ルッキズム至上主義のあたしに、特大ブーメランがぶっ刺さった件!!

靄嶌翔(もやしましょう)

第1話 炎上の前触れ

♥登場人物紹介♥


番号:01

略称:イズっち

名称:ルッキィ・イズミ

性別:♂

性格:ルッキズム至上主義

年齢:19歳(22歳)

所属:ピンキー・ポップ(アイドル事務所)

職業:アイドル・タレント・歌手

身長:160㎝(155.8㎝)

体重:40㎏(48㎏)

人称:あたし・あんた

口癖:可愛いは正義!!ブサイクは悪なんだよ!?

好き:イケメン、美女、人間は見た目が99パーセント(書籍)

嫌い:ブサメン、ブス女、ゴキブリ、ドブネズミ

概要:冴えない学生時代のコンプレックスから美容整形をし、

    ルッキズム至上主義を標榜。

   過去の自分を払拭するために見た目に執着している。

   可愛らしいルックスと過激なダンスパフォーマンスが売りの

   『ルッキィ・イズミ』は紅白歌合戦に出場するほどの

   人気を誇る新星アイドルで、『イズっち』の愛称で親しまれている。

   ネットやテレビなどのメディアで差別的な発言を繰り返す彼女は、

   やがて世間の反感を買い、大炎上の憂き目に遭う。


番号:02

略称:ヒッくん

名称:上背 低乃介(うわぜ ひくのすけ)

性別:♂

性格:優柔不断

年齢:19歳(22歳)

所属:ジョニーズ事務所(男性アイドル事務所)

職業:アイドル・タレント・歌手

身長:166㎝(157.8㎝)

体重:48㎏(53㎏)

人称:オレ・オマエ

口癖:ふう、トップアイドルはケッコー疲れるぜ……

好き:寝ること・現実逃避

嫌い:ジョニーさん(所属事務所の社長)

概要:端正な顔立ちだが、シークレットシューズの疑惑あり。

   公称166㎝だが実質160㎝未満。

   イズっちの恋人として知られていたが、

   スキャンダル後に離れて別の女性と交際。


番号:03

略称:ハンプティ

名称:ハンプ・ダンプ・貞造(ていぞう)

性別:♂

性格:義理堅い

年齢:29歳

所属:ヤスキヨ興行(お笑い芸人事務所)

職業:若手お笑い芸人

身長:159㎝

体重:150㎏

人称:ボクちん・チミ

口癖:ボクちん、ハンプ・ダンプ・貞造やさかいに!!

好き:食べること・ネタづくり

嫌い:不穏な空気

概要:若手お笑い芸人でハンプティ・ダンプティそっくりの醜漢。

   過去にイズっちと共演した際、罵詈雑言を浴びせられたが、

   彼女の内面の強さを感じ取り、密かに好意を抱いていた。


番号:04

略称:ジョニーさん

名称:ジョニー滝川

性別:♂

性格:男色家・口八丁手八丁

年齢:69歳

所属:ジョニーズ事務所(経営)

職業:ジョニーズ事務所社長

身長:209㎝

体重:135㎏

人称:ミー・ユー

口癖:とっととミーにプロデュースされちゃって、

   トップアイドルに昇り詰めちゃいなよ!!

好き:ジョニーズJr

嫌い:ジョニーズ事務所に逆らう輩

概要:男性アイドルが所属する大手芸能事務所の社長。

   特にローティーンの美少年アイドルである

   ジョニーズJrたちに執心している。

   年甲斐もなく破廉恥な裏の顔を隠し持っている。


●プロローグ


大晦日の紅白歌合戦、紅チームのトップバッターは、

可愛らしいルックスと過激なダンスパフォーマンスが売りの

『イズっち』の愛称で親しまれている

新星アイドル『ルッキィ・イズミ』(19歳?)です。


彼女はYouTuberからアイドル歌手に転向した異色(?)の

経歴を持ち、過剰なルッキズム信奉に傾倒しています。


イズっちは、デビュー曲『可愛いは正義』で、

自身のルッキズム至上主義を高らかに歌い上げ一躍脚光を浴びます。


しかし、その過激な歌詞とパフォーマンススタイルは世間の反発を招き、

大炎上することになりますが、それはまだ先の話。


JHKホールの舞台の壇上から

ド派手なジェットスモークが吹き上げます。


イズっちは自信満々の表情で、

お得意のブレイク・ダンス・パフォーマンスを披露します。


そして、ドヤ顔でバッチリとポーズをキメて、

デビュー曲である『可愛いは正義』を歌い始めます。


「トップバッター!!ルッキィ・イズミ!!

