にしては長いので女性だとは思っていたのですが」
すみませんと謝ってくるソフィアに僕は少しショックを受けていた。
まさか、僕男に間違われる顔してた?てか、それよりも僕の体って女の魅力ない?そんな分からないくらい胸なかった?
「……凄い………ショックです…」
「ご、ごめんなさいっ」
ソフィアさんは何度も謝ってくれたが暫くは自分の中で引きずりそう。
そんな会話をして僕先程の緊張感が薄れて逆に悲しい気持ちが溢れる。2人で裸になって湖に入る。こんな所見られたらやばいですねとソフィアさんに言うと滅多に人間は森の奥に入らないらしい。そういうもんか。
数分ほど浴びて湖からあがる。ソフィアさんは魔力を回復出来たらしく目の傷も治ったみたいだった。やはりソフィアさんの瞳は蒼色で綺麗だった。僕もステータスを開いて見てみる。
「あれ?」
僕の場合傷などは完全に消えたので凄いなぁと感心していたが魔力が全く変わっていなかった。
「カナメ?どうしました?」
不思議に思っている僕にソフィアさんが話しかける。いつの間にか服も来ておりその手にはもう一着の服を手にしていた。
「えと、魔力を回復出来てなくて」
「え?」
ソフィアさんは怪訝そうに僕を見つめる。
「おかしいですね。この湖は万能ですし1度入れば完全に回復すると思うのですが」
「傷は治りました。体力も万全です」
ソフィアさんは暫く思案する。その後すぐ治ったばかりの瞳が青く光り出す。小さく何かを詠唱しているのが聞こえた。よく見ると魔法陣が見える。僕は初めて見たソフィアさんの力に見とれてしまった。
「私もカナメのステータスを全部把握している訳ではありませんのでなんとも言えないですが確かに先程と全く変わってませんね。………それにしても、どうして魔力が増えてないと分かったのですか?」
ソフィアさんの目が普通の色に戻り僕にタオルを渡す。僕はありがとうございますと言いながら自分の目の前にあるステータスを指差す。
「普通にステータスウェンドウを開いて見ました」
タオルは手触りがよくいい匂いがする。ふわふわだ。
「……なんですか?それ」
しかし、ソフィアさんは僕の言葉に疑問で返した。僕が指差すステータスウェンドウは見えていないようだ。
「あれ?ここに今表示されているやつです。見えません?」
1度僕が指す空間を見つめるがソフィアさんにとっては虚空を見つめてると同じようで見えていないようだ。
「………普通は教会でプレートを発行してもらい初めて自分のステータスが見れるのです。身分証明にもなりますし生まれた時から発行してもらえるのですがカナメはこの世界に来たばかりですので感覚でつかんでるのかと思いましたがどうやら違うようですね」
僕はそれを聞いて唖然とする。もしかすると、いや、もしかするでもなく僕はだいぶチート能力を手に入れているようだ。
「それは、知りませんでした……」
ソフィアさんもかなり驚いている。しかし、すぐに気を取り直し僕に服を渡してくれた。
「とりあえず、魔力が回復しない理由を考えなければなりませんね。服を用意しました。こちらを着てください」
ゆっこりと笑うソフィアさんはやっぱり可愛い。天使だ。精霊だけど。
「ありがとうございます」
僕は飛び上がりそうになる気持ちを抑えながら服を着る。服は今まさに用意された感じで半袖短パンという簡単なものだ。でも着心地がいい。
「では、まずあなたのステータスを細かく見たいのですが大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」
僕はこの世界の常識を知らないしソフィアさんに頼るしかない。お願いしよう。
「『蒼瞳』」
僕が答えるとソフィアさんの瞳がまた光出した。先程よりも詠唱がはっきり聞こえる。
やはり綺麗だ。
「…これは、凄いですね。スキルをこんなに持っているとは……。悪食を抑える時もステータスを見ましたが………こんなに魔力の容量が大きい…。馬鹿みたいな体力にすばやさ……運も強いのにレベルが低すぎる………。しかし、魔法が蒼龍?どういうこと?…いや、『悪食』のせいかしら」
ソフィアさんは今までよりもかなり驚いているようだ。僕は少し不安になりソワソワし始めた。その様子にソフィアさんが気づく。しかし、目が真剣だ。ゴクリと喉をならす。
「異常です。洞窟の時も薄々気づいていましたがそんな馬鹿げたステータス。例がありません」
「や、やっぱりおかしいですよね?」
僕は恐る恐る聞く。いや、わかってるから聞く必要なんてないがやはり聞いたくなる。
「おかしい、ではなく異常です」
グサリと胸を突かれた気がした。こんなハッキリ言うとは。少し傷ついたんだが。
「普通どんな生き物にもスキルは最大3つまでしか持てません。ここが1番異常なのですよ、カナメは」
うへぇ。
僕が固まっているとソフィアさんは続けて話をする。
「しかし、カナメはまだ力のコントロールができない。それにスキルを得る時というのは体のリミッターが外れた時など、様々ですので滅多にないのですよ。スキルレベルも見たことない数字ですし……。まだ、潜在能力が高いと言うだけで今のカナメはとても危険です」
多分僕の場合スキルの『悪食』のせいでずっと異常な飢餓感があったからそれでリミッターが外れたのだろう。想像はつく。
「なので、暫くの間私がカナメ自身の力をコントロール出来るよう修行をしましょう?」
さっきまで真剣な目だったのに今はとても楽しそうな顔をしている少し嫌な気配を感じたが僕はソフィアさんの笑顔につられて嬉しい気持ちになった。
やったぁ!!ソフィアさんと一緒に居られる!いや、ちゃんと離れないって言ってくれたからそうなんだろうけどやっぱり嬉しい!
