第13話 全裸で大魔王退治
ついにこの時がやってきた。この世界を統べる悪の大魔王ハレンチンとの対決だ。
いったいどこの誰が名づけたんだよ。ふざけるのも大概にしろ。
僕らは
正門の扉には四つの穴があり、四大魔王を倒して手に入れたオーブをはめ込む。
え、地の魔王は倒れたところを見ていないって?
細かいね。郵送で送り届けられたに決まってるでしょ。
そんなわけで、扉は音をたてて開き始めた。
もう決して後戻りはできない。泣いても笑ってもこれが最後の戦いだ。
仲間と共にうなずき合うと、いよいよ大魔王の城に足を踏み入れる。
中にはたくさんの手下がいた。それらをばったばったとなぎ倒し、ひたすら奥へと突き進む。
そしてようやくたどり着く。この先に最後の強敵が待ち受けている。
さすがの勇者たちにも疲労の色が見えた。
とりあえずセーブポイントで記録して、体力も全回復。これでやられても安心だね。
この戦いのために、エリクサーを九十九個持ってきた。いやあさすがに重かった。
もちろん、投げればカンストダメージをたたき出すアイテムもマックスさ。
なんたって僕らは勇者さま御一行。
強い者が稼ぎ、稼ぐ者が強い。これが異世界の現実だよ。割り切ろうぜ、坊や。
いよいよ大魔王とのご対面。
案の定、最初に出てきたザコザコ魔王は奴の影だったようだ。
御託はいいから、さあ、戦いを始めようじゃないか。
全裸勇者、推して参る。
いきなりズッコケて、エリクサーの瓶がぜんぶ割れた。
ダメージアイテムも仲間の背中に雨あられとなって降り注ぎ、一瞬にして形勢逆転。
やるな。さすがは大魔王だ……。
それでも僕は戦わなければならなかった。
お前を倒し、どうしても元の世界に帰らないといけないんだ。
すると大魔王は、僕が全裸でここまで来たことを讃え、少し遊んでやろうと言って自身も服を脱ぎ始めた。
見事このパンツを脱がすことができればお前の勝利だと、彼は笑う。
なめるな。僕は、世界が誇る
貴様もスッポンポンにしてやる!
いざ、勝負!
光と闇が交錯する。
次の瞬間、僕の手にはパンツが握られていた。
百年早いんだよ。
勝因は、趣味でもないのにその手の動画を見ていたおかげかな。
サンキュー、兄貴。
だが、大魔王は最後の悪あがきを見せた。
ここからはもう正真正銘のガチンコバトル。
最後は羞恥心の無いものが勝つ。
敵が激しい攻撃を繰り出す。
負けるか、奥義・わしづかみ!
……戦いは終わった。
僕の勝利だ――。
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