麗しのカリスマ・ウルトラ・ハイパー・グレトテスト・アイドル!!」


「イズっちがデビュー曲『可愛いは正義』を歌ってあげるから、

大晦日にJHKホールに群がる、有象無象の暇人である愚衆諸君は

せいぜいあたしの勇姿に首を垂れて、

地面に頭を擦りつけながらありがたく拝聴しなさいよねっっ!!」


「低学歴・低身長・低収入のブサメンとブス女わ(は)ぁぁ~~っっ!!

 みぃぃ~~んな、地獄に堕ちゃっていいからぁぁ~~っっ!!

イッッエエエエェェェェ~~~~イッッ!!」


イズっちの過激な自己紹介(?)に、ホール内がザワつき始めます。

「待ってました!!ルッキズム至上主義!!」


JHKホールに群雄割拠した

イズっちのファングループである『イズラー』と呼ばれる面々は、

紅白歌合戦に出場を果たしたイズっちの勇姿に首を垂れ、

地面に頭を擦りつけながら、


「「「「可愛いは正義!!ブサイクは悪!!」」」」

「「「「可愛いは正義!!ブサイクは悪!!」」」」


……などと、大声で怪しげなマントラを連呼します。

しかし、イズっちのファンたちの容姿はややブサイク寄りであるという

矛盾なども孕みつつ、ステージは一層ヒートアップします。


それにつられて、ライトなイズっちのファン層も、

「いいぞぉ!!もっとやれぇ~~っ!!」などと拍手喝采で迎えます。


そんな反応を受けて、イズっちはますます調子づきます。

「ああぁぁ~~んっっ!!ダッッメェェ~~ッッ!!(裏声)

あたし、天上天下を国士無双しちゃってるぅぅ~~~~っっ!!(意味不明)」


イズっちは客席に向かってセクシーにウインクし、

投げキッスまで飛ばします。


そして、『可愛いは正義』を大音量で熱唱し始めます。

「可愛いは正義!!ブサイクは悪!!

そして、破竹の勢いで全世界を席巻する大スターはあ・た・しっっ!!」


客席から大歓声と割れんばかりの拍手が沸き上がり、

「キャアァァァァ~~~~ッッ!!

イズっっちぃぃ~~っっ!!」……などと黄色い声援も飛び交います。


イズっちのパフォーマンスは最高潮に達し、

その勢いのまま『可愛いは正義』を歌い終えます。


イズっちは舞台袖に引っ込み、司会の名倉レヲと軽くハイタッチ。

しかし、イズっちがタッチしたのは名倉レヲの顔面でした。

顔を抑えて悶絶しながらも職務を忠実に全うする名倉レヲです。


「アイタタタタッッ!!ルッキィ・イズミさん!!

素晴らしいパフォーマンスでした!!」


「ルッキズム至上主義のアイドルとして、

これからも大活躍を期待していますよ!!」


「任せてよ!!あたしはそのうち、ハリウッドに進出して

全世界のトップアイドルになっちゃいますよぉぉ~~っっ!!」

そして、イズっちは舞台袖へと消えてしまいます。


「さあ、お次は白チーム!!ジョニーズ事務所の秘蔵っ子!!

ヒッくんの愛称でお馴染みの、上背 低乃介(うわぜ ひくのすけ)くんで、

新曲『ちっくしょぉぉ~~っっ!!』をご披露していただきます!!

どうぞぉぉ~~っっ!!」

名倉レヲが呼びかけますが、客席からは何の反応もありません。


「あれっ!?ジョニーズ事務所の秘蔵っ子アイドル・ヒッくん!?

会場は超満員なのに……おかしいですね!?」


「なんでかなぁぁ~~っっ!?なんでかなぁぁ~~っっ!?

