第3話 スキルが増えて遠くなりましたっ

«魔力異常摂取により魔力が増幅しました»


「ふぇ?」

僕は先程得たスキル『脚力』で大きなトカゲを捕まえて食べていた。いつもは食べて暫くして消化し影響が出るが今回は違うみたいだ。ちなみに今食べているトカゲも魔物だった。

「魔力異常摂取?なにそれ」

そんなものがあるのか。もしかして魔物ばかり食べていたせいでこんな物が出てきたのだろうか。キツネ、ウサギ、トカゲ。それぐらいしか食べていないが。

僕はトカゲを貪りながらステータスを開く。


【名前】紺本 紀(こんもと かなめ)

【種族】人間

【性別】女

【年齢】18

【職業】なし

【レベル】0

【称号】なし

【スキル】悪食

突風

光合成

聴覚

脚力


【HP】16347/19347

【MP】26970/26970

【攻撃力】2583

【防御力】1396

【魔力】26970

【素早さ】539

【運】102


なんかこのシステム適当になってきてないか?もうびっくりしないよ。何来てもびっくりしないから。呆れたわ。魔力だけじゃねぇのかよ。なんか色々と上がってるぞ。それなのにレベルとか称号とかないし。なんなんほんと。


«【運】の更新により、スキル『悪食』がレベルアップしました»


«スキル『悪食』により、レベル1になりました»


«レベルアップにより、スキル『突風』がレベルアップしました»


«スキル『突風』により、レベル5になりました»


«レベルアップにより、スキル『脚力』がレベルアップしました»


«スキル『脚力』により、レベル13になりました»





「えっえぇっ、、えっ、、え…えっ?」




異常なレベルの上がりように僕はびっくりした。

とりあえず、僕はステータスを見た。


【名前】紺本 紀(こんもと かなめ)

【種族】人間

【性別】女

【年齢】18

【職業】なし

【レベル】13

【称号】なし

【スキル】悪食lv2

突風lv2

光合成

聴覚

脚力lv2


【HP】21869/21869

【MP】27269/27269

【攻撃力】10243

【防御力】9653

【魔力】27269

【素早さ】9732

【運】132


やべぇ。なんか追いつけなくなった。どうしよ。とりあえず戦闘力の所は色々と上がったって事で無視して問題はスキルだ。何故かスキル『光合成』と『聴覚』は変化ないが他のスキルがレベルアップしてどんなスキルに変化したのか気になる。


【スキル】悪食lv2

・なんでも喰らう。空腹を感じると発動し食べれば食べるほどスキルが成長する。食べたものの性質をいくつか自分のものにでき、栄養分としても体に蓄えられる。無機物、有機物関係なく喰らい空間さえも喰らう。1番の好物は魔法。性質はランダムで取得し1つの時や逆に3つ4つの時もある。その代わり消化が遅い。


これは、運が上がったから悪食も変わったのか?てか、運って戦闘における運じゃなくてこういうの?よくわからないな。にしてもほんとに食べれば食べるほど成長するなこのスキル。じゃあ、食べたやつの性質は運が良ければ4つ貰えるかもってこと?ラッキー。それに消化が遅いって書いてあるし。今までよりも少し、楽になるかも。

僕はチュルンとトカゲのしっぽを吸い込み他のスキルを見る。


【スキル】突風lv2

・【魔物】狐のスキルのひとつ。自分の体や自分以外の生き物も物体に突風を纏わせ高速移動することが出来る。瞬発力が上がるが攻撃としても相手に突風を使うことは出来ない。発生源は魔力。コストは10。


『突風』自分以外に生き物や物を動かせるようになるだけか。これはこれで便利なのでは?コストも10倍に増えてるけど今の魔力量だと関係ないか。


【スキル】脚力lv2

・脚の筋肉が増幅し爆発的に攻撃が出来る瞬発力も上がり、今までの脚力よりも10倍の効果に上昇。発生源はHP。力が1%でも100%でもコストは5。


なんか違くないか?色々とめちゃくちゃな気がする。力が10倍になったのにコストは5

って変わってないぞ。最初の時も最大でコスト少なかったのに詐欺かなにかですか?でも1度使えばコスト5はかかる。まぁ、今の僕に関係ないけど。僕は口周りにある血肉を指で救い舐める。そろそろ野宿をしなければならない。あのクマがどこにいるか分からないが木の上とかなら安全だろうか。でも、昔動画で登っている様子見たことあるし、寝ている間に僕が落ちるかもしれない。そうださっきの蔓で僕が落ちないように固定すれば落ちないかも。さっきはウサギを捕まえるために使ったが今回は自分を守るために使ってみよう。僕はあのクマよりも高く丁度いい具合に枝が別れている木を探した。少しして目的の木を見つけ何本もの蔓を2本の枝に何重にも繋げる。重ねれば広くハンモックみたいなものが出来上がる。これで自分にも丈夫な蔓を括りつけもっと上にある枝に繋げるこれでハンモックがちぎれても2重に予防していれば敗れた拍子で僕は気づくだろう。その時、ステータス通知が来た。どうやらトカゲを食べた分が消化したみたいだ。だいぶ前より遅くなっている。1時間くらいか?でも、トカゲだけでもお腹いっぱいにならなかったからハンモック作っている時はグーグー言っていた。


