第5話 全裸で温泉

 前回のお詫びも兼ねて、今日は温泉に連れていってくれるんだって。

 やったね。俗にいうサービス回ってやつだ。

 いつも裸だろって? うん、まったくもってそのとおり。


 全裸で温泉に行く。

 いや普通のことやないかーい!


 と思った人は、ぜひ一度やってみてほしい。普通に捕まるから。

 行くまでが大変だったのだ。


 これまで、裸を許すおかしな街と、魔王城にしか行ってない。

 温泉のある場所はまるで違うとこにあるから、散々な目にあった。


 黙っていたけど、魔王も僕を見て吹き出していたし、なんだったらイジメじゃないかと心配してくれた。

 でも勇者たちは、毎回その隙をついて倒していたんだ。


 話を戻そう。

 例によって温泉街にワープしたものの、温泉は近いようで遠い。

 何度も職質されるもんだから、四人は鉄壁の守りで僕を囲んでくれた。


 旅館に着くと何名様かチェックされる。

 誤魔化すわけにもいかないから、そこであらためて騒動になった。


 お客様、お客様ー? とエルフの女将に追いかけられながら、全力で温泉を目指す。

 横で裸の赤ちゃんが笑いながら並走してくれて、涙が出るくらい嬉しかった。


 と思ったらその先に親がいて、悲鳴とともに暖簾をくぐる。

 後はもう流れでダイブ。


 全裸で温泉。

 ああ、しみるなあ……。グスッ。

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