ななな、なんでかなぁぁ~~っっ!?」


名倉レヲがが困惑していると、

ステージの袖からヒッくんこと上背低乃介が姿を現します。


そして自嘲気味にボソッとこうつぶやきました。

「イズっちに全部持ってかれちゃったな……」


そして、浜辺に打ち上げられた魚の如く、

舞台をビクンビクンとのたうち回りながら

新曲である『ちっくしょぉぉ~~っっ!!』を歌い始めます。


「ン゛ッ゛、ン゛ッ゛、ン゛ッ゛、ン゛ッ゛……

ン゛ッ゛ッ゛ヴォ゛ォ゛ォ゛ォ゛~~ン゛ッ゛ッ゛!!」


「ぢっ゛、ぢっ゛、ぢっ゛、ぢっ゛……

ぢっ゛ぐじょ゛ぉ゛ぉ゛~~っ゛っ゛!!」


ヒッくんは客席から大ブーイングを浴びせられますが、

それでも構わず『ちっくしょぉぉ~っ!!』を歌い続けます。


「ぢっ゛ぐじょ゛ぉ゛ぉ゛~~っ!!」と叫ぶヒッくん怒号は、

空しくJHKホール内部に響くばかりです。


引っ込み際に、ヒッくんは司会の名倉レヲに往復ビンタをカマします。

「ぢっ゛ぐじょ゛ぉ゛ぉ゛~~っ!!

司会者のオマエがっっ!!頼りないからっっ!!」


顔を抑えて悶絶しながらも職務を忠実に全うする名倉レヲです。

「アイタタタタッッ!!ヒッくんこと上背低乃介くん!!

素晴らしいパフォーマンスでした!!」


会場は重苦しい沈黙に包まれますが、

一部の来場者は腹を抱えて大爆笑していました。


「キャッハッハッハッ!!ヒッくん最高!!」

「上背低乃介、オマエはやっぱりこうでなくっちゃな!!」


紅白歌合戦の視聴率は、なんと74%という驚異的な数字を叩き出しました。

さらに、イズっちの過激なパフォーマンスが世間の興味を惹きつけ、

テレビやネットで話題を席捲します。


■メチャメチャごっつええ大爆笑!!


『イズっち』は、そのルッキズム至上主義なキャラクターと

過激なパフォーマンスで 一躍時の人となり、

ネットやテレビなどメディアでの注目を一身に集めます。


イズっちは、その人気によって

毎回視聴率30%超えの大人気お笑いバラエティ番組、

『メチャメチャごっつええ大爆笑!!』(略称:メチャごつ)に

レギュラーメンバーとしての出演が決定します。


めちゃごつの人気はテレビだけにとどまらず、

YouTube公式チャンネルの登録者数も500万人を超えており、

平均再生回数は300万回を超えるなど、 その勢いは留まることを知りません。


毎週日曜日のゴールデンタイムにその番組は放送されており、

視聴者はメチャごつの大爆笑に酔いしれるのでした。


「低学歴・低身長・低収入のブサメンとブス女わ(は)ぁぁ~~っっ!!

 みぃぃ~~んな、地獄に堕ちゃっていいからぁぁ~~っっ!!

イッッエエエエェェェェ~~~~イッッ!!」


イズっちは過激なメッセージを大声で連呼しながら

画面中央に堂々と居座り番組を盛り上げます。


番組観覧者でイズっちのファングループである『イズラー』と呼ばれる面々は、

画面中央に堂々と居座り続けるイズっちの勇姿に首を垂れ、

地面に頭を擦りつけながら、


「「「「可愛いは正義!!ブサイクは悪!!」」」」

「「「「可愛いは正義!!ブサイクは悪!!」」」」

……などと、大声で怪しげなマントラを連呼します。


「さあ、今週も『メチャごつ』の時間がやって参りました!!

司会は私、名倉レヲと!!」


「麗しのカリスマ・ウルトラ・ハイパー・グレトテスト・アイドル!!

イズっち以外に、この番組の主役を務められる

大物なんていないんだからねぇぇ~~っっ!!」


イズっちがカメラに向かってドヤ顔をカマします。

「あたし、芸能界のマドンナとして、

今年も大活躍しちゃおうっっかなぁぁ~~っっ♪」


そして、突然司会の名倉レヲに手刀を放ちます。

名倉レヲは頭頂部にチョップをカマされて悶絶してしまいます。


「アイタタタタッッ!!ルッキズム至上主義のアイドル・イズっちさん!!

『可愛いは正義!!ブサイクは悪!!』というテーマで、

メチャごつをさらに盛り上げてくださるということでありましたが……!?」


「なんか文句あんの?それよりさっさとゲストの紹介をしなさいよっっ!!

この底辺ポンコツ司会者めがぁぁ~~っっ!!」

とイズっちが凄まじい剣幕で名倉レヲを威圧します。

名倉レヲは顔面を抑えて「アイタタタタ……」と転げ回っています。


「もっ、申し訳ございません……!!