«スキル『悪食』の消化が完了、のちに発動を続けます»


あれ?なんか変わってる。レベルが上がったからかな?前までは再発動だったのに。

もし、お腹すいてない時に発動してたらどうなんだろ。あ、でも新しいスキル発動条件変わってなかったな。もしかして充分に食べてないせいでこうなったのかな。

普通の人間ならお腹いっぱいのはずなのに今日で結構食べたからな。僕的にあんまり食べなくていいって思ったのかな。それに急な異世界生活に疲れてたのかも。


«スキルの消化の完了により、『暗視』を取得しました»


«スキルの消化の完了により、『再生』を取得しました»


«スキルの消化の完了により、『毒の息』を取得しました»


おおおぉ。一気に3つだ。これは運がいいのかな?もしかしてスキル『悪食』って運が上がれば上がるほどレベルが上がるのかな?運がどれくらい上がったらレベルが上がるんだろう。


【スキル】暗視

・暗い場所でも昼間のように周りを見渡せる。このスキルは取得した時点で常時発動。


ん?てことはもう今暗視が効いてるってことかな?でも今まだ夕方だし。夜になってから確認だな。

夜の狩りも出来そうだ。コストもないようだし強いな。


【スキル】再生

・トカゲのしっぽのように切り離すことは出来ないが千切れた足や腕等を再生することが出来る。これは傷を負ったことにより自動的に発動。発生源は魔力。コストは20。


うげぇ。1番コスト高い。なんで?まぁ、足とか再生できたら凄いしね。それに今までが少なすぎたせいか僕がケチつけ始めたのか。気をつけなきゃな。怪我した時に自動的に発動ってことはここはトカゲが逃げる時に咄嗟にしっぽを身代わりにする所からの影響で来てるのかな?

いやー凄いな。普通の人間じゃない。






ん?






人間じゃない?






────に、んげん………





急に吐き気がした。グワングワンと頭が揺れる。胃はもう空っぽなのに今まで食べたものを吐き出したいと体の奥で騒いでいる。仰向けでハンモックに乗っている状態からうつ伏せになりハンモックから下を除く。それが逆効果だったのか頭が重く感じる。吐きたい。吐き出したい。気持ち悪い。グワングワンからガンガンと直接脳にぶつけられ顔を顰める。口に手を当て無理やり指を喉の奥に突っ込む。

「っ、ぐっ……おぇ」

吐きたい。吐きたい。出したい。出したい。胸が苦しくなり。押しつぶされる。どんなに指をつっつこんでも何も出てこない。唾液だけがタラタラ地面に落ちてゆく。そこには土と草と花と木の幹がある。全てが僕の食べ物。僕にとって美味しくないものはない。全部食べる。全部食べれる。食べれないものは無い。




でも、




気持ち悪い。気持ち悪い。苦しい。辛い。悲しい。


……なんで?






だってなんでも食べるって……。





『悪食』って……。





それってニンゲンじゃ………。






「おえぇぇぇ……っ、うぐっ……」






考えるのをやめた。


落ち着け。落ち着け。深呼吸だ。深呼吸しろ。大丈夫。大丈夫。大丈夫。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。


「はぁはぁはぁ……」


生理的な涙が出てドッと疲れが押し寄せてくる。何も考えるな。とりあえずこのゲームみたいなのを進めればいい。それでいい。それでいいんだ。

僕はスキルを見る。


【スキル】毒の息

・ブレスのように口から毒ガスを出す。効果は麻痺させる程度。発生源は魔力。コストは5。


攻撃手段が増えた。うん、いいね。しかも今回は1つから3つのスキルを手に入れたんだ上出来だよ。




うん、きっとそう。




僕はステータスを開く。


【名前】紺本 紀(こんもと かなめ)

【種族】人間

【性別】女

【年齢】18

【職業】なし

【レベル】13

【称号】なし

【スキル】悪食lv2

突風lv2

光合成

聴覚

脚力lv2

暗視

再生

毒の息


【HP】21869/21869

【MP】31569/31569

【攻撃力】20759

【防御力】10023

【魔力】31569

【素早さ】12563

【運】134


全体的に上がってきてるな。でも運があまり増えてない。もしかして3つをスキルを取得したから余り上がらなかったのか?

とりあえず今日はもう寝よう。明日楽しい狩りがあるんだから。

僕はそう言い聞かせて目を閉じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る