第5話
俺は少しの間、余韻に浸っていた。息が上がった俺の呼吸音だけが、洞窟に響いていた。
俺は生き残ったんだ。
こんなにも、生を実感したことはなかった。
レベルが上がった、とか色々言っていたし、できるのならさっきみたいにステータスとやらを確認してみたい。
するといきなり、地面が大きく揺れ始めた。
俺が落ちてくる前の地震と同じくらいすごい。
「次は何なんだよお」
俺の頭に、上から小さい石が落ちてきた。
まさか、崩落するのか!?
とりあえず、ここから通路へ出ないと!
急いで穴へと向かい、這いつくばって、外へ出る。
「痛ッ」
足に石が落ちてきた。さっきと重さが全然違う。めっちゃ痛い。
堪えて、何とか通路に出ることが出来た。
その直後、背後から、ガラガラと崩落する音が聞こえてきた。
それと同時に揺れも収まった。
「危ねえぇ」
また死にかけた。
ていうかもしスライムを倒すのが遅れてたらどうなってたんだ?
…考えるのやめよう。
怖すぎる。
とにかく、ステータスの確認だ。
念じたりすれば出てくるのかな?
ステータス出ろ!
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【ステータス】
個体名:春名怜
Lv:2
HP:5/100
MP:10/100
筋力:50
防御:50
俊敏:50
技量:50
知力:50
精神:50
【スキル】
《ユニーク》
『最初の侵入者』
『最初の討伐者』
《コモン》
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また、さっきと同じ画面が出てきた。
念じればすぐ出てくるようだ。
消えろ、と念じると、すぐに消すことが出来た。
さっき出てきた時は、少し時間が経ったら消えてたから、見てなかったら勝手に消えるけど、自分で消すことも出来るって感じか。
またステータスを出して、新しく増えた【スキル】に触れてみる。
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『最初の討伐者』
最初にモンスターを討伐したものに与えられるスキル
すべての経験値の取得量が大幅に上がる
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ステータス画面には触れられないが、スキルに手を近づけると、説明が出てくるようだ。
そしてどうやら、世界はゲームみたいになったらしい。
ダンジョンだとか、ステータスだとか、俄には信じられないが…
レベルが上がってから、力が漲っている。いつもよりも断然力が湧いてくる。…気がする。
ステータスも、幻覚じゃない。はっきり見える。
それに何より、さっきのスライムは明らかに俺を殺そうとしていた。
命の危機を感じた。
俺は、この奇妙な状況を、現実として受け入れ始めていた。
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