ゲッ、ゲストは、ジョニーズ事務所の秘蔵っ子、

ヒッくんの愛称でお馴染みの、上背 低乃介(うわぜ ひくのすけ)くんと!!」


「ヒッくんが所属するジョニーズ事務所の社長である、

ジョニー滝川なのよねぇ!!」


「世界各国の健康優良美少年たちよ!!

とっととミーにプロデュースされちゃって、

トップアイドルに昇り詰めちゃいなよ!!」


さらに遅れて、ヤスキヨ興行(お笑い芸人事務所)に所属する、

若手お笑い芸人、通称『ハンプティ』こと、ハンプ・ダンプ・貞造が

ゴロゴロと転がってきます。


「あかんて!!チミたち!!ボクちん、ハンプティの紹介を忘れるなんて

そないに殺生なことがあってたまりますかいな!!」


名倉レヲは慌てふためきながら主演メンバー全員紹介します。

「番組の顔であるイズっちと、司会のわたくし、名倉レヲ。

さらに、ヒッくんと事務所の社長であるジョニーさん。

そして最後に、ハンプティさんの5人で番組を盛り上げてまいりま~~す!!」


「キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!

イズっち、メチャごつが大盛況で嬉しいなぁぁ~~っっ!!」

とイズっちはカメラに向かってドヤ顔のアップをカマします。


■身体測定のコーナー


「ええと、それでは身体測定のコーナーです!!

このコーナーでは、レギュラーメンバーたちが

各々の身体測定を敢行いたします!!」


「さてと、早速メンバーたちの身長と体重を測定しましょうかねぇ!?

それではまずは私が身長計に……イズっちさん、測定をお願いします。」


と名倉レヲが測定を促すと、

イズっちは台に乗って彼の頭をことごとく押さえつけます。


「キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!

この低身長モブザコ司会者めがぁぁ~~っっ!!」


「ちょっ……イズっちさん、痛いです……!!

そ……そんなにムチャクチャ押さえつけては正確な身体測定は不可能です……!!」

と名倉レヲは苦言を申し立てますが、イズっちには全く聴こえません。


「キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!名倉レヲの身長は140㎝!!

キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!」


ハンプティは慌てて彼女の暴挙に苦言を呈し、

正確に名倉レヲの身長を測定します。


「170㎝、身長は170㎝や!! イズっち、名倉はんを

そないに押さえつけたら正確な身長が測定できまへんで!?」


そして名倉レヲは体重を測定します。

「キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!

身長170cm、体重は65kg……。」


「名倉の体重は65kgなのぉぉ~~っっ!?

中肉中背!?全く特徴ナッシングでクッソつまんねえし!!」


とイズっちが言うと、名倉レヲは怒り心頭です。

「ちょっとイズっちさん、いい加減にしてください!!

この身体測定のコーナーでは、

レギュラーメンバーたちの正確な身長と体重を測っているんです!!」


「次はジョニーさんですね。

どうぞ、測定をお願いします。」


「キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!ジョニーさんの身長は209㎝!?

キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!デカすぎ!!無駄にデカい!!」


そしてハンプティがジョニーさんの体重を測定します。

「209cm、135kgやな……筋肉質で人間離れした体型やで……」

すると、イズっちはジョニーさんの高身長に怒り心頭です。


「チッ!!ちょっと身長が高いからって、調子に乗らないでよねっっ!!」

ジョニーさんは苦笑してこう言いました。

「フッフッフッ……イズっち、ユーはとっても負けず嫌いなのよねぇ!?」


そして次はヒッくんの番です。

「オレはいいよ!!166㎝、48㎏(公称)なんだ。

だから……ちょっ、いいてばぁぁ~~っっ!!

やめろよぉぉ~~っっ!!イズっちぃぃ~~っっ!!」


イズっちヒッくんの靴を脱がせると、

それがかなりのシークレットシューズであることを証明してしまいます。


「キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!

あたし、ヒッくんとラブラブだから知ってるの!!

10センチ近いシークレットシューズゥゥ~~ッッ!!」


そしてイズっちがヒッくんの身長と体重を測ります。

「157.8cm、53kg、やっぱり!!

身長10㎝、体重5㎏近くサバ読んでたんだ!?」


「ヒッくぅぅ~~ん♡♡嘘はダメだよぉぉ~~ん♪♪

あたし、ヒッくんと同棲してるから、

あんたの秘密なんて完全掌握してるんだからぁぁ!!」


ヒッくんは、生放送中に、イズっちから激しいビンタをカマされます。

ヒッくんは涙目でずっと嗚咽を漏らしていました。


「ひっく……ひっく……

どうしてオレはこんな女と……こんな女と交際していたなんて……!!」


ジョニーさんは2人のやりとりを微笑ましく眺めています。

「フッフッフッ……これぞまさに青春なのよねぇ~~!!