僕はニヤニヤとしている口元を隠す。
「それと魔力の事ですがカナメは魔力がほとんどない世界から来ているので元から魔素が極端に少ないのだと思います。何かのきっかけで魔素が自然と出来るようになれば魔力も増えるはずですよ。私たちが入った泉は魔素を活性化させ魔力を増やすのですが魔素が少なすぎると意味が無いのですよ。この世界に慣れれば自然と増えるでしょう」
優しく分かりやすく教えてくれたソフィアさんに感謝だ。どうやら魔力については問題ないようだ。僕は今まで魔物をずっと食べていたから魔力を蓄えられてたのだろう。今はもう食べないから極端に増えたりしないだろう。
「そして、魔法についてですがカナメのステータスに『蒼龍』の魔法があります。心当たりはありますか?他のスキルは森の中で起きたことですのでわかるのですがカナメが蒼龍と対峙している時見ることが出来なかったのです。なので原因がわかりません」
『蒼龍』?そんなのあったか?
僕はもう一度ステータスを見る。
【名前】紺本 紀(こんもと かなめ)
【種族】人間
【性別】女
【年齢】18
【属性】なし
【職業】なし
【レベル】45
【称号】暴食
【スキル】悪食lvMAX、突風lvMAX、光合成、聴覚lv2、脚力lvMAX、暗視、復活、ポイズン、万能薬、精神抑制、体力回復lv2、解毒剤、解呪lv2、酸耐性lv3、酸lv3、威圧耐性lv3、吸収、威圧lvMAX、結界lv3、隠密lv3、催眠lv3、怪力lv3、糸lv3、痛覚耐性lv2、嗅覚lv2、
【魔法】蒼龍
【HP】650772139701/650772139701
【MP】960/8967447001394
【攻撃力】29371034259
【防御力】34732072934
【魔力】960
【素早さ】73541079942
【運】307
【魅力】0
「何これ?」
魔法だけではなく属性や魅力という項目ご増えている属性も魅力も何もない状態になっているがこんなもの知らない。訳がわからない。魔法は想像がつく。多分蒼龍を食べたせいで身につけた能力だろう。しかそ、スキルと違って魔法はとても複雑なものだと知ったし近い方なんて知らない。今は魔力も少ないから簡単には使えないけど。
「わかりませんか?」
僕がステータスを見て思案しているとソフィアさんが不思議そうに覗き込んできた。そういえばソフィアさんは見えないから傍から見たら変な人になるな。
「あっいえ、多分蒼龍を食べた時に身につけたのかなぁと」
僕が曖昧に答えるとソフィアさんは納得したようだ。
「なるほど。蒼龍がどんな強さなのか見ていない私にはわかりませんが壮大な魔力と魔素を使うはずです。今試してみるのは辞めておきましょう」
「まぁ、そうなりますね」
苦笑しながら僕はステータスを閉じる。後で細かい所を見てみよう。
「では、まず最初に魔力を使わない武術や体術を教えていきます」
着いてきてくださいとソフィアさんは歩き始めた。精霊樹を離れて森の中へ進む。暫く進むと森を抜けて草原が広がっていた。心地よい風が吹く。
「自然の空気だぁ」
僕は気が抜けて青空を仰ぎながら深呼吸をする。
「綺麗でしょう?カナメのおかげです」
嬉しそうに目を細めながら微笑んでいるソフィアさんは美人すぎてその場所だけ天国のように見える。
「これから修行する時はここを使いましょう。今日は森の紹介だけで終わろうと思っています。これから他の森への支援と国との連絡が必要ですので多分1ヶ月は相手することが出来ません。なのでその間カナメはこの森の仕事をしてもらおうと思っています」
「仕事?」
僕は首を傾げる。森の仕事なんて想像がつかない。
