第4話 初めてのお弁当。
話をしていたら夜になっていて、両親たちも帰宅をして晩御飯の時間になろうとしていた。……えっと……どうしよう……一人で待っていられるかな……?
「えっと……30分くらい待っていられるかなぁ?」
「こ、子供じゃないし……大丈夫……」
うわぁ……強がっちゃってー
「ホントに?」
「出掛けるんじゃないよね……?」
心配性な表情をして聞いてきた。こんな夜に出掛けないし……ユナちゃんを置いていける訳がないでしょ。
「ユナちゃんを置いて、出掛けないって!リビングで親とご飯を食べるだけで直ぐに戻ってくるよー」
急にモジモジしだして、頬を赤くした。え?あ……トイレかな?場所は教えたし……大きな物音を立てなきゃリビングまで聞こえないよね。
「トイレは静かに行けば大丈夫だよ?」
「ちがうっ!えっと……さっきみたいに……その……えっと……ぎゅーって……して……」
え?えぇ?ツンツンからデレ期!?えーこれがギャップってやつ!?可愛すぎー!!なにこの子……ヤバすぎー!
立ち上がっていた私の前に、ベッドに座っていたユナちゃんが立ち上がると抱きしめてきた。
「ヒナお姉ちゃん……早く帰ってきて……ね……。うぅ……」
「う、うん……」
10分で戻ってこよう……うん。
「えっと……ユナちゃん食べ物で欲しい物ある?デザートとか、おにぎりとか」
「ううん。大丈夫……早く帰ってきて……」
うわ。ツンツンも良いけど……デレデレは更にヤバーイ!可愛すぎる……
そうだ!後で、お腹すくよね……?夕食が早かったしなぁ……適当に持ってこようっと♪
いつも楽しみにしていた親との会話は、余りせずに黙々と食べ宿題を忘れていたと嘘をつき、夜食にすると言って可愛いお弁当箱におかずとご飯を詰めて部屋に持ち帰った。
部屋に戻ると寂しそうな表情で俯いていて、私に気づくと満面の笑みで駆け寄ってきて抱きつかれた。うわ……妹と言うより……可愛い子犬っぽいかも……って……危ないよ……お弁当が落ちちゃう。
「ヒナお姉ちゃんッ♡」
「あ、危ないよぉー。ユナちゃんの夜食が落ちちゃうってー」
「え?えぇ!?わ、わたしに?わぁーお弁当?すごーい……作ってくれたの?」
嬉しそうに目をキラキラさせて、私が持っていたお弁当を見つめていた。
「あれー?お腹すいてないんじゃ……?」
あっ!という表情をすると……
「……えっと……ヒナお姉ちゃんが……どうしても食べろって言うなら……食べても良いよ……」
チラチラッとお弁当と私を見ながら答えた。うん。うん。このツンツンも可愛い!
「どうする?今食べる?後でにする?」
「えっと……少し後で食べても良い?お弁当だもん……」
「うん。良いけど……?」
首を傾げて返事をすると、再び目をキラキラさせて答えてきた。
「せっかくのお弁当だし……この嬉しくてーワクワクした気持ちを長く感じていたーいッ」
「そっかー夜はお弁当を作ってあげるねー」
「えーっ!?わぁーいっ♪ やったー!お姉さんすきぃー!」
急に抱きつかれてお弁当を落としそうになった。
「わっ!お弁当……」
「あっ。ごめんなさい……」
「ううん。私も喜んでくれて、嬉しいよー」
お弁当をテーブルに置いて、両手を広げると……一瞬戸惑って嬉しそうに抱きついてきた。
「ヒナお姉ちゃん……ありがとーッ」
「いいえー♪」
ユナちゃんを抱きかかえてベッドに座った。
「おねーちゃん力持ちだね」
「えへへ……力持ちかな~?初めて言われたー」
「おねーちゃん……好き」
えっと……さっきから可愛い顔をして見つめられて、好きを連発してこられて恥ずかしいんだけど……
「そんな事を言われちゃったら、また抱きしめちゃうよ?もぉ……」
「えーいいよ♪」
膝の上に向かい合わせに座っているユナちゃんを抱きしめた。
「もぉーユナちゃんは、可愛いんだからー」
「えー?わたしも初めて言われたぁ」
「そうなの?可愛いよー」
嫌がるかも……と思いつつ、ユナちゃんのほっぺに頰ずりをした。柔らかくてスベスベしていて……気持ち良くて癒やされる……
「わぁ……なに?おねーちゃんのほっぺ気持ちいい……ぷにぷにしてる」
「ユナちゃんのぽっぺも気持ち良いよ」
意外と嫌がらなくて、逆に喜んでる?
「嫌じゃない?」
「……嫌じゃない……かな……」
「そっかー。またしても良い?」
「うんっ!いいよ」
「寝る時とか……?」
「するッ」
わぁー!約束しちゃった!ニコニコしていると、ユナちゃんもニコニコして見つめてきて、自分から私の頬に頰ずりをしてきた。
「わー♪えへへ……ユナちゃん」
「わたしも、これ好き」
しばらく頰ずりをし合って楽しみ、ベッドに横になって話をした。
「明日は、何しようかー?したい事はある?」
「えっと……おねーちゃんと一緒にいたい……」
「だから明日は、一緒に居るよ?」
「なら……大丈夫」
素っ気ない答えを返し、でも嬉しそうな表情をしてうつ伏せになって足をバタバタと動かしてご機嫌そうだった。えっと……私と一緒に居られるのが、そんなに嬉しいのかな?それか安全に過ごせる家に要られて嬉しいのかも……
「そろそろお弁当を食べちゃえばー?」
「あ、うん。食べるッ♪」
嬉しそうにベッドから降りると、テーブルに置いてあった弁当と私を見た。
「えっと……おねーちゃん……いただきます♪」
「どうぞー」
美味しそうにパクパク食べて、あっという間に感触をした。
「美味しかったっ!ご馳走さまでした」
二人で2階にもある洗面台に向かい歯磨きをしてベッドに入った。
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