いわゆるひとつの、ブルー・スプリングなのよねぇ~~♪♪」


さらに、次はハンプティが身長と体重を測ります。

「ハンプティさんは、159㎝、150㎏ですね。

う~~ん、少しダイエットされた方がよさそうですね!?」

名倉レヲがハンプティの体重に驚いてこう言いました。


するとハンプティはこう反論を続けます。

「いやいや、名倉はん、1ケ月前ボクちんは160㎏やったんでっせ!?

そうや、これは成功体験なんや!!

ボクちんは10㎏のダイエットに成功したんや!!」


「これでボクちんの自己肯定感は、正味の話爆上がりでんねん!!

そんでもってボクちんは、イズっちやヒッくんをも上回る

大スターになってハリウッドからもオファーの嵐なんや!!」


「そや、ハリウッドや!!ハリウッドの大舞台がボクちんを手招きして

待ってくれとんのやで、ホンマに!!」


イズっちは生放送中にハンプティを非難しながら蹴り転がします。

「160㎏が150㎏だぁぁ~~っっ!?大して変わってないじゃんか!!

ハンプティなんか、ゴミ箱にドラッグアンドドロップでボンッッ!!

転がれっっ!!この卵型肥満ヘタレ三流芸人がっっ!!」


「ちょっっ!!やめたってやぁぁ~~っっ!!

イズっちぃぃ~~っっ!!」


「堪忍やで!!ホンマに!!堪忍してくれんと、正味の話!!

お……怒るでぇぇ~~っっ!!しっっかしぃぃ~~っっ!!」


ジョニーさんはまたもや、ニヤニヤしながらそのやりとりを眺めます。

「フッフッフッ……これぞまさに友情なのよねぇ~~!!

いわゆるひとつの、フレンド・シップなのよねぇ~~♪♪」


「キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!

イズっちはデブが大嫌いなのよぉぉ~~っっ!!」


ハンプティは転がりながら悶絶痙攣し、

意味不明の世紀末ギャグを連発します。


「神の御前に身を委ねたる、ハンプ・ダンプ・貞造殿の

願いを叶えたぁぁ~~まぁぁ~〜えぇぇ〜~っっ!!」


「神の御前に身を委ねたる、ルッキィ・イズミ殿の

願いを叶えたぁぁ~~まぁぁ~〜えぇぇ〜~っっ!!」


名倉レヲはどうにか混乱した場を収めてこう言いました。

「ハア……ハア……最後は……

イズっちさんの身体測定を行いましょうか……」


するとイズっちは、顔を真っ青にして全身全霊で拒否します。

「ちょっ!!ダメッッ!!あたしは特別なのっっ!!

やらなくていいのっっ!!なぜって!?」


「だってイズっちは、所属するピンキー・ポップ(アイドル事務所)の

HP公式プロフィールに身長160cm、体重40kgって

ちゃんと記載してるのよっっ!!」


「だから身体測定なんかやらなくっていいの!!

要するにあたしはあんたたちとは全く別次元のステージにいるのよ!!

わかる!?Do you understand!?」


「そう、あんたたちをカードゲームのキャラに例えると

絶対的にFランクのモブザコ底辺キャラクターなのよ!!」


「でもっっ!!あたしはSSSランクのレアカードで

カリスマ・ウルトラ・ハイパー・グレトテスト・ヒロイン確実なのよ!!」


「わかるっっ!?だからあたしは特別なの!!

よってあたしの言う事は一字一句正しいのよ!!」


「あたしは森羅万象宇宙の大法則であり、

誰もが従うべき超越絶対神(ちょうえつぜったいしん:造語)なのよ!!」


「わかった!?この低能のモブザコキャラクターどもが!!

そんなあたしがヒッくんみたいにサバを読むなんてありえないでしょ!?」


名倉レヲは困り顔でイズっちに身体測定を促します。

「あの、イズっちさん……その……本日は特別に生放送なので

予定の変更は不可能なんですよ……

なので、身体測定をお願いいたします……」


「キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!

この低能のモブザコキャラクターどもがっ!!」


イズっちは番組スタッフにビンタします。

「ちょっ、ちょっと、イズっちさん!落ち着いてください!!」


すると大柄なジョニーさんが、

イズっちを羽交い絞めにして身体測定を敢行します。


「キャッハッハッハッハァァ~~ッッ!!