「はい。簡単です。この森が清潔に保たれているかの確認を毎日して欲しいのです。私は綺麗になった森をいつでも見ることが出来ますが離れていては対処が出来ません。森を留守にすることが多いので細かい事に時間を割いていられないのです。そのため不純物は魔族の魔力を感じたらあなたのスキル『悪食』で食べてもらうか『吸収』で対処して欲しいのです。…あっ、すみませんスキル『吸収』は先程見た時に知りました」
なるほど。簡単に言えば森の管理か。え?こんな馬鹿デカい森を?無理だろ。いや、でもソフィアさんのお願いだし断れない……!断るつもりないけど。ていうか別にステータス勝手に見たことは謝らなくていいよ。ソフィアさんならどうされても構わないし。
「『吸収』を使えばカナメの魔力も少しは増えると思いますよ」
「そういえばそうですね。でも、こんな広い森、僕1人で管理出来ますか?」
確かに魔力を吸収すれば僕の魔力は増えるだろうし簡単に対処が出来る。けれど、ずっとこの森で過ごしていても出られなかったのに規模が分からないと管理のしようがない。
「はい。ですので妖精たちに異常があればカナメに伝えて欲しいとお願いしておきます。そして、管理する上でのルールですが」
ソフィアさんが言葉をきる。
「まず一つ、スキルや魔法などは使わないでください。異常事態の時は使っても構いませんがなるべく使わないようお願いします。常に発動しているスキルは問題ないので使っても大丈夫です。二つ、森の中ですので動物や妖精同士の争いに関わらないようにしてください。特に動物の世界は弱肉強食。生きていくために必要なことです。事故などが起きれば助けてあげて欲しいですけれどね?」
そこでふんわりとソフィアさんが笑う。判断は任せたということだろうか。
「ああ、でも魔物は躊躇なく殺してください。できるなら動物に戻す。カナメなら気配でわかるはずです。森の被害は最小限に。そして、三つ、カナメ自身に命の危険、魔族が襲ってくるということがあれば迷わず逃げてください。精霊樹の近くや湖に入れば大抵の魔族は襲ってこれません。妖精たちが私を呼んでくると思いますのでそこで待機していてください。スキルを使ってでも逃げてください」
蒼龍を倒した僕の存在は魔族側に知られているはずそのため邪魔な僕を始末しようと考えるだろう。それを踏まえてソフィアさんは言っているのだろう。
「わかりました」
僕はその仕事を引き受けた。
しかし、重要なことが抜けてる。
「でも、ソフィアさん」
「はい?」
「森の管理はする上で妖精たちは大事ですよね?」
「そうですよ」
ああっ!そんなにっこりと優しく笑われると心がキュッてなる!尊い!!
「……えぇっと、でも僕、妖精見えません」
そう。今も多分僕の周りにいるであろう見えない存在は僕と目を合わせておしゃべりなんか出来ない。
「何もしてない人間に妖精が見えるはずありませんよ」
当然のように答えるソフィアさん。ではどうしろと……。
「ですのでカナメに称号を与えようと思います」
「称号?」
聞きなれない単語。称号。そういえばステータスにそんな項目あったな。えっ。待って。めっちゃ嬉しいんだけど。初めて貰う称号がソフィアさんからって嬉しすぎる!僕はステータスウェンドウを開いて称号の欄を見る。
【称号】暴食
なんか既にあった。は?暴食って何。嘘だろ。今までうんともすんとも言わなかった称号の欄が何故かいつもの間に暴食によって書き換えられてるんだけど。めっちゃ、ショック。
「カナメ?どうしました?」
「あ、大丈夫です!称号ですね!称号!僕はよくわからないので説明お願いします!」
僕の百面相に戸惑いながらソフィアさんは説明を始めようとしてくれた。
「そうですね。まず…………っ!」
しかし、急に遠くの空を眺めて固まるソフィアさん。それは恐ろしいものでも見るような顔だ。僕も遅れて気づく。
ありえないくらいの数の魔族がこちらに向かってきている。
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