第5話 ユナちゃんと初めての夜。

 私がベッドに横になると、ユナちゃんが恥ずかしそうに隣に横になった。


「おねーちゃんの隣で良いの……?」

「うん?勿論、隣で良いよー」

「うん。やったぁっ!」


 ベッドに入ると嬉しそうにチラチラと、私を見てきた。


「どうしたの?」

「ううん。なんでもないッ」

「えー何よー?」

「なんでもないのー!」

「もぉ。くすぐっちゃうぞぉー♪」


 ユナちゃんに抱き着き、お腹をくすぐった。


「キャハハ……おねーちゃんッ!やめてーアハハ……も〜やめてー♪わかったからー」

「で、なにー?」

「……おねーちゃんは、優しくてー可愛いな〜って……見てただけッ!もぉーそれだけなのッ!」


 恥ずかしそうに布団に潜ってしまったので、私も布団に潜りった。


「もー隠れないでよーユナちゃんの可愛い顔を見せて〜」

「イヤー。可愛くないしッ」

「捕まえたー」

「キャハハ……くすぐたいー!おねーちゃんも捕まえたッ!」


 ユナちゃんも抱き着いてくると指を動かして、くすぐってきた。


「わー!ごめん。ごめん。キャハハ……ユナちゃん……くすぐたいー♪」

「あーっ!静かにしないとだよ……」

「あっ。そうだった……危ない。危ない……。そろそろ寝ようかー」

「うん。寝よー♪」


 えっと……凄い素直になってるけど……こっちの方が地なんだろうな……


 疲れていたからか、安心ができる場所だと思ってくれたからか、直ぐに寝息が聞こえてきた。可愛い寝顔で天使だね〜


 ユナちゃんの寝顔を見つめていたら、いつの間にか眠っていて……体を揺すられて目が覚めた。


「うぅ~ん……ふあぁ〜……もう……朝ぁ……?ん?外まだ暗いよ〜……」

「おねーちゃん……トイレ……」


 あ、トイレか……わざわざ言わなくて、勝手に行って良いのに……


「あ……うん。分かったぁ……」


 私のTシャツを引っ張ってきて、足をモジモジさせていた。


「おねーちゃん……ねぇ……一緒に〜……」

「うぅ~ん……眠くて……起きられないよぉ……」

「もぉ……起きてーッ!」


 ユナちゃんがベッドに上がると、私の両腕を掴み引張ると上半身が起こされた。


「……ユナちゃんが抱っこしてくれたら……」

「おねーちゃんッ!漏れちゃうー」


 あ……からかいすぎちゃったみたい……


「分かったって……行こうかー」

「うん。はやくー、はやくぅー」


 その場で足踏みをして急かしてきた、その仕草が可愛くてしばらく見ていたかったけど……可愛そうなので早足でトイレに向かった。


「おねーちゃんは、そこで待ってて……待っててよ……」

「はい、はい……待ってますよぉ〜♪」


 ユナちゃんがトイレに入り、しばらくするとドアが少し開き小さな声で呼ばれた。


「おねーちゃーん……いるー?」

「居るよー」


 トイレが終わるとテクテク……と早足で駆け寄ってきた。


「おわったっ」


 可愛い笑顔で報告してきた。怖かったのかなー?初めての家だし……仕方ないかぁ。


「戻って寝よっか」

「うんッ!寝るー」


 先ほどとは違い、ユナちゃんに腕を組まれて足取りが軽くなり嬉しそうに部屋に戻ってきた。


「夜のトイレ怖かった?」


 そうきかれビクッ!と体が動き、頬を顔を赤くさせた。


「子供じゃないし……違う……。お姉ちゃんも、トイレに行きたいかと思って誘っただけだし……」


 あ、ツンツンな感じだー。寝てる私がトイレに行きたい訳ないじゃないー。もおっ!可愛い言い訳だなぁ。


「誘ってくれたんだ?ありがとね~。ほら、寝るよー」


 私がベッドに横になると、恥ずかしそうに隣に横になると徐々に近づいてきた。


「おねーちゃん……寝ちゃった?」

「なにー?起きてるよ」

「手を繋いで良い……?」


 ツンツンからデレデレの切り替えが早いなー。ドキッってするじゃんっ!手は繋がずにユナちゃんが近くに近づいてきていたので抱きしめた。


「はぅっ。お姉ちゃん!?手を繋ぎたいって言ったのに……」

「あ、ごめん。可愛くて……つい。嫌だった?」

「…………」

 

 あれ?黙っちゃった?嫌がって無いから、このままでいいや……眠いし……


「嫌じゃ……ない……よ……。落ち着く」


 返事を返してくれたのが微かに聞こえたけど、すでに眠りについていた。


 

 翌朝……


 朝に目を覚ますと、ユナちゃんが甘えるように私の胸に顔を押し付けて抱き着いて寝ていた。え!?朝に目を覚まして……ユナちゃんがデレてるって幸せすぎ!このまま少し癒やされてよっと♪頭を撫でて過ごした。


「ん……」


 ゴソゴソと動き、ぎゅぅと抱きしめられて顔を私の胸から離して、ボーっと見つめていると……だんだんと顔が赤くなってきた。


「え?あ……ごめんなさい……」

「え?なにが?」

「な、なんでもない……」


 慌てて離れようとするユナちゃんを抱きしめた。


「ちょ、ちょっとお姉ちゃん……恥ずかしい、何してるの!」

「別に、あと少し良いじゃないの〜」


 私に捕まると、ユナちゃんもぎゅぅと抱きしめてきた。


「そういえば……手を繋いで寝た方が良かった?」

「……別に……どっちでも……」

「今日は手を繋いで寝ようか〜?」

「……お姉ちゃんは、こっちの方が……良いんでしょ?こっちで良い……」


 あら?抱き合って寝るのお気に入りになってくれたのかなぁ?でも……私の胸にムニムニって顔を動かさないで……くすぐたいー。嬉しそうにしているし……ガマンしますか。

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