この低能のモブザコキャラクターがっ!!

ちょっと、ジョニーさん!!離してよぉぉ~っっ!!」


「イズっち……ユーはミーが経営するジョニーズ事務所の

所属タレントであるヒッくんと交際してるのよねぇぇ~~!?」


「だったら、彼氏であるヒッくんのボスである

ミーの指示に従わないと、芸能界から綺麗さっぱり干されちゃうんだよ!?」


「いいの!?Do you understand!?

芸能界から永久追放されちゃって、生きていけるの!?」


しかし、それでもイズっちは大暴れしますが、

体格で圧倒的に勝るジョニーさんはビクともしません。

そして、ジョニーさんはイズっちの身長と体重を測ります。


「イズっちの身長と体重はと……155.8㎝、48㎏!?

あれっ!?ユーの公式プロフィールには

身長160cm、体重40kgと記載されていたけれど、

ユーもやはりサバを読んでいたんだよねぇ!?」


「イ゛ヤ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛~~ッ゛ッ゛!!

この低能のモブザコキャラクター、ジョニー滝川がぁぁ~~っっ!!」


「全国生放送でネット中継もされてるっつぅのに!!

あたしの身長と体重を勝手にバラしやがってぇぇ~~っっ!!」


そんなイズっちのピンチに、ヒッくんが駆け付けます。

「イズっち!!大丈夫!?でも、ボクの雇い主はジョニーさんだから

絶対に逆らえないよね!?芸能界から干されちゃうのはヤだしさ……」


「一度芸能界の甘い蜜を吸っちゃったらさ……

時給1000円前後の単純作業なんて、もうウンザリなんだよ!!」


■単純作業はもうウンザリ!!


イズっちはようやく冷静さを取り戻します。

「そ……そうだわっっ!!ゴメンっっ!!ヒッくん、忘れてたわっっ!!

このタイミングで挿入歌『単純作業はもうウンザリ!!』

をみんなで熱唱する予定だったわぁぁ~~っっ!!」


メンバーは慌ただしくイズっちを中心に

挿入歌『単純作業はもうウンザリ!!』のフォーメーションを 形作ります。


「さあ、底辺モブザコヤローどもがぁぁ~~っっ!!

あたしに続いて歌って踊り狂えっちまえぇぇ~~っっ!!」


『単純作業はもうウンザリ!!』はアップテンポのリズミカルな曲です。

イズっちとメンバーたちはハンドマイクを構えて歌います。


イズっち  :Let's do the simple task!!Together!!Together!!

       Hey Hey Hey Hey!!

       The more you do the simple tasks, the less enjoyment is felt.

       It's difficult to provide a solid job and worship it for hours on end.

       Keep your hand dancing with your heart beat!!Beat!!Beat!!

       That's what it shouldbe!!


ジョニー滝川:Let's do the simple task!!Together!!Together!!

       Hey Hey Hey Hey!!

       The more you do the simple tasks, the less enjoyment is felt.

       It's difficult to provide a solid job and worship it for hours on end.

       Keep your hand dancing with your heart beat!!Beat!!Beat!!

       That's what it shouldbe!!


ハンプティは卵のように円く肥った身体を生かして

縦横無尽にゴロゴロと転げ回ります。


ヒッくんはカスタネットでリズムを刻みながら

ハンドマイクでコーラスを務めます。


名倉レヲは縦横無尽に転がり続けるハンプティに追尾ロックされてしまい

幾度も弾き飛ばされながらも這う這うの体で逃げ回ります。


そして、最後のコーラスが終わると、ヒッくんは魂の雄たけびを上げます!!

「1ドル160円だっつぅのに!!

時給1,000円なんて許されるはずないだろうがぁぁぁぁ~~っっ!!

せめて、1ドル×10=1600円くらい寄越せやぁぁ~~~~っっ!!」


「ヒッくん、心の俳句ぅぅ~~っっ!!

ボーナスは 円でよこすな ドルでくれ!!」


「ボーナスはぁぁ~~っっ!! 円でよこすなぁぁ~~っっ!!

ドルでくれぇぇ~~っっ!!」


「季語はボーナスだぁぁぁぁ~~っっ!!

もっとギャラを寄越せえぇぇぇ~~っっ!!(事務所に1/2持ってかれる)」

そして番組は大団円を迎え、エンディングを迎えます。


つづく

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