第10話 全裸で地底

 四大しだい魔王も残すところ地だけとなった。

 最初のは何だったのかという疑問については受けつけていない。

 たぶん無属性かチュートリアルだ。

 案外、奴がラスボスなんてことは……。

 はは、まさかね。


 そんなわけで地底に向かうよ。

 死火山の火口から一列になって降りていく。荷物もすごい量だ。

 ちょっと本格的すぎやしないか。帰れるか不安になってくる。


 ランタンが無ければ真っ暗な世界。

 光と影。基本にして奥深い法則をあらためて実感し、宇宙の成り立ちについて考えをめぐらせたりしたよ。全裸で。


 最初は冷たかった地面は次第に熱を帯び始め、この星のコアに近づいていくのがわかる。

 希少な鉱物を見つけて歓喜したりもしたけれど、荷物になるので泣く泣く諦めた。


 これを売ってお金持ちになる未来もありだと思うけど、勇者たちは戦いのことしか頭にないらしい。

 凛々しい横顔を眺めながら、僕って俗っぽいんだなとちょっぴり反省。


 やがてとうとう地下神殿に到着した。

 今回の魔王は地属性だけあって、頑丈でパワーがありそうだ。

 でも見た目は地味で、人気投票をしたらおそらく最下位になりそうなやつだった。


 戦闘のさなか、唐突に灯りが消えてしまった。

 真っ暗闇の戦い。もう何が何だかわからない。

 くんずほぐれつ、もみくちゃになって必死に戦う。


 ようやく明かりが戻ったと思ったら、僕の下半身の真ん前に魔王の顔があった。

 地下中に響きわたる悲鳴。

 そりゃもう凄いのなんの。


 神殿が崩壊し、みんなで慌てて撤退。

 魔王はたぶん生き埋めになった。


 なんかもういろいろ酷くて、毎度のことながら申し訳ないな。

 ……君は人生の最後に見たいものはなんだい?

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